反騰相場の先導役、好実態株中心に青空翔ける「上場来高値銘柄」を狙え <株探トップ特集>
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―消費、金融、建設・不動産株など物色意欲強い、上値の節無く一段高余地― 株式市場は反騰色が鮮明となり日経平均株価は3万8000円台を奪回した。この株価上昇の背景にあるのは、トランプ米政権による関税政策に対する過度の警戒感が後退したことが大きい。相場は4月初旬の底値から上昇基調を強めているが、そんななか注目を集めているのが、「上場来高値」銘柄だ。上値の節の無い青空圏にある最高値銘柄は、良好な事業環境を背景に一段と上昇基調を強めることへの期待が高まっている。 ●トランプ関税への警戒感後退し上昇基調強まる 13日の東京市場は日経平均株価が前日比539円高の3万8183円と急伸した。米国と中国は12日、貿易協議でお互いに課した追加関税を115%引き下げることを発表。米国は中国に対する関税率を累計145%から30%に、中国は米国に対する関税率を125%から10%に引き下げる。上乗せ分の一部を90日間停止し、協議を続ける。この発表を受け、12日の米株式市場でNYダウやナスダック指数は大幅高となり、今日の日経平均株価も終値で2月27日以来、2カ月半ぶりの水準に上昇した。トランプ関税を警戒し4月7日には一時3万700円台まで下落した日経平均株価だが、足もとの上昇率は20%を超えている。 一気に上昇基調が強まったが、市場からは「トランプ政権による追加関税がなくなったわけではなく、年後半に向けては世界的な景気減速懸念は残る」(アナリスト)とみる声も少なくない。当面は、波乱状態にあったハイテク株を中心に値を戻す展開も予想されるが、「景気の先行きを含め不透明な海外状況を背景に、中長期的には安心感が強い内需株が物色の柱となる基調は続くだろう」(同)ともみられている。 ●消費のイオンや良品計画、銀行の三菱UFJなど上放れる 東京市場が反騰色を強めているが、ここからは戻り売りをこなし、まずは3万8000円台の下値固めができるかがポイントだ。そんななか市場関係者の関心を集めているのが「上場来高値銘柄」だ。昨年前半までは、半導体関連などハイテク株の最高値銘柄が人気に沸いたが、秋口以降は内需株を中心とする物色へシフトし、消費や 建設、 不動産、 ゲーム・知的財産(IP)関連銘柄などに上場来高値銘柄が目立つようになった。 例えば、総合小売大手のイオン <8267> [東証P]は4月に昨年9月につけた最高値を更新した。26年2月期の連結営業利益は最高益が見込めるほか、親子上場の解消に向け上場子会社の非公開化に踏み切ることも評価された。消費関連では、良品計画 <7453> [東証P]は年初に6年半ぶりに最高値を更新したほか、インバウンドの追い風が吹くパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス <7532> [東証P]、飲食店ではハイデイ日高 <7611> [東証P]、王将フードサービス <9936> [東証P]などが最高値に上昇した。しまむら <8227> [東証P]は1999年につけた最高値に迫る勢いとなっている。 金利上昇メリットが注目された金融株では、メガバンク最大手の三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> [東証P]が最高値に駆け上がったほか、第一生命ホールディングス <8750> [東証P]やSOMPOホールディングス <8630> [東証P]なども青空圏銘柄だ。建設株では大林組 <1802> [東証P]、不動産では住友不動産 <8830> [東証P]など。ゲーム・IP関連株ではスクウェア・エニックス・ホールディングス <9684> [東証P]、カプコン <9697> [東証P]などが最高値圏にある。上場来高値銘柄は、業績拡大に加え、事業環境に強い追い風が吹いていることが多く、株価には上値の節が無いことも魅力となっている。以下では、一段の上昇が期待される最高値銘柄を紹介する。 ●太陽HD、ノジマ、能美防災、ステップなど注目 ◎太陽ホールディングス <4626> [東証P]~プリント配線板用レジストインキで世界首位。26年3月期の連結営業利益は233億円(前期比5.6%増)と最高益更新の見込み。今期配当予想は前期比100円増の290円を計画。配当利回りは約5.7%と高水準。 ◎IDホールディングス <4709> [東証P]~独立系情報サービス会社。デジタルトランスフォーメーション(DX)関連需要など強く、26年3月期連結経常利益は4期連続最高益見通し。配当利回りは3.4%前後。 ◎ノジマ <7419> [東証P]~25年3月期の連結営業利益は前の期比58.3%増で最高益。グループ入りしたパソコン(PC)メーカー大手、VAIO(長野県安曇野市)なども寄与した。アニメ専門放送局「アニマックス」などを買収しており、アニメ放送局の展開も期待される。 ◎BIPROGY <8056> [東証P]~大日本印刷系の情報システム大手。旧日本ユニシスが22年に社名変更した。DX需要を取り込み、26年3月期の連結純利益は前期比7.5%増の290億円と最高益見通し。今期配当も前期比10円増の120円を予想。 ◎能美防災 <6744> [東証P]~防災機器大手。火災報知設備や消火設備などが好調。26年3月期連結営業利益は過去最高益を予想。今期配当は前期比24円増の100円を計画している。 ◎ステップ <9795> [東証P]~神奈川県を地盤に学習塾を展開。合格実績が高く、25年9月期の単独営業利益は最高益見通し。今期配当は前期比4円増予想で配当利回りは3.6%前後の水準にある。 株探ニュース