来週の株式相場に向けて=「円高」「自動車関税」など不透明要因の克服はなるか
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16日の東京市場は気迷い相場を象徴する展開となった。為替相場は一時、1ドル=144円90銭台まで円高が進むなか、日経平均株価は270円超下落したが3万7500円を割り込んだ水準では値頃感からの買いが流入。後場に入ってからは、前日終値を挟んだ一進一退が続き、結局1円安と横ばい圏で取引を終えた。 世界の株式市場は、トランプ関税を背景に4月上旬にかけ急激な下落を演じたが、米政権に軟化姿勢がみえるなか、急反発に転じた。日経平均株価は4月7日に一時3万700円台まで売られたが、今月13、14日には終値で3万8000円台を回復するまで値を上げ、2割を超える上昇となった。しかし、足もとの騰落レシオ(25日移動平均)は135%前後と過熱感を示している。 「株価は大分、値を戻しており、調整局面に入ってもおかしくない。今後は円高や株安を誘発しかねないイベントが続くことは懸念材料だ」と市場関係者は指摘する。来週は、20日から22日にかけG7財務大臣・中央銀行総裁会議が開かれる。ここで日米間での財務相会談が模索されており、「ドル高・円安是正」に向けた米国の動きが警戒されている。更にG7後は、日米の第3回目の関税交渉も見込まれている。自動車関税などの行方が注視されるが、「日本は関税交渉に向けて切り札がないように見えるだけに難航するのではないか」と懸念する見方もある。 足もとで決算発表が一巡するなか、焦点は日米交渉となる。市場関係者からは「なお一段の円高が懸念されるだけに、物色の流れは内需株だろう。米国産のコメはともかく小麦や大豆などの輸入増が予想されるだけに、ラーメンやうどんなどの外食株は面白いかもしれない。円高メリット株も注目だ」との声も出ている。トリドールホールディングス<3397.T>やハイデイ日高<7611.T>などは、なお脚光を浴びる可能性もある。 上記以外の来週のスケジュールは、海外では19日に中国4月小売売上高、22日に米5月S&Pグローバル米国製造業PMI、23日に米4月新築住宅販売件数が発表される。 20日にホーム・デポ<HD>、キーサイト・テクノロジー<KEYS>、21日にスノーフレイク<SNOW>、ターゲット<TGT>、22日にアナログ・デバイセズ<ADI>が決算発表を行う。 国内では20日に4月新築マンション発売、21日に4月貿易統計、4月訪日外客数、22日に3月機械受注、23日に4月消費者物価指数(CPI)が発表される。20日に東京海上ホールディングス<8766.T>、SOMPOホールディングス<8630.T>、MS&ADインシュアランスグループホールディングス<8725.T>が決算発表を行う。来週の日経平均株価の予想レンジは3万7300~3万8200円前後。(岡里英幸) 出所:MINKABU PRESS