明日の株式相場に向けて=前方の視界不良で「サイバー防御」など個別物色局面に
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19日の東京市場は、日経平均株価が前週末に比べ255円安と4日続落した。この日は、16日に米大手格付け機関のムーディーズ・レーティングスが米国債の信用格付けを「Aaa」から「Aa1」に引き下げを発表したことを警戒する動きが続いた。 「ムーディーズによる米国債格下げは以前から警戒されており、特に新たな驚きはない」(アナリスト)との見方は少なくないが、最上位格付けのトリプルAからの陥落で、中長期的にはドル離れに拍車をかけることも予想される。この日の相場では、米株価指数先物が下落しており、今晩のニューヨーク市場の動向も警戒されている。足もとでは、米中の歩み寄りでトランプ関税に対する警戒感もやや後退するなか、NYダウは最高値に接近する水準となっており、株式市場は利益確定売りが出やすい状況にある。 米国市場では、一時に比べ警戒感が和らぐ状況にあるが、東京市場は明日以降の動向が今後の動向を大きく左右しそうだ。明日から22日にかけてG7財務大臣・中央銀行総裁会議がカナダで開催される。ここで加藤財務相と米国のベッセント財務長官が、「為替協議」を行う可能性がある。更にG7後には3回目の日米関税交渉が行われる見通しだ。 この日米交渉に関しては「日本側には手詰まり感も感じる」との声もあり、先行きは不透明だ。相場も日経平均株価が3万8000円で上値が抑えられるなど視界不良となるなか、当面は個別株物色が続く展開が予想される。足もとで東証グロース市場250指数の上昇が目立つが、証券口座乗っ取り問題が話題となるなか「サイバーセキュリティ」への関心が高まり、サイバーセキュリティクラウド<4493.T>や網屋<4258.T>、FFRIセキュリティ<3692.T>、ZenmuTech<338A.T>などへの物色が続きそうだ。また、宇宙関連のQPS研究所<5595.T>やispace<9348.T>、Synspective<290A.T>、アストロスケールホールディングス<186A.T>なども引き続き注目されそうだ。 今晩は海外で目立った経済指標の発表はない。明日は4月首都圏新築マンション発売が発表される。東京海上ホールディングス<8766.T>、SOMPOホールディングス<8630.T>、MS&ADインシュアランスグループホールディングス<8725.T>が決算発表を行う。明晩はホーム・デポ<HD>やキーサイト・テクノロジー<KEYS>が決算発表を行う。 出所:MINKABU PRESS