明日の株式相場に向けて=「森」ざわめくも中低位材料株祭りは続く

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 きょう(2日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比223円安の3万9762円と続落。前日の500円あまりの下げで夢から覚めた感触も残るなか、きょうの値動きが注目されたが、トランプ米大統領が日本に対し沈黙を破り、極めて高圧的なコメントを発したにしては狼狽するような雰囲気には乏しかった。日本に対し30~35%まで関税の引き上げをチラつかせ、端的に言えば脅しを入れてきたわけだが、マーケットは比較的冷静に受け止めた。積極的に買い向かって報われるようなタイミングにも見えないが、一気に下値を探る展開とならなかったのは幸いだった。現状は空売りの買い戻しが一巡した一方で、個人投資家など出遅れた向きの押し目買いニーズが旺盛であったのは事実で、きょうはネット証券の売買手口でも半導体関連や防衛関連株などの下値を敢然と拾う動きが観測されていた。「初押しは買い」というセオリーはあるものの、投資マインドが依然として熱を帯びた状態であることを証明した。

 テクニカル的にみると、日経平均は5日移動平均線がまだ上向きを維持しているとはいえ、きょう陰線を引いて5日線を下抜けるようだと、高値圏での陰線3本、いわゆる「三羽烏」の形成でにわかに警戒感が高まるところであった。市場では「極めてピッチの速い上昇を経て、典型的なアイランドリバーサル(6月30日の日足)を示現してしまうと、今度は一転売り急ぎの地合いに移行するケースも考えられる」(ネット証券マーケットアナリスト)という指摘もあった。しかし、きょうは355円安でスタートした後、わずか数分で下げ幅を540円程度まで広げる場面があったのだが、そこで踏みとどまり陽線で引ける粘り腰をみせた。もっとも今は強弱観対立というのが妥当なところ。後場に入ると漸次下げ幅を縮小し一時はプラス転換しそうな勢いもみせたが、4万円大台が視界に入ったあたりで売り板が厚くなり押し返されるという、ジリジリとさせられる展開に終始した。

 プライム市場の売買代金上位を占めた半導体や防衛関連の主力どころは下値模索のオンパレードだったが、“看板以外の”銘柄には強い動きが目立ち、値上がり銘柄数が値下がりを上回ったという事実に目を向けなければならない。投資マネーはしたたかであり、日経平均に連動しにくい比較的時価総額の小ぶりな銘柄に照準を合わせ、テーマ性に富む銘柄を中心に物色の矛先を向けている。市場別ではグロース市場の下げがきつかったとはいえ、大型株指数、中型株指数、小型株指数の区分では明らかに小型株の健闘が目立った。

 基本的に現状はカネ余り相場の環境が維持されているようだ。「トランプ関税問題に振り回される銘柄がダメでも他を探せばよい」というコンセプトが投資マインドを支えている。前日の当欄で7月は全体相場が波乱含みとなる可能性に言及したが、昨年8月や今年4月のような個別株物色の流れまで一気に御破算にしてしまうほどの、超ド級の下げ相場に発展することは現状では考えにくい。

 物色対象は相変わらず、株価3ケタ台の中低位株が選好されており、これは個人投資家が好む相場の景色ともいえそうだ。新たにマークしておきたい銘柄としては、自社開発の電子カルテシステムを主力に中小病院向けを軸としたDX支援を行っているCEホールディングス<4320.T>や、医療・介護分野に特化したクラウドサービス事業を手掛けるカナミックネットワーク<3939.T>で、いずれも値ごろ感がある。カナミックNは業績の好調ぶりが光っており、24時間ジムなどのフィットネス事業への展開も時流を捉え注目できる。また、医療機関や製薬向けにデータネットワークサービスを展開するメディカル・データ・ビジョン<3902.T>も400円台で25年12月期は業績急回復が見込まれPER面も割安感がある。

 一方、足もと突風に見舞われた感もあるグロース市場だが、そのなかで個別に強さを発揮している銘柄はむしろ注目しておく価値がある。前週も取り上げたが遊技機向け映像ソフトウェアの受託開発を行いAI活用のソリューションにも尽力するテクノロジーズ<5248.T>が再び動意含み。また、鉄道株人気を背景に駅探<3646.T>にも意外性がある。

 あすのスケジュールでは、週間の対外・対内証券売買契約、7月の日銀当座預金増減要因見込みがいずれも朝方取引開始前に開示されるほか、前場取引時間中に30年物国債の入札が行われる。また、日銀の高田審議委員三重県の金融経済懇談会で挨拶を行い、後場取引時間中に記者会見が予定されている。同じ時間帯に需給ギャップと潜在成長率が日銀から発表される。なお、この日は参議院選挙の公示日となる。海外では、6月の財新中国非製造業購買担当者景気指数(PMI)のほか米国で重要経済指標が相次ぐ。6月の米雇用統計、週間の米新規失業保険申請件数、5月の米貿易収支、6月の米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業景況感指数、5月の米製造業新規受注などにマーケットの関心が高い。なお、この日は米独立記念日の前日にあたることで、株式・債券市場が短縮取引となる。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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