株価指数先物 【週間展望】―200日線を支持線とした押し目狙いのロング対応
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今週の日経225先物は、目先は過熱を冷ます調整が意識されやすいが、押し目待ち狙いのロングが入りやすく、底堅い相場展開が見込まれる。先週は週初に米国と中国が互いの追加関税引き下げで合意し、米中貿易摩擦に対する警戒感が後退。トランプ米大統領は今後90日間の交渉期間で合意できなかったとしても、関税を再び145%に引き上げることはないと述べた。今後の協議進展への期待が高まり、日経225先物は5月13日には3万8790円(ナイトセッションを含む)まで買われる場面があった。 ただし、3月26日につけた直近の戻り高値(3万7970円)をギャップアップで一気に突破し、2月下旬以来の水準を回復してきたことで短期的な過熱感も強まった。為替市場で円相場が一時1ドル=144円台と円高に振れて推移していたことも重荷となり、週半ば以降は利益確定に伴うロング解消の動きが優勢だった。 日経225先物は週後半にかけての調整で3万8000円を割り込んだが、200日移動平均線(3万7440円)が支持線として意識されている。ボリンジャーバンドは上向きで推移しているが、5月に入ってからは+1σと+2σによるレンジに沿った形でリバウンドをみせていた。13日に+2σを突破した後の調整で+1σ(3万7430円)水準まで下げてきたが、+1σと200日線が支持線となるため、押し目待ち狙いのロングを誘う可能性がある。 一方、米格付け会社ムーディーズ・レーティングスは16日、米国の信用格付けを最上位の「Aaa」から「Aa1」に1段階引き下げたと発表。また、同日発表された5月の米ミシガン大学消費者信頼感指数は50.8と市場予想(53.4程度)を下回り、2022年6月以来の低水準だった。1年先の予想インフレ率は7.3%と4月(6.5%)から上昇するなど、トランプ政権の関税政策やインフレ圧力の高まりが警戒されやすい。 トランプ大統領は、今後2~3週間のうちに貿易相手国に対し新たな関税率を一方的に通知する考えを示したと報じられている。多くの国が合意締結を望んでおり、全ての国と協議するだけの時間がないことを理由に挙げている。日本は協議を進めることで合意しているため問題はないものの、積極的な売買を手控えさせる一因となる可能性がある。どの国が対象となるかは不明であり、トランプ氏のSNS投稿などを受けたアルゴリズム発動によるショートには注意しておく必要があろう。 もっとも、先週で決算発表が一巡したことにより、売買を手控えていた国内の機関投資家も動きやすくなったとみられる。決算発表が本格化した4月半ば以降、日経225先物は3万4200円水準から5月13日の3万8790円へと、これといった押し目を作らずに上昇してきた。週間形状では5週連続で陽線を形成し、52週線を一時突破してきたため、買い遅れている機関投資家による押し目狙いのロングが意識される。 日経225先物は26週線(3万7650円)、52週線(3万7860円)辺りで強弱感が対立する可能性はあるが、両線を明確に上抜くと週足の+1σ(3万7730円)と+2σ(3万9120円)によるレンジへと移行する。そのため、まずはオプション権利行使価格の3万7500円から3万9000円のレンジを想定しておきたい。一方で200日線を明確に割り込んでくる局面では、75日線が位置する3万6870円が目先のターゲットになるだろう。 週後半には、赤沢亮正経済再生担当大臣が米関税措置を巡り、ワシントンで3回目の閣僚協議を行う予定である。前週に米国と英国が貿易協定の締結で合意したことで、協議進展への期待が高まっている。交渉に進展がみられるようだと、ロングの動きが強まる可能性がある。そのほか、22日には米国や欧州各国では5月の製造業・サービス部門購買担当者景気指数(PMI)の発表が予定されており、結果を受けた為替動向には注意しておきたい。 16日の米VIX指数は17.24(15日は17.83)に低下した。先週は米中関税合意を受けて、9日の21.90から週明け12日には200日線を下抜け、18.39と判断の分かれ目となる20.00を一気に割り込んだ。その後も200日線が抵抗線として機能する形での推移を継続。3月26日の直近安値である16.97が射程に入るなかで、リスク選好の状況が続きそうだ。 先週末のNT倍率は先物中心限月で13.76倍(15日は13.79倍)に低下。14日に一時13.86倍まで上昇し、75日線を突破する場面もみられた。その後は短期的な過熱感から東京エレクトロン<8035>[東証P]やアドバンテスト<6857>[東証P]など、指数インパクトの大きい値がさハイテク株の一角が利食いに押され、低下傾向となった。+2σ(13.82倍)を挟んだ+1σ(13.72倍)と+3σ(13.91倍)とのレンジのなかで、週末に一時13.72倍と+1σ水準まで下げてきたことで、リバランスを想定したNTロングでのスプレッド狙いが入りやすいところだろう。 5月第2週(5月7日-9日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物と先物の合算では4週連続の買い越しであり、買い越し額は5830億円(5月第1週は2192億円の買い越し)だった。