米CPIを受けドル売り優勢 見解は分かれる ドル円は147円台に下落=NY為替概況

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米CPIを受けドル売り優勢 見解は分かれる ドル円は147円台に下落=NY為替概況

 きょうのNY為替市場、この日発表の米消費者物価指数(CPI)を受けて、ドルの戻り売りが優勢となった。ドル円は147円台に下落している。米CPIに対する見解も分かれ、ドル円は途中に148円台半ばまで戻す場面があったが、後半に147円台に沈んでいる。

 米CPIはコア指数が前年比で3.1%上昇と予想を上回り、関税の影響を示唆する内容ではあったが、FRBの利下げ期待は変わらず、短期金融市場では9月の利下げ確率を90%以上で見ている状況に変化はない。市場が事前に警戒していたほどのインフレの上昇までは見られず、先日の米雇用統計の驚きの弱さを覆すほどの内容ではないとの受け止めのようだ。

 ただ、米CPIの詳細を見ると、サービスの伸びが加速しており、特に住居費・エネルギーを除くサービス価格、いわゆるスーパーコアが前月比で1月以来の大幅な伸びとなっていた。関税の影響も示唆され、FRBの早期利下げ期待を手放しで正当化する内容でもなかった。

 なお、トランプ大統領がFRB本部の改修工事を巡り、パウエル議長を相手取った訴訟の進行を容認する考えを示したこともドルの重石となっていた。

 ユーロドルは上昇し、1.17ドルちょうど付近まで上昇する場面も見られた。本日1.16ドル台前半に来ている21日線はサポートされている格好となっているが、1.17ドル台には慎重といった雰囲気ではあった。

 ECBの年内利下げ期待は後退しており、短期金融市場では50%以下の確率となっている。インフレは目標の2%付近で落ち着いており、インフレへの懸念は完全に後退している。関税の影響から景気の先行きに対する不透明感は根強いものの、明日発表になる第2四半期のユーロ圏GDP改定値は予想外の拡大となった速報値と変わらずが見込まれており、足元の景気への懸念はいまのところ小さいようだ。

 そのような中、ユーロドルに対する強気な見方は根強く、1.20ドルを目指す展開を見込む向きは少なくない。

 ポンドドルは1.35ドル台を一時回復。きょうの上げで21日線を上放れる展開が見られ、明日以降の動きが注目される。本日は4-6月の英雇用統計が発表になっていたが、週平均賃金(除く賞与)は前年比5.0%と依然として高止まりしていた。そのことから、年内の利下げはあと1回に留まるとの見通しがエコノミストから出ている。

 先週、英中銀が政策金利を4.00%に引き下げたばかりだが、賃金の強い伸びは今後の政策判断における不確定要因であり続けていると指摘。しかし、緩やかな鈍化の兆しも見えていることから、年内にもう1回の利下げを予想しているとも述べた。

 ただ現状は、先日の英金融政策委員会(MPC)で委員の投票が完全に分断しており、ベイリー総裁も利下げに慎重姿勢を強調していた。そのため、短期金融市場では年内の利下げ確率を65%程度まで低下させている。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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