社会実装へカウントダウン!「空飛ぶクルマ」関連が上昇旋風に乗る <株探トップ特集>
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―大阪・関西万博のデモ飛行再開、次世代モビリティで広がる空の利活用― 大阪・関西万博で12日、次世代の移動手段として関心が高い 「空飛ぶクルマ」のデモ飛行が再開された。丸紅 <8002> [東証P]が運航する米社製の機体が4月26日に一部損傷し、それ以降デモ飛行が中止されていた。人口減少・少子高齢化社会を迎えた日本は、地方経済の衰退、グローバル化の進展に伴う厳しい国際競争、大規模地震などの自然災害、地球規模の気候変動といった多くの問題に直面しており、社会的な課題を解決する手段のひとつとして「空飛ぶクルマ」が期待されている。 ●さまざまな課題解決に一役 国土交通省によると、空飛ぶクルマとは「電動化、自動化といった航空技術や垂直離着陸などの運航形態によって実現される、利用しやすく持続可能な次世代の空の移動手段」のこと。諸外国ではeVTOL(Electric Vertical Take-Off and Landing aircraft)やUAM(Urban Air Mobility)と呼ばれ、新たなモビリティとして世界各国で機体開発が行われている。 現在は人や物の移動において長距離の輸送には航空機が使用されているが、空の利用にはまだまだ大きな可能性がある。将来的に短中距離を自動で飛行して、安全かつ安価に人や物を移動させられる機体やサービスが実現すれば、都市部での移動にかかる時間の短縮、離島や山間部での移動の利便性向上、災害時の救急搬送や物資輸送の迅速化など、さまざまな社会課題の解決や新サービスの創出が期待できる。 国内では大阪・関西万博を節目に、制度設計・ルール作り(協調領域)につながる実務的な協議や実証実験などが精力的に進められており、関連銘柄をマークしておきたい。 ●スカイドライブ関連株に注目 SkyDrive(スカイドライブ、愛知県豊田市)は、空飛ぶクルマの開発・製造・販売・運航サービスなどを手掛け、7月31日~8月24日に大阪・関西万博でデモ飛行を行う予定だ。直近では11社を引受先とした第三者割当増資により、プレシリーズDラウンドにおいて総額83億円の資金調達を実施した。 同ラウンドの新規引受先となったのはユニバンス <7254> [東証S]、JR東日本 <9020> [東証P]、JR九州 <9142> [東証P]の3社で、ユニバンスは駆動系の技術の知見を活用し、空飛ぶクルマの重要なポイントである軽量化・高効率化を支援する構え。JR東日本とJR九州は鉄道と次世代モビリティの連携で、地方課題である二次交通の問題解決などにつなげたい考えだ。 同ラウンドの既存引受先は、大林組 <1802> [東証P]、ニッパツ <5991> [東証P]、スズキ <7269> [東証P]、伊藤忠商事 <8001> [東証P]傘下の伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> [東証P]傘下の三菱UFJ銀行、三井住友トラストグループ <8309> [東証P]傘下の三井住友信託銀行とSBIホールディングス <8473> [東証P]傘下のSBIインベストメントのプライベートファンドであるSuMi TRUSTイノベーション投資事業有限責任組合、関西電力 <9503> [東証P]、豊田鉄工(愛知県豊田市)の8社となっている。 ニッパツは、万博会場でデモフライトが計画されている「SkyDrive式SD-05型」に、安全な飛行に欠かせない重要な部品である着陸脚(スキッド)を供給しており、今回の追加出資で一層の関係強化を図る狙い。スズキは事業・技術連携を更に深化させるという。 ●テラドローンなども要マーク このほかの関連銘柄としては、兼松 <8020> [東証P]が6月20日に大阪府の「空飛ぶクルマ都市型ビジネス創造都市推進事業補助金」及び大阪市の「空飛ぶクルマ社会実装促進事業補助金」に採択されたと発表。これは中日本航空(愛知県豊山町)や日本工営(東京都千代田区)などと提案したもので、同社は全体統括やバーティハブ(整備・駐機拠点)構想の具体化及びこれを活用した広報活動を担う。 日本航空 <9201> [東証P]は6月17日、電動ハイブリッド航空機「MAEVE Jet」を開発する独メイブ・エアロスペースと協業についての基本合意書(MOU)を締結。同月16日には空飛ぶクルマの開発を進めている米ウィスク・エアロなどと、日本における無操縦者航空機の社会実装及び制度設計に向けた実証飛行に関するMOUを締結した。 Terra Drone <278A> [東証G]は5月20日、三井物産 <8031> [東証P]と米国における合弁会社設立の検討に関するMOUを締結したと発表。将来的に米州における ドローン及び空飛ぶクルマを活用した次世代エアモビリティ分野で、両社の強みを生かした共同事業の展開を検討するとしている。 ブルーイノベーション <5597> [東証G]は5月8日、日本UAS産業振興協議会(東京都文京区)と大阪・関西万博で飛行する全てのドローンの安全運航管理を支援すると発表。更にドローンと空飛ぶクルマとの運航調整も担当し、次世代モビリティ社会に向けた取り組みを推進していくという。 これ以外では、空飛ぶクルマのプラットフォーム(機体製造以外の全要素)を開発するAirX(東京都千代田区)に出資しているヒト・コミュニケーションズ・ホールディングス <4433> [東証P]、Macbee Planet <7095> [東証P]、西武ホールディングス <9024> [東証P]、マイクロアド <9553> [東証G]に注目。トヨタ自動車 <7203> [東証P]などが出資する米ジョビー・アビエーションは15日、カリフォルニア州とオハイオ州にある施設での製造体制拡充を発表している。 株探ニュース