【杉村富生の短期相場観測】 ─銘柄勝負のターゲットを探る!
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「銘柄勝負のターゲットを探る!」 ●ブラックロックがトヨタを買う理由? インデックス(日経平均株価、TOPIXなど)的には相変わらず、方向感の乏しいモヤモヤとした相場展開となっている。日経平均株価は5月13日の戻り高値3万8494円を抜けない。いや、3万8000円が上値のカベだ。情けない話である。しかし、個別物色機運は極めて旺盛だ。当面は各論勝負の投資戦術が有効だろう。 とはいえ、総論はダメと主張しているわけではない。外国人は世界最大の投資家集団ブラックロック(運用資産11.6兆ドル→約1700兆円)の強力介入にみられるように、4月以降は買い越し基調だ。日本企業の経営改革(持ち合い解消、親子上場の改善)、株主還元姿勢(増配、自社株買い)を評価している。 確かに、トランプ関税、政治的には7月の参院選挙など不透明感は強い。上場企業の2026年3月期は6期ぶりに減益となる。ただ、この決算数字には関税分をそのままぶっかけている。主軸企業ではトヨタ自動車 <7203> [東証P]、小物では国際計測器 <7722> [東証S]が好例だ。企業は最悪シナリオを描いている、と思う。 ブラックロックのラリー・フィンクCEO(最高経営責任者)はトランプ政権中枢とつながっている。スタンレー・ドラッケンミラー氏はスコット・ベッセント財務長官と親交(40年来の友人)がある。巨額の資金を運用するには政治の動きを知るのは必要不可欠だ。でないと、政治リスクにさらされる。ドナルド・トランプ大統領ではなおさらである。 そのブラックロックがトヨタ自動車を買っている。ソニーグループ <6758> [東証P]、日立製作所 <6501> [東証P]、エムスリー <2413> [東証P]などもそうだ。この場合、ポイントはトヨタ自動車だろう。トランプ関税が継続されると、2026年3月期は1兆円強の減益要因になる。「それはない」ということか。 ●マイクロンが浮上、テスラは急落! 半面、トランプ政権批判を強めているイーロン・マスク氏のテスラ はボロボロになりつつある。6月5日は2億9281万株の商いを伴って47.35ドル安と急落、1日で22兆円の時価総額が失われた。いや~、ひどい。テスラの株主はたまらない。企業人が政治にのめり込むと、悲惨な結果(?)になる。 最先端半導体ではエヌビディア が独走中だが、こんなおいしいマーケットを他社が見逃すはずがない。クアルコム 、マイクロン・テクノロジー などがこの分野に進出する、という。このメリットを東京エレクトロン <8035> [東証P]、アドバンテスト <6857> [東証P]などは享受できる。 さらに、出遅れのA&Dホロンホールディングス <7745> [東証P]、タツモ <6266> [東証P]は大幅な水準訂正となろう。A&DホロンホールディングスのPERは8.1倍、タツモは7.8倍にすぎない。両社は連続増配を見込む。AI(人工知能)など最先端領域の 半導体関連事業が伸びている。 個別銘柄ではブラックロックが保有割合を引き上げたENEOSホールディングス <5020> [東証P]、海外事業(国内651店舗、海外717店舗)が好調な良品計画 <7453> [東証P]、三菱重工業 <7011> [東証P]が筆頭株主の放電精密加工研究所 <6469> [東証S]、菱友システムズ <4685> [東証S]などに妙味があろう。 さらに、海底光ケーブル関連の湖北工業 <6524> [東証S]、精工技研 <6834> [東証S]はロングランに狙える。精工技研は「昔、優良株」だった。井関農機 <6310> [東証P]は農業関連の本命的な存在だ。田植機、コンバインに加え、精米機が脚光を浴びる。月面着陸を目指したispace <9348> [東証G]はまたも失敗である。 2025年6月6日 記 株探ニュース