突き抜ける成長力!刮目の「Web系スーパーグロース」特選5銘柄 <株探トップ特集>
突き抜ける成長力!刮目の「Web系スーパーグロース」特選5銘柄 <株探トップ特集>
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―内需系好決算銘柄の中から株価変貌のDNAを探す、ネット分野の有望株に活躍の時― 週末9日の東京株式市場は日経平均株価が大幅続伸、一時600円を超える大幅高を演じ、3万7000円台を大きく回復した。前日の米国株市場でNYダウやナスダック総合株価指数など主要株価指数が揃って上昇したほか、外国為替市場で1ドル=146円台まで円安が進む場面があり、リスク選好の流れが強まった。日経平均は4月7日ザラ場に3万1000円台を下回り3万円大台攻防すら意識させるような波乱展開に陥ったが、そこからわずか1カ月あまりで7000円近く水準を切り上げるという劇的なV字リバウンドを演じ、東京市場を取り巻く景色は文字通り一変した。時価総額加重型でプライム市場全体を映すTOPIXについては直近11連騰と破竹の勢いである。 ●買い戻しが終了すれば全体指数も止まる しかし、トランプ米政権が打ち出す高関税政策への警戒感は当面は拭い去ることができない。今後もトランプ大統領の周辺から発信されるニュースフローによってマーケット心理は常に振り回される。半導体関連や自動車関連をはじめとする外需株は、トランプ関税や為替市場の動向次第で収益に大きな影響が出るため、ショート筋の買い戻しが一巡した後、実需で上値を買い進むのはおそらく限界がある。 投資指標面からも日経平均3万8000円近辺は目先の天井圏を示唆している。ここは日本国内に目を向け、トランプ関税などアメリカ・ファーストの政策に振り回されない内需系の成長株に照準を合わせる方が投資戦略的には有効となる。 ●内需の成長株はWeb空間に潜む では、内需の成長株としての条件を満たす銘柄はどこに存在するのか。国内でコストプッシュ型のインフレ圧力が顕著となるなか、物品販売に絡む消費関連セクターは実質賃金が伸びない中で、商機を捉え続けるのはそれなりに厳しい環境といえる。そうしたなか不況知らずとは言えないまでも、我々の日常生活と切り離せなくなったインターネット分野で活躍する企業群は要注目といえる。足もとで好業績をしっかりと確保している銘柄は、AI・IoT社会に即したビジネスモデルが軌道に乗っているケースが多く、中期的にも業界のフロントランナーとして存在感を示すことになる。 インターネットが作り出す空間も時代とともに進化を続けており、現在進行形で付加価値が高まっていく方向にある。最近では、業態を問わず国内企業の業務拡大や提携などに関するリリースの中に「Web3.0」というワードを頻繁に目にするようになった。この場合、1.0を第1世代とすれば第3世代ということになる。 Web1.0というのはネット普及の初期を意味し、前時代的な技術やサービスにとどまり、ユーザー側からすれば情報を読みそれを取り込むための媒体に過ぎなかった。これにユーザー自身が情報を発信できるソーシャルネットワークとしての機能が加わったのがWeb2.0である。これはリアル空間とネットとの融合が常態化した、いわゆる IoT社会の具現化である。そして現在はネット上の世界そのものがリアル空間に限りなく接近している時代で、ともすれば日常と同化し、時にそれを超えていくイメージとなる。Web3.0ではブロックチェーン技術などをベースに、デジタル情報の所有権なども明確化され、新たな経済圏が創出されていくことになる。 ●ここから本領発揮の要注目5銘柄を選出 Web社会はまさに七変化でビジネスや娯楽・消費とも密接にかかわっていく。数え挙げていけばキリがないが、例えばポイント消費、クラウドファンディング、動画配信、eスポーツ、遠隔医療、暗号資産などの分野すべてがネット空間でなければ成り立たないサービスである。 調査会社のIDCジャパンによると、国内のIoT市場のユーザー支出額は2023年から28年まで年間平均成長率8%という伸びをみせ、28年には10兆1653億円と10兆円を上回る規模に達すると予測している。もちろん、これ以外にメタバースといった純粋なネット空間完結型の経済圏もあり、実際はこのIoT市場自体がWeb社会における一つのピースに過ぎないかもしれない。 今回のトップ特集では、こうしたWeb空間を活躍のフィールドとする銘柄の中から有望株を探した。今3月期増収増益見込みで、来期以降も潜在成長力を存分に開花させる可能性を有する5銘柄を選りすぐった。 【delyは「クラシル」で業績も株価も飛躍へ】 dely <299A> [東証G]は国内最大級の料理動画サービスである「クラシル」を運営しており、マーケティング支援「クラシルリワード」や人材採用サービス「クラシルジョブ」なども展開している。LINEヤフー <4689> [東証P]が筆頭株主で同社株式の3分の1強を保有している。ここ最近は物価高で消費者の内食需要が高まるなか、レシピ動画へのニーズも高まっている状況だ。また、クラシルリワードではポイントを貯められる「ポイ活」サービスで利用者層拡大につなげている。