新サマーストックとして再注目、映画でも大人気の「アニメ関連」銘柄群 <株探トップ特集>

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コラム

―劇場版「鬼滅の刃」最新作が記録的な大ヒットへ、サブスク動画でも市場拡大続く―

 今年の夏もうだるような連日の猛暑に襲われているが、一部には暑さを避けるため、屋外レジャーを避ける動きも出ているようだ。そんな中、涼しい室内で楽しめる娯楽として、存在感を高めているのが映画やサブスクリプション(定額課金)形式の 動画配信だ。なかでも、その視聴コンテンツとして人気が高まっているのが、いうまでもなく「アニメ」である。新サマーストック として存在感を高めている「アニメ」関連に焦点を当てた。

●夏のレジャーは「屋内で楽しむ」に変化

 夏といえば、海水浴やハイキング、登山など、身体を動かし汗をかくアクティビティにいそしむ季節というイメージがあるが、もはやこうしたお決まりのイメージは揺らぎつつあるのかもしれない。実際、7月には兵庫県丹波市で41.2度の日本歴代最高気温を記録したほか、北海道でも7月としては観測史上1位となる暑さを各地で記録するなど、もはや猛暑が災害化していると言っても過言ではない状況だ。日本に限った話ではなく、トルコでも7月に過去最高の50.5度を記録したことが世界的なトピックになった。このような状況がもたらすものは夏のレジャーは「屋内で楽しむ」への需要シフトである。夏における消費の構造変化は、エンターテインメント関連企業の戦略にも影響を及ぼしてくるのかもしれない。

●最新作「鬼滅の刃」は興行収入で歴代トップに期待

 そんな中、注目しておきたいのが涼しい屋内で楽しめる映画やサブスクでの動画配信だ。そのコンテンツとして、とりわけ高い人気を誇るのがアニメ関連市場である。アニメの持つ力と人気を多くの人々に知らしめた近年の代表作が「鬼滅の刃」だ。7月18日から劇場版「無限城編 第一章 猗窩座(あかざ)再来」がソニーグループ <6758> [東証P]傘下のアニプレックスと東宝 <9602> [東証P]の配給により公開されているが、「鬼滅の刃」公式Xがきょう、「公開17日間で観客動員1255万8582人(興行収入176億3955万7600円)」に達したと発表した。鬼滅の刃の映画1作目である2020年に公開された「無限列車編」が国内興行収入404億円で歴代1位となった記録を持つが、夏休みに入り新作の無限城編の客足は順調に伸びており、5年ぶりに歴代トップの記録が塗り替えられることへの期待も高まっている。

 一方、13年に日本に初上陸した「4DX」という上映システムをご存じだろうか。映画に合わせて座席が動いたり、香りや水しぶきを浴びたりするといった効果を用いて、より臨場感ある視聴体験ができるシステムだ。全ての映画で楽しめるほどの普及には至っていないが、この4DXとアニメの親和性は非常に高く、将来的には映画の付加価値の向上という意味でも、スタンダードとなっていくことも十分ありえる。更に、いつでも楽しめる選択肢として近年定着したのが、「アマゾン・プライム・ビデオ」や「ネットフリックス」、U-NEXT HOLDINGS <9418> [東証P]が手掛ける「U-NEXT(ユーネクスト)」といった動画配信サービスだ。こちらについても、アニメコンテンツのラインアップ拡充に各社が心血を注いでいることは、実際のユーザーなら日々実感しているところだろう。

●中核銘柄ソニーGはバンナムHDと業務提携

 「クレヨンしんちゃん」「ドラえもん」「ポケモン」などはお馴染みのコンテンツだが、夏休みのタイミングに合わせて、新作映画の公開やサブスク動画における新作シリーズの配信開始などが毎年多数予定される。場所を問わず楽しめるアニメ関連は、新サマーストックとして位置づけられようとしている。バンダイナムコホールディングス<7832>とソニーグループ<6758>は先月に戦略的な業務提携契約を締結したが、アニメ領域を中心に、世界中のアニメ・マンガなどのファンのコミュニティーの拡大とエンゲージメント強化に注力することや、両社の強みを融合して、ファンにとって新たな感動体験を提供する機会や場を創造し、知的財産(IP)価値の最大化を図っていくことを業務提携の目的として示している。アニメ関連の中核銘柄としてはアニプレックスをグループ企業に持つソニーGになるだろう。以下では、多くのヒット作を手掛けてきたアニメ制作会社を傘下に収める企業を中心に紹介する。

●テレ朝HDやセガサミー、セルシス、IGポートなど注目

 テレビ朝日ホールディングス <9409> [東証P]~10年に国民的なアニメである「ドラえもん」「クレヨンしんちゃん」の2大タイトルを制作するシンエイ動画を完全子会社化した。「映画クレヨンしんちゃん 超華麗!灼熱のカスカベダンサーズ」が8月8日に公開される。本作の舞台はインドとなるが、現地では週7日放送されるなど国民的人気は高く、インドでも9月26日に劇場公開されることが決定している。

 日本テレビホールディングス <9404> [東証P]~23年に宮崎駿監督のアニメーション映画などを制作するスタジオジブリを子会社化している。そのほか、子会社には「ハクション大魔王」「マッハGoGoGo」「タイムボカンシリーズ ヤッターマン」などを制作しているタツノコプロ、「葬送のフリーレン」「ちはやふる」「チ。‐地球の運動について‐」などを手掛けるマッドハウスがある。

 セガサミーホールディングス <6460> [東証P]~同社を代表するIPである「ソニック」は、数々のヒットゲームに登場し20年代に公開された映画は世界的な大ヒットを記録した。グループでアニメ制作などを手掛けるトムス・エンタテインメントは、4月公開の「劇場版 名探偵コナン 隻眼の残像」、6月公開の「それいけ!アンパンマン チャポンのヒーロー!」「LUPIN THE IIIRD THE MOVIE 不死身の血族」などの制作を手掛けている。

 セルシス <3663> [東証P]~デジタルコンテンツの制作・活用で拡大するクリエイターエコノミー市場において、イラスト・マンガ・Webtoon・アニメーション制作アプリ「CLIP STUDIO PAINT」を提供している。同製品は業界標準の高機能ペイントアプリとして、多くのアニメ会社で利用されている。「CLIP STUDIO ASSETS」には、27万件以上の素材があるほか、ソニー製のモーション制作統合アプリ「XYN Motion Studio」のモーション素材なども利用可能である。

 IGポート <3791> [東証S]~国内外からの受注や自社原作の劇場、テレビ、ビデオ、配信、ゲーム用アニメーション及びゲームソフト作品の映像制作事業を行っている。傘下にはアニメーション制作のプロダクション・アイジー、ウィットスタジオのほか、コミック専門出版社のマッグガーデン。なお、「シン・エヴァンゲリオン劇場版」「シン・ウルトラマン」などを手掛けた庵野秀明氏は、8月21日付でプロダクション・アイジーの取締役に就任する。

 ノジマ <7419> [東証P]~家電量販店が主力だが、有料衛星放送チャンネルを運営する子会社のAXNが出資するAKエンタテインメントが24年4月、ソニーG傘下のソニー・ピクチャーズ エンタテインメントが保有していたアニマックスブロードキャスト・ジャパン及びキッズステーションの有料衛星放送事業などを譲り受けた。アニマックスはアニメ専門の有料チャンネル、キッズステーションは子どもも大人も楽しめる人気アニメを24時間放送している。

株探ニュース

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