【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─活躍の時を待つ「冷遇セクター」!問われる目利き力
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「活躍の時を待つ『冷遇セクター』!問われる目利き力」 ●旺盛な外国人買いの恩恵が及ばぬセクターも 時々小幅に下げたり、軟調になったりするものの、現在の株高は何が原因になっていると思うだろうか? それは外国人投資家たちが買っているからだ。中東、ロシア・ウクライナ地域での地政学リスク、トランプ関税問題が経済の先行きにとって暗雲となっているのに、なぜ外国人投資家たちは日本株を買っている?--こうなるのではないだろうか。なんと彼らは4月第1週から14週連続で日本株を買い越しているのだ。14週連続の買い越しは、2012年11月から2013年3月までの「アベノミクス初期」に匹敵する動きである。しかし、今回はアベノミクス時のようなインパクトのある株価支援材料などは見当たらない。それなのに……?となるが、考えられるのは次の2点になる。 ・トランプ大統領が念願とした減税案が議会を通過し、減税実施により消費の拡大が見込める。 ・トランプ大統領はFRB(米連邦準備制度理事会)に利下げを迫り続けていて、年内には利下げされる可能性がある。 このような思惑があるからになる。ところが、それらによる恩恵をほとんど受けていないセクターがある。それはいま、日本の株式市場で冷遇されているセクター、 自動車・自動車部品関連株 である。その背景にあるのは、言うまでもなく米国による対日関税強化の懸念である。トランプ大統領は「日本は米国車を買わず、貿易不均衡の是正が必要だ」と強硬姿勢を強めている。トランプ政権はすでに輸入される自動車に25%の関税を課しており、日本の自動車産業全体に対する重圧を強めている。こうした米国の動きを受けて、株式市場では自動車関連をネガティブに見るのが大勢であり、トヨタ自動車 <7203> [東証P]やホンダ <7267> [東証P]を筆頭に関連株全体が軟調に推移している。 ●自動車セクターの先行指標・部品株の動向をチェック! しかし、市場が冷たく見ている時こそ、投資家としての「目利き力」が問われるのだ。株式市場とはシーソーのようなもの。一方が買われれば、もう一方は売られる。現在、高値圏にあるのは消費関連株だ。私が以前から注目してきた良品計画 <7453> [東証P]、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス <7532> [東証P]、FOOD & LIFE COMPANIES <3563> [東証P]などはまさにその代表格である。その一方で、自動車・自動車部品株は長らく避けられてきた“冬の時代”を迎えているかにみえる。たしかに、リスクを考えれば「手を出さない」のが正解かもしれない。だが、私はむしろ、「次に上がるセクターはここだ」と考えて、日々その値動きをチェックし、監視を怠っていない。ときに、少額の試し買いを入れてみるのもよいだろう。上昇に転じなければすぐに撤退すればよい。これはタイミングを逃さないための準備運動のようなものだ。 なぜなら、相場とは「予想」よりも「行動の準備」がものを言う世界だからだ。予想だけしても、実際に値が動き出したときに動けなければ意味がない。 では、どうするか? まずは日々チャートを見ること。それも、単に「今日上がった・下がった」ではなく、ローソク足の位置、移動平均線との関係、出来高の推移といった“息づかい”を感じ取ることが大切だ。これを繰り返していれば、「これは反発の兆しか」と誰の目にも明らかな場面に出会える。 こんな観点から私が現在、特に注目しているのは自動車メーカーではなく、その“周辺”の部品株となる。自動車メーカーに比べて規模が小さいため、資金流入時の株価反応が早い。業績回復が見えたとき、先に評価されやすい。自動車メーカー株よりも低位株が多く、仕込みやすい。つまり、部品株が先行指標になりやすいとの認識だ。私が定期的にチェックしているのは、以下のような銘柄群だ。 新明和工業 <7224> [東証P] 武蔵精密工業 <7220> [東証P] トピー工業 <7231> [東証P] 東京ラヂエーター製造 <7235> [東証S] ティラド <7236> [東証P] 大同メタル工業 <7245> [東証P] ユニバンス <7254> [東証S] TBK <7277> [東証S] 住友理工 <5191> [東証P] ハイレックスコーポレーション <7279> [東証S] 豊田合成 <7282> [東証P] 日本精機 <7287> [東証S] 日本特殊陶業 <5334> [東証P] 村上開明堂 <7292> [東証S] セレンディップ・ホールディングス <7318> [東証G] 銘柄が思いがけなく増えたので、以上の中から3銘柄を取り上げたい。まずは新明和工業になる。すでに防衛関連株として取り上げたことがあるが、私は個人的にこの株に好感を持っているのだ。私が昔から事務所で使っている椅子がこの会社の製品だからだ。非常に座り心地が良くて、あまり座らないことにしている。すぐに眠ってしまい、仕事ができなくなるからだ。もちろん、これ以外にも材料はある。この会社は特装ダンプで首位、しかも自衛隊向けに救難飛行艇を製造しているので前述したように防衛関連株でもある。 次は住友理工だ。自動車や建機用の防振ゴムに強い企業だ。トヨタ向けの納入がメインだが、他社にも納めている。防振ゴムに限らず、自動車部品や周辺素材がトランプ関税の影響を受けるのは避けられないが、東南アジアや中国などへの輸出は問題ない。しかも、それらの地域にも自動車メーカーはあり、防振ゴムの需要もある。株式市場は今後、次第にそれに気付くと見てよい。 最後に、日本特殊陶業を。自動車用点火プラグ、排気センサーで世界首位の企業だ。インドや欧州で排気センサーの需要は堅調なので、株価の急騰はないものの、堅調高は十分あり得る。 2025年7月11日 記 株探ニュース