業績はトップライン、利益ともに過去最高更新が続いており、26年3月期は売上高が前期比31%増の171億4000万円、営業利益は同27%増の33億7400万円予想と好調を極める。 昨年12月19日に新規上場したニューフェースだが、今年4月7日に上場後の安値である896円をつけたが、この日に十字足を形成し以降は急速な戻り相場に突入。1400円台回復で上昇一服となったものの上値余地は十分で、早晩2月5日につけた最高値1462円を払拭し青空圏に突入しそうだ。 【SMNは成長局面に再突入、見直し買い必至】 SMN <6185> [東証S]はビッグデータやAI、金融工学を駆使したネット広告配信事業を手掛けており、ソニーグループ <6758> [東証P]系列で企業ブランディング的にも投資対象として安心感がある。広告配信の効果を最適化するアドテクノロジーを中核に、受注拡大に結実させている。また、マーケティングソリューション事業では、広告主や広告媒体を限定した成果報酬型広告運営に特化している。デジタル広告・マーケティングのインハウス化を支援するデジタルハウスエージェンシーに新たに注力中で、現状は会社側の期待を超える立ち上がりで業績面への寄与が顕著だ。25年3月期はトップラインが前の期比25%増収で、営業利益も同2.3倍化と急回復を果たした。続く26年3月期については利益率改善が進み、営業利益が前期比67%増の4億円を見込むなど、再び高成長路線への復帰を鮮明とする。 株価は長期波動でみて、昨年11月を境に長期下降トレンドから脱出しており、時価は底入れ反騰の初動にある。18年8月には3205円(分割修正後株価)の高値をつけた実績があり、天井の高さも魅力だ。年初来高値481円奪回は時間の問題と思われる。 【CTSは国土強靱化で活躍本番迎え株高有望】 シーティーエス <4345> [東証P]は建設ICTの専門企業であり、クラウドを中心としたIoTサービスで生産性を向上させるITインフラや、導入から活用支援までトータルサポートが売り物の測量計測システム事業などで業界のニーズに応えている。クラウドサービスは官公庁向け需要獲得が進んでおり、災害復旧・防災など国土強靱化のテーマでも関連有力株に位置付けられる。今後は国内で老朽化したインフラ対策への取り組みが国策として一段と加速していくことが予想され、同社の活躍機会も増勢の一途となりそうだ。業績はトップライン、営業利益ともに連結決算移行前から長きにわたり過去最高更新基調を続けている。25年3月期営業利益は前の期比7%増の30億7700万円を達成、続く26年3月期も前期比7%増の33億円を見込んでいる。好業績を背景に株主への還元姿勢も抜かりなく、毎期増配を繰り返している点も評価される。 株価は18年6月に上場来高値1260円をつけているが、当時のファンダメンタルズと照らし合わせても時価は水準訂正余地が大きく、まずは1000円大台を目指す展開に。 【DTSは高成長路線まい進で株主還元も評価】 DTS <9682> [東証P]は独立系の情報サービス企業で金融や通信向けで優位性を持ち、NTTデータグループ <9613> [東証P]を主要販売先に需要獲得が進んでいる。情報システムの導入コンサルをはじめシステムの設計・開発・運用・保守など一気通貫で対応、クラウドサービスにも長じており、オープンWeb系の技術力強化に取り組んでいる。マネーロンダリング対策システムでも高実績を上げている点は注目。営業利益は11年3月期から25年3月期まで15期連続の増益を達成しているが、26年3月期も前期比7%増の155億円予想とピーク利益更新基調が続く見通し。好調に推移する業績を背景に今期は配当も前期実績比13円増配となる140円を計画するほか、発行済み株数1.86%相当の75万株、金額ベースで25億円を上限とする自社株買いを発表するなど株主還元への姿勢も評価される。 株価はここ急速に上値を追う展開に入っており、直近まで11連騰を記録。短期的には過熱感があるものの、成長力は折り紙付きでPERなどにも割高感はない。中期的に青空圏を舞う展開で5000円台活躍が有望。目先の押し目は買い下がっておきたい。 【エムスリーはROE向上で成長路線に回帰へ】 エムスリー <2413> [東証P]は医療従事者向けプラットフォーム(会員制サイト)を展開し、製薬マーケティング支援業務を主力展開するほか、治験周辺分野にも業容を広げている。ここ数年は新型コロナウイルス関連需要の反動が出る形で減益決算を強いられてきたが、トップラインはしっかりと伸びを続けている。26年3月期は製薬会社向け販促支援が回復色をみせることが予想され、高単価案件の獲得で利益面でも成長トレンドに回帰する公算が大きい。今期営業利益は前期比11%増の700億円と2ケタ伸長で4期ぶり増益を予想するが、なお会社側見通しは保守的で増額修正含みという見方もある。また、ROE向上を念頭に置くなか、来年4月末までに2000万株、金額ベースで200億円を上限とする自社株買いを行うことも発表している。 株価は累積売買代金が厚く戻りのフシとみられた1800円台をクリアし2000円台活躍をにらむ。21年1月以降4年以上にわたる長期下降トレンドにあったが、ようやく大底脱出の緒に就いた段階にあり中長期スタンスで沈潜するのも一法だ。 株探ニュース