なお、現物は3570億円の買い越し(同3946億円の買い越し)と6週連続の買い越しであり、先物は2259億円の買い越し(同1753億円の売り越し)と2週ぶりの買い越し。個人は現物と先物の合算で4089億円の売り越しと5週連続の売り越し。信託銀行は現物と先物の合算で3505億円の売り越しとなり、3週連続の売り越しだった。 主要スケジュールでは、19日に中国4月鉱工業生産指数、中国4月小売売上高、米国4月コンファレンス・ボード景気先行指数、エヌビディアのジェンスン・フアンCEOが「COMPUTEX 2025」基調講演、20日にG7財務相・中央銀行総裁会議(~22日)、21日に4月貿易収支、国会で党首討論、22日に3月機械受注、米国5月製造業PMI、23日に4月全国消費者物価指数、米国4月新築住宅販売件数などが予定されている。 ――プレイバック・マーケット―― ●SQ値 06月限 日経225 38535.35 TOPIX 2714.56 07月限 日経225 41531.26 TOPIX 2893.54 08月限 日経225 35661.68 TOPIX 2510.68 09月限 日経225 36906.92 TOPIX 2585.41 10月限 日経225 39701.93 TOPIX 2721.72 11月限 日経225 39901.35 TOPIX 2765.26 12月限 日経225 39434.85 TOPIX 2738.68 01月限 日経225 39343.19 TOPIX 2726.70 02月限 日経225 39432.64 TOPIX 2775.06 02月限 日経225 39432.64 TOPIX 2775.06 03月限 日経225 36483.79 TOPIX 2684.98 04月限 日経225 32737.29 TOPIX 2418.70 05月限 日経225 37572.13 TOPIX 2733.00 ◆日経225先物(日足) 始値 高値 安値 清算値 前日比 25/06 05月16日 37680 37840 37490 37770 +60 25/06 05月15日 38170 38200 37600 37710 -430 25/06 05月14日 38190 38510 37860 38140 -60 25/06 05月13日 38200 38790 38150 38200 +500 25/06 05月12日 37550 37840 37310 37700 +180 ◇TOPIX先物(日足) 始値 高値 安値 清算値 前日比 25/06 05月16日 2731.5 2752.5 2725.5 2743.5 +10.5 25/06 05月15日 2764.5 2767.5 2724.0 2733.0 -28.5 25/06 05月14日 2770.5 2784.0 2737.0 2761.5 -12.0 25/06 05月13日 2777.0 2816.5 2771.0 2773.5 +28.5 25/06 05月12日 2736.5 2753.5 2718.5 2745.0 +9.0 ●シカゴ日経平均 円建て 清算値 前日大阪比 05月16日(06月限) 37995 +225 05月15日(06月限) 37755 +45 05月14日(06月限) 37720 -420 05月13日(06月限) 38370 +170 05月12日(06月限) 38760 +1060 ※前日比は大阪取引所終値比 □裁定取引に係る現物ポジション裁定残(金額) 売り 前週末比 買い 前週末比 05月09日 148億円 -321億円 1兆6106億円 +162億円 05月02日 469億円 +108億円 1兆5944億円 +511億円 04月25日 361億円 -275億円 1兆5432億円 +752億円 04月18日 637億円 -197億円 1兆4680億円 -3997億円 04月11日 834億円 -301億円 1兆8678億円 -1659億円 04月04日 1136億円 +139億円 2兆0337億円 -4230億円 03月28日 996億円 -550億円 2兆4567億円 +3949億円 □裁定取引に係る現物ポジション(株数) 売り 前日比 買い 前日比 05月14日 1805万株 +306万株 6億7650万株 -1233万株 05月13日 1499万株 +415万株 6億8883万株 -794万株 05月12日 1084万株 +644万株 6億9678万株 -474万株 05月09日 440万株 +73万株 7億0152万株 -38万株 05月08日 366万株 -821万株 7億0190万株 +89万株 05月07日 1188万株 -316万株 7億0100万株 +644万株 05月02日 1504万株 -82万株 6億9456万株 -402万株 05月01日 1587万株 -146万株 6億9858万株 +625万株 04月30日 1734万株 -110万株 6億9233万株 -1016万株 04月28日 1845万株 +627万株 7億0249万株 -364万株 04月25日 1217万株 -428万株 7億0613万株 +5678万株 04月24日 1646万株 +102万株 6億4935万株 +2683万株 04月23日 1544万株 -661万株 6億2252万株 -5077万株 04月22日 2205万株 +159万株 6億7329万株 +625万株 04月21日 2046万株 -57万株 6億6703万株 -2073万株 株探ニュース