【緊急インタビュー】ついに日経平均最高値!更なる上昇の可能性 東洋証券・大塚竜太氏 <相場観特集>
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―世界的な株高局面へ突入、超強気モードの日本株の行方― 12日の東京株式市場は、リスク選好の地合いが加速し日経平均株価はついに昨年7月11日につけた4万2224円を大きく更新した。日経平均は4万2000円台はおろか4万3000円台目前まで上値を伸ばすなど、かなり強気に傾いた地合いとなっているが、ここで投資家はどういうスタンスをとるべきか。日経平均やTOPIXなど全体指数の上昇が今後も続くことを見込めば、当然ここは買いで対処するのが妥当となるが、心理的に参戦しづらいのも人情である。ここからの相場展望と物色の方向性について東洋証券ストラテジストである大塚竜太氏に意見を聞いた。 ●「4万5000円台を視野に中期強気相場が続く」 大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト) 全体相場は上げ足が加速しており、日経平均コールやプットなどのオプション取引も含めて空売り筋の買い戻しが誘発されている。CTA(商品投資顧問)による機械的な先物への買い攻勢などを背景に需給関係で相場への浮揚力が強まるなか、ここは理屈ではなく需給で相場の方向性が決められていると理解するよりない。世界的な株高局面のなかで、日経平均は相対的に出遅れていた面がある。企業の決算発表の内容などからそれほど強気に妥当性があるとは思えないのだが、そうした理屈に惑わされず海外投資家などの機関投資家に“買い負けない”ように頭を切り替えることが、今の相場には必要といえる。向こう1ヵ月の日経平均のレンジとしては上値が4万5000円近辺、対して下値は浅く4万1000円程度とみている。 米国企業の決算はおおむね好調が目立つが、佳境を迎えている国内企業の決算発表は総じて好調とは言い切れない。実際PER面で割高感も指摘されている。しかし、海外投資家の買いが、なぜ続いているのかを考えなければいけない。7月最終週に海外投資家は日本株を18週ぶりに売り越したが、月末のリバランス売りが反映された面もあり、金額ベースでも売り越し幅は2000億円に届かない水準で、これは方向転換を意味するものではなさそうだ。実際、8月第1週(4~8日)は再び大きく買い越しに転じている公算が大きく、上昇相場のリード役として今後も存在感を示すことになるだろう。 ひとつ気をつけておくべき点としては、国内政局である。株式市場は石破首相の退陣を織り込みながら株価を上昇させてきた意味合いも強く、これが現実味を帯びてくると株価が一段と噴き上げる可能性が高まる。逆説的になるが、そこはいったん売り場となると考えておきたい。もっとも、下値では押し目買いニーズが強く大崩れはしないだろう。 物色対象としては、まず三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> [東証P]などメガバンクは押し目があれば丁寧に拾っておくところ。植田日銀総裁は依然として金融引き締め方向に慎重だが、インフレ圧力を考慮すれば、今後も日銀の利上げに向けた思惑が消えることはない。また、自動車株も買い場と見ておきたい。具体的な日程はともかく、米国側が基本的に現行の27.5%から15%へ関税を引き下げることを肯定している以上、今は追い風が意識される時間帯だ。トヨタ自動車 <7203> [東証P]及びトヨタ系自動車部品会社などをマークしたい。このほか、半導体主力株の逆張りも有効だ。業績予想の下方修正を嫌気して売り込まれた東京エレクトロン <8035> [東証P]などは、マドを開けて急落した後に底値を拾う動きが観測されており、海外マネーの仕切り直しの買いなどに期待したい。 (聞き手・中村潤一) <プロフィール>(おおつか・りゅうた) 1986年岡三証券に入社(株式部)。88~98年日本投信で株式ファンドマネージャーを務める。2000年から東洋証券に入社し現在に至る。 株探ニュース