ドル円、145円台を回復 米雇用統計が米労働市場の底堅さ示す 円安の動きも=NY為替概況
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ドル円、145円台を回復 米雇用統計が米労働市場の底堅さ示す 円安の動きも=NY為替概況 きょうのNY為替市場、ドル円は買いが強まり145円台を回復。この日発表の6月の米雇用統計が米労働市場の底堅さを示したことから、為替市場はドル高の反応が見られた。一方、それ以上に円安がドル円を押し上げていた面も大きかったようだ。 米雇用統計を受けてFRBの早期利下げ期待が後退。パウエルFRB議長はインフレへの関税の影響が明確になるまで利下げを急がない方針を示しているが、労働市場が大きく弱まった場合には、利下げのタイミングが早まる可能性があるとも議会で証言していた。ただ、本日の米雇用統計はその可能性を後退させる内容となり、短期金融市場でも前日は25%程度あった7月利下げの確率がほぼゼロとなっている。 一方、日銀の早期利上げ期待も後退しており、短期金融市場では年内の利上げを五分五分で見ている状況。日米の貿易協議が暗礁に乗り上げており、それが明確にならない限り、日銀も動けないといったところかもしれない。本日はベッセント財務長官の発言が伝わっていたが、「日本は参院選があるため、いまは難しい」と述べていた。 7月9日の期限内に協議はまとまりそうもなく、少なくとも7月20日の参院選を通過するまでは、事態に進展が見られない可能性もありそうだ。参院選後に交渉相手の石破政権が存続できるかも含めて、しばらく事態は流動的かもしれない。 本日144円台半ばに来ていた21日線を回復したが、明日以降、反転の狼煙をあげるか注目される。ドルショート・円ロングは依然として積み上がっており、ポジション的には買いが出易い状況にはある。 ユーロドルは一時1.17ドル台前半に下落したものの、動きが一巡すると下げ渋った。しかし、ドル安への期待は根強く、ユーロドルは下がったところでは押し目買いが活発に出る模様。ポイントとなっている1.17ドル台を堅持しており、大きな心理的節目である1.20ドルを向けた動きは継続している。 エコノミストは、9月にECBの0.25%ポイントの利下げを予想しており、それにより中銀預金金利は1.75%まで低下し、それが基本的に利下げの終了点だと述べている。ただ、短期金融市場では9月利下げの可能性は50%といったところで、本命は12月利下げを想定している状況。今後のユーロ圏の成長はやや鈍化するものの大幅な減速はなく、インフレも2%前後で落ち着いた動きになるとも予測していた。 ポンドドルは下に往って来いの展開。この日の米雇用統計を受けてドル高が優勢となり、ポンドドルも発表直後に1.35ドル台に急速に下落する場面が見られた。ただ、直ぐに買い戻され、米雇用統計後の下げを解消。全体的にポンドは強い動きを見せていた。 スターマー首相がリーブス財務相の去就を巡り火消しに努めたことがポンドをサポートしたようだ。首相は、リーブス財務相が今後何年も現職に留まるだろうと発言し、退任の観測を打ち消した。前日の下院の質疑で首相は、財務相への全面的支持表明を避け、英資産の売りを誘っていた。 リーブス財務相は国民保健サービス(NHS)の10カ年計画について、「経済を再び強固な基盤に立て直した」と述べ、病院向けに数十億ポンドの追加資金を確保したと強調していた。「財政規律を守ってきたからこそ、公共サービスへの投資を拡大できる」とも語った。 MINKABU PRESS編集部 野沢卓美