ブーム長期化へ!個性爆発スイーツ「ドーナツ関連」妙味株ロックオン <株探トップ特集>
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―「ランディーズドーナツ」日本上陸で市場活性化、生ドーナツの人気も続く― 近年、専門店の増加やコンビニエンスストアにおける ドーナツ販売などで、第何次かのドーナツブームが到来している。5月には米国の人気ドーナツ店が日本初上陸するなど、個性的な味や店舗が次々と登場することで市場全体が活性化。また味だけではなく、ビジュアルやコンセプトなどが重視される現代において、SNSなどを通じて人気化する店舗や商品も続出しており、ブームは長期化するとの見方もある。株式市場で日の当たることの少ない分野ではあるが、関連銘柄に注目したい。 ●日本におけるドーナツブーム 流行り廃りが激しいスイーツのなかでも、息の長い人気を保つドーナツだが、新たなブームの最中にある。現在主役となっているのは「生ドーナツ」で、2022年に東京・中目黒でオープンしたドーナツ専門店「I’m donut ?」がヒットさせたしっとりもちもちとした新食感のドーナツ。“生っぽく感じられる”ことからそう呼ばれ、その独特の食感から若者やスイーツファンの間でSNSを通じて急速に広まった。 これまでの日本におけるドーナツブームといえば、「ミスタードーナツ」(略称ミスド)が日本に初上陸した1971年からのブームに始まり、2003年のミスドによる「ポン・デ・リング」の登場、06年の「クリスピー・クリーム・ドーナツ」の日本上陸、10年代のクロワッサンドーナツの世界的な流行などがあった。 ドーナツが他のスイーツと異なるのはブームが去ってもまた新たなブームがすぐに訪れること。もともとドーナツは皿やフォークを使わず手軽に食べられるうえ、価格も比較的リーズナブルなものが多い。ミスドの全国展開もあって日常に入り込んでいることもあり、“飽きられない”スイーツであることが、その背景にあるようだ。 ●LA発の人気ドーナツ店も日本上陸 日本ではいまだ「生ドーナツ」の人気が続くが、こうしたなかで本場アメリカの人気ドーナツショップ「ランディーズドーナツ」が今年5月、1号店を東京都渋谷区の商業施設「LOG ROAD DAIKANYAMA(ログロード代官山)」に出店し、日本初上陸を果たしたことが大きな話題となった。日本での店舗運営・フランチャイズ本部運営を行うグリット・インターナショナル(東京都渋谷区)によると、「ランディーズドーナツ」は1952年に創業し、米国ではロサンゼルスを中心に25店舗を展開。米国1号店の屋根上にそびえ立つ巨大なドーナツ型のサイン看板は街のシンボルにもなっており、近年では韓国やフィリピン、サウジアラビア、メキシコなどでも店舗網を広げているという。 9月下旬には東京・新宿駅構内に日本2号店となるテイクアウト専門店をオープンする予定で、更に28年末までに日本全国50店舗の展開を目標としている。「ランディーズドーナツ」では日本のドーナツ市場は成長傾向にあるとして、そのなかでシェア獲得を狙っている。 ●ドーナツ関連銘柄 「ランディーズドーナツ」以外にも、味やSNS映えするデザイン/トッピングなど個性的なドーナツショップは次々と誕生している。また、既存チェーンも店舗数の増加や積極的なメニュー展開などでドーナツ市場は更なる活性化が見込まれており、関連企業のビジネスチャンスは拡大しそう。そこで今回は、ドーナツ関連銘柄をピックアップしてみた。 ダスキン <4665> [東証P]は国内ドーナツ店チェーン最大手の「ミスタードーナツ」を国内1000店舗以上、海外で1万店舗以上展開しており、国内でのシェアは9割近くを占めている。ミスドを含むフードグループはセールの常態化などが業績悪化を招き、10年代には営業赤字に陥る時期もあったが、20年代に入り業績は順調に回復。25年3月期にはセグメント営業利益85億5600万円(前の期比23.7%増)を計上するまでになった。今後もミスドでは新店舗形態での出店などに取り組む方針で、フードグループで28年3月期に売上高739億円、営業利益90億円を目指している。また、ミスドに関しては、フジタコーポレーション <3370> [東証S]がダスキンのFC加盟店として北海道を中心に23店舗(25年7月末現在)を展開している。 トリドールホールディングス <3397> [東証P]は、昨年6月にうどんの特徴でもあるもちもちの食感を生かした「丸亀うどーなつ」を発売した。構想段階を含め約3年をかけて誕生させた商品で、粉から打ったうどんをミキサーにかけてペースト状にし、白だしを加えてうまみと風味を持たせることで「うどん+ドーナツ」という全く新しいジャンルの開拓に成功した。販売開始以降、好調な売れ行きを見せており、「うどーなつ」は今年5月20日までの約11カ月で累計販売数1600万食を突破。単品での購入も可能であることから、「うどーなつ」目当ての来店客ニーズも取り込んでいる。 不二家 <2211> [東証P]は、昨年9月に新業態店として初のドーナツ専門店「ペコちゃんmilkyドーナツ」1号店を神奈川県海老名市にオープンした。ロングセラー商品である「ミルキー」に使用している北海道産練乳を練り込んだ生地を使用しているほか、米油で揚げた軽いくちどけが特徴で、素朴でやさしい味わいのドーナツを販売する新ブランドとなっている。今年7月には常設店舗11店目となる「MARK IS みなとみらい店」をオープンしており、同社では更に店舗網の拡大を図っている。 フジオフードグループ本社 <2752> [東証P]は、16年5月に「はらドーナッツ」を買収し、現在は東京、大阪、兵庫、広島、熊本に10店舗を展開している。「はらドーナッツ」は、豆乳やおからなどを材料に使用しているほか、防腐剤や保存料を使用せずに「美味しく、安心して食べていただける」をコンセプトとしたドーナツで、健康志向の人にも人気という。 セブン&アイ・ホールディングス <3382> [東証P]傘下のセブン―イレブン・ジャパンは昨年9月、レジ横ドーナツに再参入した。同社は14年にレジカウンター横の什器でドーナツの販売を開始したものの、17年に撤退した経緯がある。当時は工場で揚げたものを販売していたが、再参入後は店舗で揚げることで品質を改善。同社ではカウンターのファストフードの強化を図っており、ドーナツ取り扱い店舗の拡大を進めている。 スマレジ <4431> [東証G]は昨年6月、福岡の人気ドーナツ店チェーン「TSUBAME DONUT」を買収した。同社は店舗のニーズを知り、より良いサービス開発に反映させることを目的に屋台やバーなどの実店舗の経営を行っており、この買収もその一環。今年3月には6店舗目を福岡市中央区に出店した。 このほか、ドーナツ調理で欠かせない企業としてマルゼン <5982> [東証S]に注目したい。業務用厨房機器の大手としてドーナツフライヤーも販売しており、ホイロと呼ばれる最終発酵を行う発酵器と一体型のものなども販売している。 株探ニュース