ドル安、ドル円は144円台半ばまで下落=NY為替概況

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ドル安、ドル円は144円台半ばまで下落=NY為替概況

 きょうのNY為替市場、ドル安が強まり、ドル円は144円台半ばまで下落する場面が見られた。トランプ大統領がイランとイスラエルの間で停戦が成立したと発表し、中東情勢への懸念が和らいでいる。しかし、合意の報道があってすぐに、イスラエルはイランからミサイルの発射があったことを検知し、イスラエルも空爆を行った。情勢は依然流動的ではある。一部からは「中東情勢を完全に後ろに置くには時期尚早」との声も出ていた。ただ、停戦成立で本日はひとまず安堵感が広がった模様。

 また、この日の予想を下回る米消費者信頼感指数やパウエルFRB議長の議会証言もドル安を後押し。パウエル議長は慎重姿勢を強調していたものの、「インフレ低下と雇用が低迷なら早期の利下げの可能性がある」と柔軟性も示していたことに敏感に反応。ただ、関税の影響で6、7、8月の数字はインフレを示す可能性に言及していた。

 ドル円は本日の下げで21日線に顔合わせしており、明日以降の動きが注目される。

 ユーロドルは一時1.1640ドル付近まで上昇。年初来の高値を更新している。停戦合意に信頼感はないとの見方も一部からは出ているものの、とりあえず市場は歓迎しており、原油相場も下落している。

 ラガルドECB総裁や他の政策当局者が最近、利下げサイクルの終了が近いとの見方を強調している中、ユーロは対ドルで買いやすい通貨となっている模様。

 ECBは利下げ打ち止めが接近している半面、FRBは年後半に利下げを再開し、来年5月のパウエル議長の任期満了以降は、トランプ大統領好みの利下げに積極的な議長が選出されるとの期待もあり、利下げが加速するとの思惑がある。その意味ではユーロドルは、買い易い通貨ペアではある。

 ポンドドルは一時1.3650ドル付近まで上昇し、2022年1月以来の高値水準に上昇した。本日の上げで21日線の上を復活しており、上向きの流れを継続している。

 エコノミストからは、英中銀は早ければ今年の夏にも利下げを検討できるとの指摘が出ている。5月の英消費者物価指数(CPI)の総合指数は僅かな低下に留まり、4月の3.5%から3.4%に低下していた。しかし、同エコノミストによると、英中銀が注視しているサービスインフレは前回の5.4%から4.7%に大きく低下しており、これは英中銀にとっては好ましい兆候だという。

 停戦合意で中東情勢の緊迫化も一服する中、原油相場も急落しており、エネルギーインフレへの警戒感も後退。その意味では英中銀の8月の金融政策委員会(MPC)での利下げは依然として検討余地があるという。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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