ドル円、147円台半ばまで上げ幅拡大 トランプ大統領の強硬姿勢は続く=NY為替概況
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ドル円、147円台半ばまで上げ幅拡大 トランプ大統領の強硬姿勢は続く=NY為替概況 きょうのNY為替市場、ドル円は147円台半ばまで上げ幅を拡大した。本日145円台後半に来ている100日線できっちりとサポートされており、反転の兆しを強めている。6月高値の148円ちょうど付近が次の上値抵抗として意識され、これを上抜ければ200日線に向けた上昇余地が広がる。 関税に関するトランプ大統領の強硬姿勢は続いており、今度はカナダに35%関税率を通知したほか、EUにも新たな関税率を通知する書簡を今週中にも通知する予定。これに対して為替市場はドル高の反応を見せている。関税強化は米インフレを上昇させ、FRBの早期利下げ期待を後退させると見られている。FRBは6月以降、関税の影響がインフレに出ると予測している。来週は6月米消費者物価指数(CPI)が発表になるが、前回よりも高めの数字が予想されているようだ。 むしろ、円安の方が目立っていた印象もあった。円は主要通貨の中で対ドルで最も弱い通貨となっている。参院選で自公の苦戦が伝えられており、政治情勢の流動化を嫌っている模様。外貨準備が第1四半期に、過去に例のない規模で円からスイスフランへシフトしているとのIMFのレポートも出ていた。 日銀の利上げ期待後退や財政、そして米国との貿易交渉が早期にまとまらないのではとの不安が安全資産としての円の魅力を低下させているといった説明も聞かれる。もっとも、積み上がった円ロングのポジション調整が最大要因とも思われる。 ユーロドルは1.16ドル台後半での膠着した展開。本日の為替市場はドル高が優勢となり、ユーロドルも上値が重かったものの、対ポンド、円では上昇するなど底堅さは堅持している。エコノミストからは、ユーロの底堅い推移にもかかわらず、ECBは利下げへの慎重姿勢を維持する可能性が高いと述べている。ユーロ高でインフレがECBの目標である2%を下回る可能性が生じるものの、金融政策にはよく知られているタイムラグがあるため、ECBは為替変動をあまり重視しない可能性があるという。 さらに、貿易加重ベースではユーロの上昇は比較的控えめだとも述べている。ECBの6月理事会の議事要旨でも、ユーロ圏企業は利益圧迫に直面しており、企業はユーロ高によるメリットを価格に還元するのではなく、自社の利益回復に充てる可能性があるとされている。一方、欧州の財政刺激策が緩和されれば、ユーロ高がもたらす物価下押し圧力を相殺する可能性があるとも指摘した。 ポンドドルは売りが加速し、1.34ドル台に下落。本日の下げで21日線を下放れしており、来週以降の動きが注目される。この日発表の5月の英月次GDPが予想外のマイナス成長となったことがポンドを圧迫。前月比0.1%低下と2カ月連続のマイナス成長となり、第2四半期の英経済はマイナス成長が濃厚となって来ている。 エコノミストは、今回の弱い英GDPにより、英中銀が8月利下げに踏み切る可能性が高まったと指摘。世界経済の減速や英企業に対する増税といった持続的な重しにより、今年の英GDPは1%成長に留まるとも予測している。 MINKABU PRESS編集部 野沢卓美