ドル円、144円台での推移 ドル安の見方は依然根強い=NY為替概況
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ドル円、144円台での推移 ドル安の見方は依然根強い=NY為替概況 きょうのNY為替市場、ドル円は144円台での推移が続いた。本日は月末期末の取引の中、方向感のない展開となった。ドル円は一旦143円台に下落する場面が見られたものの144円台に戻す展開。 ドル自体はここ数日下げ渋っているものの、月間で6カ月連続の下落となり、ドル安の見方は依然根強い。一部からは、そのペースに大きな影響を与えるのが円だとの指摘も出ている。6月に入ってからのドルは、2023年末以降で2番目に弱い月間成績となる見込みだが、唯一円に対しては上昇。円は年初来でもG10通貨の中で最も劣後している状況。 そのため、円高が進めばドルの一段安に繋がる可能性があるという。最近の物価データによると、日本のインフレが経済全体に広がり始めており、それは日銀の追加利上げの正当性を高める材料となる。他方、欧米の中銀は利下げ回数の見極めに入っており、金融政策の方向性が対照的になりつつある。 テクニカル勢からは、チャート的にドル円の売り圧力は今後も続く可能性があるとの指摘も出ていた。このまま昨年8月2日週の安値146.53円を下回る水準を維持した場合、2023年12月の安値140.25円まで約3%の下落が促される可能性があると述べている。 ユーロドルは買いを加速させ、1.17ドル台後半まで上昇し、年初来高値を更新した。根強いドル安期待の中、ユーロがその受け皿となっている状況。ただ、過熱感を測るテクニカル指標であるRSIが買われ過ぎの70を上回っており、さすがに過熱感は否めない状況ではある。 中東情勢が落ち着いたことや、貿易協議もメドが見えつつある中、市場の関心はファンダメンタルズに回帰している。その意味ではFRBや英中銀は利下げ期待が高まっている一方、ECBはすでに利下げサイクルの終了に接近しており、金融政策の格差がユーロをサポートしている模様。 本日は6月のドイツ消費者物価指数(HICP)速報値が発表になっていたが、前年比2.0%とECBの目標に一致していた。ただ、ECBの年内あと1回の利下げ期待には変化はない。明日はユーロ圏の消費者物価指数(CPI)速報値が発表され、総合指数は前年比2.0%、コア指数は2.3%が見込まれている。 ポンドドルは1.37ドルを挟んで上下動。一方、対ユーロではほぼ1週間ぶりの安値水準に下落。明日予定されている英労働党政権の福祉改革法案の重要な採決を前に、ポンドはさらに下落の可能性があるとの指摘がアナリストから出ている。政府はここ数日で大幅な譲歩を示したが、労働党内で大規模な造反が起きる可能性があるという。 法案はまだ可決される可能性が高いとはいえ、多数の労働党議員の反発は苦境に立たされているスターマー政権をさらに弱体化させると指摘している。 MINKABU PRESS編集部 野沢卓美