パウエル議長の解任巡り市場は混乱 ドル円は146円台に急落する場面も=NY為替概況

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パウエル議長の解任巡り市場は混乱 ドル円は146円台に急落する場面も=NY為替概況

 きょうのNY為替市場、パウエル議長の解任を巡る一連のニュースで市場が不安定になる場面があった。ドル円も急速に下落し、146円台に急落する場面も見られた。

 トランプ大統領がホワイトハウスで共和党議員に対し、「パウエル議長を解任すべきかどうか」と尋ね、複数の議員が支持の意思を表明したと報じられた。「トランプ大統領が近くパウエル議長を解任する可能性が高い。書簡を準備している」といったホワイトハウス高官の発言なども報じられ、市場は混乱。ただ、最終的にトランプ大統領が火消しに回っている。大統領はその後の会見で「パウエル解任に関する報道は真実ではない。解任の可能性は極めて低く、その計画もない」と述べた。これを受けてドル円も下げを戻す展開となった。

 ハセット米国家経済会議(NEC)委員長などは、FRB本部ビルの改修費用超過(約7億ドル超のコスト増)を職務怠慢の根拠として解任が可能との見方を示しているが、米連邦準備法の規定や最高裁の判例では、FRBの独立性は強く守られており、政権による一方的な解任は困難というのが大方の見方となっている。
 
 本日は6月の米生産者物価指数(PPI)が発表になり、予想外の前月比変わらずとなっていた。特にサービス価格の下落が寄与。これは企業が関税コストの一部を吸収している可能性を示唆している。市場は前日のCPIの見方をやや反転させていたが、年内に1回か2回の利下げの可能性に変化はない。

 ユーロドルも一旦1.17ドル台に買い戻された後に、1.16ドル台半ばに伸び悩んだ。上値の重い展開に変化はないようだ。ここに来てフランスの政局不安が再び台頭している。フランス政府による財政の穴埋めのための野心的な計画により、バイル首相が失脚する恐れがあるとの指摘が出ている。バイル首相は前日、来年の財政赤字をGDP比で今年の推定5%超から4.6%に削減するため、440億ユーロの歳出削減を目指すと述べた。計画では、祝日の2日間の削減や年金・公務員給与の据え置きなどの措置により財政支出を抑制するという。

 しかし、これらの措置は不人気となる可能性が高く、バイル首相は議会で過半数を確保できていないため、年後半の信任投票で議会が政権を倒す重大なリスクがあると述べている。

 ポンドドルも一旦1.34ドル台後半まで買い戻された後に、1.34ドル台前半に伸び悩む展開。ただ、上値の重い展開に変化はないようだ。明日は3-5月の英雇用統計が発表になるが、数字次第では英中銀の利下げペースを左右する可能性があるとの指摘が出ている。この日の6月の英消費者物価指数(CPI)は予想を上回ったものの、市場では英中銀による8月の利下げは変わらない見られている。

 ただ、英労働市場と経済の減速は、英中銀の段階的かつ慎重な金融政策の継続には十分な状況。ただし、インフレは英中銀の予想を上回っており、安心感を与えていない。そのような中、明日の英雇用統計は金融政策の見通しを形作る上で、インフレ以上に重要性を持つ可能性があるという。英中銀が今年と来年にどの程度、どのくらいのスピードで利下げできるかを左右するのは、いまや労働市場次第だという。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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