【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─"国難"をバネに一大発展するか最強産業!

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コラム

「“国難”をバネに一大発展するか最強産業!」

●最悪の局面は脱する日米関税問題

 間もなくゴールデンウィーク(GW)が終わる。連休も終盤を迎えるが、行楽地などへお出かけ中の方も多いことだろう。私はGW前に伊豆を訪れたこともあり、早く休日が終わって東京市場が再開してほしいと願う日々を自宅で過ごしている。いまは連休明けと、それに続く今年の残り8カ月が楽しみでならない。私の考えではゴールデンウィークが終わると、その年の後半相場が始まることになる。投資する立場から見ると、ゴールデンウィークの終了とともに市場の中身が変わってくるのが常だ。

 もちろん、衣替えの季節でもあり、この点でも気分が一変する。株式市場の場合は、年前半の大きなイベントが終わることで、気分が切り替わる。3月期決算の企業が相次いで決算を発表するため、それに一喜一憂させられるのも頭の切り換えにつながる。しかも今年は、トランプ関税がある。日本政府と自動車、農業などの業界が、日本の存亡に関わる“国難”としてまさに一丸となって対応していることはご承知の通り。そして、聞こえてくる声は「トランプ政権の方針は予測不能。状況は厳しい」だ。確かにその通りだろう。

 しかし、投資の観点からすると、日米の関税問題は最悪局面を過ぎ、今後は次第に対応しやすくなるだろう。「最悪」の次に待つのは「最悪」ではなく、次第に光が射してくる局面だからだ。もちろん、一気に明るくなるものではない。だが、薄ぼんやりした光であっても、「最悪」局面の真っ暗闇よりはよほど好ましい。

 こんな観点で関税問題を考えると、 自動車業界は今後一大発展の可能性があると見てよい。現在でも日本の自動車産業は世界一だ。そんな業界がトランプ政権の強引な関税政策に動揺しているのだが、課税が強化されるのは日本だけでなく、濃淡はあるものの、世界各国が同様の圧力を受けているのだ。自動車産業が強い国は日本を筆頭に、ドイツ、中国、韓国、そして米国がある。これらの国は常時激しく競り合っているが、いまのところ日本がトップを走っている。

 それを維持できるかが問われることになるのだが、中国はトランプ政権が敵対国扱いしているため、米国での自動車販売は苦しいだろう。ドイツはどうか。トランプ政権はEU(欧州連合)諸国に対して好意的ではない。ドイツに対しても同様であり、ドイツ車も米国内での製造、輸出ともにかなり難しくなるだろう。韓国は米国から友好国として優遇されているものの、幸い事業規模が日本より小さく、当面神経質にならずに済むだろう。

●米国事業で優位に立つ日本の自動車業界

 そうなると……そうなのだ。日本の自動車業界は米国での事業展開において、他国企業に比べて極めて有利に製造・販売戦略を展開できる。こんな予想が可能であり、投資対象としても非常に有望となる。

 もちろん、目先すぐに株価が上がるということではない。将来的に極めて明るい。こういうことであり、具体的な投資対象としては、まずはなんと言ってもトヨタ自動車 <7203> [東証P]だ。世界の自動車販売台数でトヨタは首位である。しかも、テスラのような派手さはないものの、堅実経営に徹して収益も伸ばし続けている。今後も緩やかに発展を続ける。こう見てよく、株価も浮上が続くだろう。

 トヨタ源流の豊田自動織機 <6201> [東証P]の非上場化を目指す方針が明らかになったが、トヨタは多数の直系企業と外様的なグルーブ企業を抱えている。その中から 車部品最大手のデンソー <6902> [東証P]も、押し目があれば拾っておきたい。同じく車部品大手のアイシン <7259> [東証P]、パワーステアリングなどに強いジェイテクト <6473> [東証P]、自動車シート国内首位のトヨタ紡織 <3116> [東証P]も魅力的だ。

 ホンダ <7267> [東証P]にも目を向けると、本体ホンダの他に傘下のクラッチメーカーであるエフ・シー・シー <7296> [東証P]、シャフトやギアを主力とする武蔵精密工業 <7220> [東証P]、そしてホンダ車運搬のニッコンホールディングス <9072> [東証P]に注目だ。

 そして、最後はトヨタが筆頭株主のSUBARU <7270> [東証P]になる。この会社の主要販売国は米国である(全販売量の7割近くに及ぶ)。しかも、米国での人気が高いため、他国企業の販売減速はこの会社にはプラスに働くだろう。

 以上を一言でまとめると、トランプ政権による強引な自動車関税の引き上げは、近い将来日本メーカーとその株価にプラスに働くことになる。これが一大発展の可能性があると私が見る理由だ。

2025年5月2日 記


株探ニュース

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