来週の株式相場に向けて=最高値の米国市場と「出遅れ日本株」の行方を探る夏に
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11日の日経平均株価は前日比76円安の3万9569円と小幅続落。前日の米株式市場でナスダック指数とS&P500株指数が最高値を更新したことも好感され、朝方に一時は3万9950円台と4万円に迫ったが、その後は一気に値を消した。 前日の決算発表を受け、ファーストリテイリング<9983.T>が前日比7%近い下落となり、1銘柄で日経平均株価を260円あまり押し下げたことが響いた。ただ、この日の相場では日経平均採用銘柄の7割は値を上げており、TOPIXは小幅高だったことから実態は内需株を中心に底堅い状況だった。 そんななか、米国市場が最高値圏にある一方、日本株は4万円を前に足踏み状態を続けている。この背景には何があるのか。「25%の関税をかけられた自動車業界をみても、米国での値上げで対応するのではなく、自社で抱え込む形となっている。おかげで米国の物価上昇率も抑えられている。いまのところトランプ氏の主張が勝利した格好となっており、これが米国市場は最高値圏に上昇する一方で、日本株の上値は重く出遅れ状態にある要因だろう」(アナリスト)という。 とはいえ、日本車にも米国で値上げの動きは出ている。また、米国での物価動向を確かめるうえでも、来週15日に発表される米6月消費者物価指数(CPI)、16日の同卸売物価指数(PPI)の結果は注視されている。更に、20日に予定されている参議院選挙で波乱があるかどうかだ。新たに設定された8月1日の「相互関税」の発動期限に向けた展開を市場は注視するなか、この先は参院選と政局動向にも関心が向かうと見られ、ホットな夏を見据えた展開は続きそうだ。 上記以外のスケジュールでは、14日に中国6月貿易収支、15日に中国4~6月期GDP、米7月NY連銀製造業景気指数、16日に米6月鉱工業生産、17日に米6月小売売上高、米7月フィラデルフィア連銀製造業景況感指数、18日に米6月住宅着工件数、米7月ミシガン大学消費者マインド指数が発表される。 15日にJPモルガン・チェース<JPM>、16日にバンク・オブ・アメリカ<BAC>、シティグループ<C>、ゴールドマン・サックス・グループ<GS>、ASMLホールディング<ASML>、17日に台湾積体電路製造(TSMC)<TSM>、ネットフリックス<NFLX>、18日にアメリカン・エキスプレス<AXP>が決算発表を行う。 国内では、14日に5月機械受注、16日に6月訪日外客数、17日に6月貿易統計、6月首都圏新規マンション発売、18日に6月消費者物価指数(CPI)が発表される。14日にサカタのタネ<1377.T>、IDOM<7599.T>、15日に東宝<9602.T>、ベイカレント<6532.T>、17日にディスコ<6146.T>、18日に東京製鐵<5423.T>が決算発表を行う。18日にみのや<386A.T>が新規上場する。来週の日経平均株価の予想レンジは3万9000円~4万円前後。(岡里英幸) 出所:MINKABU PRESS