個人消費復権の切り札、「TikTok Shop」でバズる銘柄を追え <株探トップ特集>

個人消費復権の切り札、「TikTok Shop」でバズる銘柄を追え <株探トップ特集>

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コラム

―新たな消費スタイルとして話題沸騰、日本上陸を見据えた動き活発化―

 スマートフォンを日常的に持ち歩くライフスタイルが一般的となり、それによってSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)に費やす時間が多くなっている。SNSの利用目的は情報収集やコミュニケーションなどさまざまで、企業の投稿によって商品やサービスを知るきっかけになる場合も多い。SNSが消費者の購買行動に直接的な影響を与えるプラットフォームへと進化するなか、中国発の動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」が今年夏から秋ごろに日本でネット通販サービスに参入する見通しで、関連銘柄をチェックしておきたい。

●幅広い年齢層が利用

 総務省が2024年7月に公表した情報通信白書では、国内のSNSを含むソーシャルメディア利用者数(ソーシャルメディア・サイトやアプリケーションを月1回以上利用する人数)は23年の1億580万人から28年には1億1360万人に増加すると予測されている。コミュニケーション手段として従来の若者中心から幅広い世代へと広がりをみせており、今後も緩やかに増加する見込みだという。

 同省が24年6月に公開した23年度の「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」によると、全世代のソーシャルメディア系サービス・アプリなどの利用率は「LINE」が94.9%と最も多く、次いで「YouTube」が87.8%、「Instagram」が56.1%、「X(旧:Twitter)」が49.0%。「TikTok」は32.5%で、年代が若くなるにつれて利用率が高くなっており、10代では70.0%となっている。

 「TikTok」の国内における月間アクティブユーザーは3300万人以上とみられ、このTikTok上で直接商品を販売・購入できる通販機能が「TikTok Shop」だ。中国で主流となっている動画やライブ配信からEC(電子商取引)購入に誘導するという新たな手法が国内に導入されることになり、既にTikTok Shop活用のためのサービスに乗り出す企業が相次いでいる。

●支援サービスの提供続々

 直近ではトリドリ <9337> [東証G]が26日、TikTok Shopの日本市場展開を見据え、SNSコマース(SNSを活用した商品やサービスを販売する仕組み)事業に本格参入すると発表。グループのniks(インフルエンサー特化の成果報酬型広告)、blends(総合EC支援)、OverFlow(ブランディング・総合代理店)の3社が連携してTikTok上で総合型のSNSコマース支援体制を構築し、EC企業のクライアントを包括的にサポートするという。

 AnyMind Group <5027> [東証G]は20日、TikTok Shopの日本国内でのブランド企業向け支援サービスを開始することを明らかにした。東南アジア拠点での豊富なTikTok Shop支援実績を生かし、日本市場をターゲットとする国内外のブランド企業向けに導入・運用に関する包括支援サービスを提供。戦略設計やストア構築から運用、物流、ライブ配信までを一気通貫で支援し、施策の最適化と成果創出を実現する考えだ。

 GMOペパボ <3633> [東証S]は20日、自社が運営するECサイト構築サービスのユーザーや、オリジナルグッズ作成・販売サービスを利用するインフルエンサーなどのクリエイターを対象に、6月からTikTok Shopでの販売活動の支援プログラムを開始すると発表。ショップ開設や動画作成支援、既存サービスとの連携など、包括的なサポートを提供することで、ネットショップ運営者やクリエイターの新たな販路開拓と収益化を支援するとしており、詳細な内容や開始日は後日改めて公表するとしている。

 デジタルホールディングス <2389> [東証P]傘下のオプトは20日、TikTok Shop活用のためのトータル支援サービスを開始したことを明らかにした。同社はTikTok専門部署やEC専門部署を持っていることが強みで、広告主の成長拡大に向けて企画設計からアカウント運用、売れる仕組みづくりまでトータルで支援するという。

 セレス <3696> [東証P]は16日、子会社のstudio15がTikTok Shopにおける出店支援サービスを開始すると発表。studio15は、TikTokが日本で展開された当初からTikTokに特化した事業を展開しており、クリエイター視点を取り入れたコンテンツ制作力で、TikTokに効果的なコンテンツを提供している。

 また、博報堂DYホールディングス <2433> [東証P]、ファンコミュニケーションズ <2461> [東証P]、セプテーニ・ホールディングス <4293> [東証S]、トレンダーズ <6069> [東証G]、ピアラ <7044> [東証S]、サイバー・バズ <7069> [東証G]、いつも <7694> [東証G]なども各種支援サービスに乗り出す構えを見せている。

●イルグルムなどにも注目

 このほかではイルグルム <3690> [東証G]が19日、SNSマーケティングに特化した子会社のトピカが成果連動型を主軸とする「成果連動型 動画制作サービス」の提供を開始したと発表。このサービスは、TikTokに特化したショート動画の企画・制作から、ユーザー導線設計・販売戦略構築までを一気通貫で支援するとともに、「基本制作費+成果報酬」によるハイブリッド型報酬モデルを採用しており、企業にとってリスクを抑えつつ実効性の高いプロモーション展開が可能だという。

 オークファン <3674> [東証G]は15日、子会社のSynaBizが提供するBtoBマーケットプレイス「NETSEA(ネッシー)」で、TikTok Shopとのシステム連携を開始し、TikTokライバーに対して国内外の商品提供を行うことを明らかにした。グループでライブコマース市場における新たなサービスを提供することで、より多くのビジネスパートナーとともに販路拡大を目指す考えだ。

 売れるネット広告社グループ <9235> [東証G]は、6月から国内TikTok Shopにおける運営代行サービスを提供する予定だ。同社は既に中国TikTok市場で複数の越境ECプロジェクトを手掛けており、国内屈指のTikTok運営ノウハウを持っていることが強み。連結業績に与える影響は現時点では軽微としているが、国内TikTok Shop市場が拡大することで、中長期的に業績・企業価値の向上につながるとみている。

株探ニュース

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