明日の株式相場に向けて=「バイオ&DX」で大化け初動を狙う
投稿:
きょう(20日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比30円高の3万7529円と5日ぶり反発。前日の米国株市場でNYダウが3日続伸し、ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数の方もほぼ横ばいながらプラス圏で引けており、東京市場もこれに追随する形で朝方はリバウンド狙いの買いが先行したのだが、上値も重かった。日経平均は3万8000円台手前でUターンし、その後は漸次上げ幅を縮小。後場取引終盤には下落に転じた。その後は前日終値近辺で彷徨し、結局クロージングオークションを経てわずかに前日終値を上回って取引を終えている。もっとも、買われたのは一部の大型株にとどまっており、値下がり銘柄数が実に1200を超えプライム市場全体の76%を占めた。個別株の動向だけで見れば、日経平均が大幅安でも違和感のない地合いであった。 4月下旬から5月中旬にかけての強烈な戻り相場を経て、全体指数にその反動が出るのは時間の問題ではあったが、売りも買いもいったん方向性が出るとなかなか止まらない傾向がある。近年はCTAによるAIアルゴリズムが順張りで速射砲のようなトレードを行う影響が反映されやすい。全体相場のベクトルの向きが変わった際には、売り向かうのも買い向かうのも慌てずに一呼吸置く必要がある。 米格付け会社ムーディーズ・レーディングスによる米国債引き下げについては、フィッチとS&Pグローバルの大手2社が既に格下げを行った後であり、ムーディーズにしても一昨年11月に将来の引き下げを示唆する「ネガティブ」としていたことから、サプライズ感には乏しかった。米株市場でも出尽くし買いとはいかないまでも下げ圧力は働かず、むしろダウは一時300ドル以上上昇する場面もあった。ただ、東京市場はこれを素直に好感するというような地合いでもなかった。20日から始まるG7財務相・中銀総裁会議で、加藤・ベッセント会談を控えており、足もとの為替相場が円高方向に振れていることなどを横目に買い気は盛り上がりを欠いた。 国内では円高圧力の背景に潜む、超長期債利回りの著しい上昇にも警戒を強めざるを得なくなってきた。きょうは20年国債の入札が記録的な不調となり、20年債利回りは一気に0.150%も急上昇し2.555%をつけた。「(超長期債は)ヘッジファンド筋の垂涎の仕掛け対象となっている」(中堅証券ストラテジスト)という指摘もあるが、いずれにしても株式市場にとってアキレス腱となる可能性があり、波乱の火種として注意を要する。 個別株戦略としては、まずはトランプ関税の影響を受けにくい内需系のデジタルトランスフォーメーション(DX)関連株をターゲットとしてみたい。DXを推し進めるうえで必須項目となるのがクラウド環境であり、この2つのテーマは表裏一体といってよい。更にこれにハイスペックの人工知能(AI)実装やビッグデータ活用が加わって、高付加価値化のプロセスをたどることになる。関連銘柄は業績好調なものが多く、実態重視の中長期投資対象としても十分に耐え得る強みを持つ。例えばテラスカイ<3915.T>は量子コンピューター関連の雄で、なおかつ業績も飛躍的な伸びを示しており、2020年10月に最高値5750円をつけるなど天井も高い。引き続き押し目は買い下がって報われそうだ。また、金融向けシステム開発で実績が高く、収益好調が続くニーズウェル<3992.T>も要マーク。同じく金融向けで優位性を発揮するアイエックス・ナレッジ<9753.T>は、板が薄い銘柄ながら株価指標は割安で、丹念に拾えばいずれ報われそうだ。更にサイバーセキュリティー関連では大相場を演じたFFRIセキュリティ<3692.T>に続く銘柄に投資マネーが虎視眈々。穴株として着目しておきたいのは抜群の業績変化率を誇るフーバーブレイン<3927.T>だ。 他方、バイオ関連株への資金流入も太い流れとなってきた。シンボルストックとなっているのがサンバイオ<4592.T>であり、投資マネーをバイオセクターに引き込む誘導灯ともなっている。これに出来高流動性に富んだレナサイエンス<4889.T>が追随し、既に全員参加型大相場の様相を呈しつつある。こうなると急騰習性のあるキャンバス<4575.T>なども黙っておらず、動兆しきりだ。更に心臓の再生医療第一人者で慶応医学部教授を務めた福田氏が率いるHeartseed<219A.T>も、ダイナミックな下値切り上げ波動を構築中で目が離せなくなってきた。人気化前夜の銘柄で待ち伏せ買い対象としては、好調な業績が光り買い安心感のある免疫生物研究所<4570.T>をチェックしておきたい。 あすのスケジュールでは、4月の貿易統計が朝方取引開始前に財務省から開示されるほか、午後取引時間中には4月の食品スーパー売上高が発表される。また、日銀が実質輸出入の動向を開示する。このほか、取引時間終了後に発表される4月の訪日外国人客数にマーケットの注目度が高い。海外では4月の英消費者物価指数(CPI)が発表される。米国では20年国債の入札が予定されている。(銀) 出所:MINKABU PRESS