【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─ 「無風地帯銘柄」への安全投資で騒乱を乗り切る!

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コラム

「『無風地帯銘柄』への安全投資で騒乱を乗り切る!」

●相次ぐネガティブ材料、地政学的リスクの高まりも

 嵐がようやく去り、晴れ間が見えても、すぐに突風、雷雨が戻ってきて、傘やレインコートを乾かす間がない。世界はいまやこんな騒乱状態に陥っている。この騒乱のすべてにトランプ米大統領が関わっているわけではないが、その多くはトランプ氏の言動が背景にある。なかでも、日本への影響が大きいのが次の3つだ。

(1)トランプ政権は6月4日、国家安全保障の脅威を理由に、鉄鋼・アルミニウムに対する追加関税を25%から50%に引き上げた。
(2)トランプ大統領は同12日、米国外で生産された全ての自動車に対する25%の追加関税について「そう遠くないうちに税率を引き上げるかもしれない」と言い出した。
(3)トランプ大統領は同12日、日本製鉄 <5401> [東証P]のUSスチール買収計画について、経営上の重要事項に関して通常より強い拒否権を持つ「黄金株」を米政府が保有し、51%の所有権を米国が握ると発言した。

 これらが混乱要因となるのは、基本的に高率課税そのものが問題ではあるのだが、それを引き下げて対象国や市場を安心させたかと思うと、しばらくすると新たに関税引き上げを示唆する方針を匂わせる、こんなやり方を繰り返していることにある。ご本人からすれば一貫性はあるのだろうが、市場から見るとあまりに不透明で、方向性が掴めず、混乱に陥ってしまうのだ。さらに、追い打ちをかけるかのように、次のようなことまで起きた。

(4)インド西部アーメダバードで同12日午後に旅客機が墜落、乗客・乗員242人のうち、241人が死亡した。
(5)イスラエル軍が同13日、イラン各地の核関連施設を含む数十カ所の軍事施設を空爆した。

 正直、「マイッタなあ……」では済まない状況だ。しかし、である。週末の日経平均株価はどれだけ下げたか。338円、下落率は0.89%だった。338円安はもちろん有り難くないし、面白くもない。だが、前述したような特大な事象、事件が発生しているのだ。日経平均株価は常識的には少なくとも3%以上、いや、5%以上の下落があっても不思議ではなかった。それが1%に満たない338円安で済んだのは、意外な耐性の強さを示したものとなる。今年は半年が過ぎる前に、あまりに多くのネガティブ材料に見舞われてしまったため、新たな気掛かり材料に対して感応度が著しく落ちている。こんなことになっている可能性が高く、投資する立場からはひそかに歓迎できる。

 こんな現象が見られるのは、コロナ禍以来である。当時、東京市場は一時的に急落したが、その後は新型コロナへの対応が後手後手に回ってわれわれが恐怖に震える中で、多くの銘柄が上昇を続けた。今回も似たような動きになりつつあるように見える。

●マークすべき5つの無風地帯銘柄

それでも世界を混乱に陥れている政策や事件とは、なるべく関わりのない銘柄に投資した方が安全に決まっている。そこで、ここは「無風地帯銘柄」への投資がお勧めだ。そんな銘柄があるのか? もちろんあるのだ。

 そこで、まずはFOOD & LIFE COMPANIES <3563> [東証P]になる。ご存じ「スシロー」を運営している企業だ。上昇要因となるのは、もちろんコメの安定確保になる。改めて説明するまでもなく、いまコメは価格変動が問題となっているだけでなく、その安定確保も困難になっている。しかし、スシローは「スシロー米」と命名したコメを契約農家から仕入れている。これにより、外国人旅行者たちが今後増加しても十分対応できるため、株価はすでに高いがさらなる上昇が見込める。

 西武ホールディングス <9024> [東証P]も、いまは「無風地帯銘柄」の一つになる。西武ホールディングスの傘下にある西武鉄道の悲願は、JR東日本(東日本旅客鉄道 <9020> [東証P])との相互乗り入れだった。それが9日、2028年度をメドに西武池袋線とJR武蔵野線の直通運転を検討中であることが報じられたのだ。すぐに実現するわけではないものの、JR東日本の喜勢陽一社長が10日の定例記者会見で検討を明らかにしており、実現の確率は高く、株も要マークだ。

 世界が騒乱状態になっている中で、訪日外国人観光客は増加を続けている。これはよく知られていることだが、それらの20%ほどが来店する店と言ったらどこだろう。「ドン・キホーテ」になる。同店は外国人観光客の間で、日本を訪れたら必ず行ってみたい店のナンバーワンだ。運営するのはパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス <7532> [東証P]。株も当然魅力的で、小反落を見逃さないようにしたい。

 日本に海外の高級ホテルがどんどん進出し、日本のホテルや旅館の存在感が薄らぎつつある中で、「世界で通用するホテル運営」をコンセプトに、世界の高級ホテルに遜色ないブランドに育っているのが星野リゾート。しかし、同社は上場していないので、同社がスポンサーになっている星野リゾート・リート投資法人 <3287> [東証R]に投資しておけばよい。株と同様に売買できる。米ニューヨーク州で和風温泉旅館を運営すべく準備中であることも今後のREIT価格の支援材料になる。

 期待した食料品の消費税ゼロ化は実現しそうもない。代わりに石破首相は13日、国民1人あたり2万円(子ども・低所得世帯は4万円)の給付を参院選の公約に盛り込むと表明した。2万円が給付されたら、使途は様々ながら肉の購入も増える。こう見てよいため、JMホールディングス <3539> [東証P]に注目だ。この会社は「肉のハナマサ」を中核に、食品スーパーの「生鮮館」や「スーパーみらべる」などを運営している。肉に飽きたら魚を買えばよいので、株も続伸が見込める。

2025年6月13日 記

株探ニュース

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