雨宮京子氏【6月は上か下か、日経平均の展望と個別株を読む】 <相場観特集>
雨宮京子氏【6月は上か下か、日経平均の展望と個別株を読む】 <相場観特集>
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―円高警戒やトランプ発言に振り回されるなかでの対処法は― 26日の東京株式市場は大方の予想を覆し、買い優勢の値動きとなった。前週末にトランプ米大統領が欧州連合(EU)に対し50%の関税を6月1日から課すことに言及、これを受け欧米株市場が軒並み安となった。東京市場でもリスク回避の地合いが想定されたが、きょうの日本時間早朝にトランプ氏は関税発動の期限を延長すると表明したことが伝わり、日経平均株価は3万7000円台半ばで強調展開に。一方、外国為替市場では1ドル=142円台までドル安・円高傾向が強まったことは警戒材料として意識される。今週28日が5月の権利付き最終売買日にあたる。6月相場突入を目前に、ここからの相場展望と個別株戦略について、雨宮総研代表の雨宮京子氏に話を聞いた。 ●「レンジ相場継続も個別株の物色意欲は旺盛」 雨宮京子氏(雨宮総研 代表) 東京株式市場では足もとトランプ関税の影響から再び不透明感の強い地合いを強いられているが、過度な懸念は不要と考える。当初警戒されていた最悪の状態まではいったん織り込みが進んだことで、米国と各国との調整がやや不調に推移したとしても、相場全体の方向性を大きく揺るがすには至らないとみている。日経平均の向こう1ヵ月の値動きとしては下値が3万6300円前後、上値は3万8400円前後のレンジ相場を想定している。この水準を上下にブレークすることはあっても、それはイレギュラーな動きとして売り買いともに反対売買を行う目安となる。下値警戒は以前に比べて薄れており、25日移動平均線がサポートラインとして機能しそうだ。一方、上値は戻り売りが厚い。明らかな好材料が出現しない限り一気の上値追いは難しそうだ。 当面の注目点は為替動向と、イベントでは7月に行われる参議院選挙を前に政局も意識される。為替については、ムーディーズ・レーティングスによる米国債の格下げもあってドル高・円安に大きく傾くことは考えにくいが、トランプ関税の影響を勘案し、日銀は当面利上げを温存することが予想され、円高にも振れにくいのではないか。1ドル=140円を大きく割り込むような円高が進めば注意を要するが、そうでなければ円高による株式市場へのデメリットは限定的とみたい。トランプ米大統領の発言に振り回される相場環境は続くが、株式市場は距離感がつかめてきたこともあって、短期的にボラティリティを高めこそすれ大勢トレンドを左右するような影響は出にくいだろう。企業の決算発表ラッシュが終わり、全体相場は手掛かり材料難で比較的狭いゾーンでの値動きが続くと考えている。 ただ、個別株については物色意欲が旺盛である。 半導体関連ではイビデン <4062> [東証P]の戻り足の強さが際立っており、目先の押し目は強気対処して報われそうだ。また、半導体パッケージ基板などの外観検査装置を手掛けるインスペック <6656> [東証S]はロールtoロール型検査装置の大型受注を手掛かり材料に株価見直し期待が膨らんでいる。このほかマド開け急騰後のブイ・テクノロジー <7717> [東証P]の高値もみ合い場面は攻めの急所とみている。半導体関連以外ではITコンサルティングの雄であるシグマクシス・ホールディングス <6088> [東証P]や、自動車部品会社で強力な株主還元姿勢が注目されるタチエス <7239> [東証P]、小泉農水相とコメ高騰対策で会談した三木谷氏率いる楽天グループ <4755> [東証P]などをマークしたい。 (聞き手・中村潤一) <プロフィール>(あめみや・きょうこ) 雨宮総研 代表。元カリスマ証券レディとして、日興証券時代は全国トップの営業実績を持つ。ラジオ短波(現ラジオNIKKEI)、長野FM放送アナウンサー、『週刊エコノミスト』(毎日新聞社)記者、日経CNBCキャスター、テレビ東京マーケットレポーター、ストックボイスキャスター、SBI証券投資情報部などを経て、日経CNBC解説者に。 株探ニュース