成長路線を驀進中、今2月期「最高利益」見込む活躍有望6銘柄リスト <株探トップ特集>

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コラム

―2月期の決算発表が出揃う、最高益更新路線を走る今期活躍期待の内需株リストアップ―

 今週後半から3月期決算企業による25年3月期決算発表が本格化する。東京証券取引所の集計(17日現在)によると、ファナック <6954> [東証P]が発表する23日から増え始め、月内に約240社、ゴールデンウィーク明けの来月7日以降に1900社近くが本決算を発表する予定となっている。今期はトランプ米政権が打ち出す関税政策の影響や為替相場の行方が見通せず、製造業を中心にいつにも増して慎重な数字を示す企業が多くなりそうだ。業績予想の開示を未定や保留とする動きも出てくるとみられる。

 25年3月期の決算発表シーズン入りを前に、小売業をはじめとして内需関連が多くを占める2月期決算企業の本決算発表が先週までに一巡した。ここでは、先行きを巡る不透明感が強まるなかでも成長を堅持し、26年2月期の業績予想で過去最高益を更新する見通しを示した企業にスポットを当てた。

●関税影響が及びにくいセクターの最高益株に注目

 18日までに25年2月期決算を発表した企業のうち、前期実績とともに26年2月期の営業利益予想を開示した204社(変則決算を除く)を集計したところ、営業利益の合計額は前期に比べ約7%増加する見通しとなった。25年2月期は旺盛な訪日客消費を捉えた百貨店の収益拡大が顕著だった一方、物価上昇やコスト高を受けて食品スーパーなどが苦戦し、新型コロナウイルス感染拡大の打撃を受けた21年2月期以来、4期ぶりに減益に沈んだ。26年2月期は業績回復を見込む企業が多く、全体の8割以上が前期実績を上回る計画としているものの、トランプ関税の影響や停滞感の見える個人消費など収益環境に向かい風が強いことからマイナス着地が増える可能性があることには留意しておきたい。

 足もとの国内株式市場は、トランプ米政権による関税引き上げやそれに伴う米中貿易摩擦を背景に大幅な調整を強いられている。今後も米政権の政策をにらんだ展開が続くとみられ、先行きに対する警戒感は強い。こうしたなか、今回は外部環境の影響を受けにくく、業績が好調な内需系セクターに注目。26年2月期に営業利益段階で過去最高利益の更新を見込み、かつ株主還元にも積極的な姿勢をみせる銘柄を6社ピックアップした。

【ドトール・日レスホールディングス <3087> [東証P]】

 コーヒーショップのドトールコーヒーと複数業態のレストランチェーンを運営する日本レストランシステムが2007年に経営統合して設立。コロナショックで21年2月期に上場来初の赤字に陥ったが、足もとではインバウンドを伴う来店客数の増加に加え、高単価商品の拡大や値上げによる客単価上昇などで回復傾向が鮮明となっている。26年2月期はドトール、日レスともに既存店売上高の成長が続くうえ、グループ全体で80店舗程度の新規出店を計画し、営業利益105億9900万円(前期比10.4%増)と9期ぶりに過去最高益を奪回する見通しだ。あわせて、配当を54円(同4円増)に増配する方針を示したほか、発行済み株式数の約8%に相当する350万株または50億円を上限に自社株買いを実施すると発表。株主還元強化の後押しもあって、株価は約7年3ヵ月ぶりの高値圏に急浮上している。

【トレジャー・ファクトリー <3093> [東証P]】

 全国に200店舗以上のリサイクルショップを展開。物価高に伴うリユース品の需要増加を背景に業績拡大基調が続いている。前期は主力の衣料品が好調に推移したほか、訪日客向けにブランドバッグをはじめとする高額品の販売が伸び、売上高、営業利益ともに20%超の成長でいずれも過去最高を更新した。26年2月期はインバウンド売り上げの拡大などを通じ、営業利益44億2000万円(前期比9.5%増)と4期連続の最高益見通しで、配当も39円(同3円増)に増配する計画だ。不透明な外部環境を前提として単体既存店売上高は2%成長に設定、新規出店は30~35店(前期は24店)を予定する。決算発表を受けて株価は14日に2045円まで上値を伸ばしたが、予想PER15倍台と割高感はなく昨年7月につけた上場来高値(2169円)の更新を視界に捉える。

【ウイングアーク1st <4432> [東証P]】

 帳票・文書管理ソフトと企業データの活用支援が2本柱。スマートバリュー <9417> [東証S]からデジタルガバメント事業を6月に取得する予定で、市場が拡大をみせる自治体DXビジネスに本格参入する構えをみせる。前期は基幹システムの更新需要や公共関連の大規模案件受注によって帳票ソリューション「SVF」のライセンスが大きく伸び、売上高、営業利益ともに2ケタ増で過去最高を記録した。26年2月期は注力分野のクラウドサービスが成長し、営業利益89億円(前期比8.3%増)と3期連続の最高益更新を見込む。配当は前期の創業20周年記念配当20円を落とす一方、普通配当を増やすことで前期の104円を維持する方針だ。同社は業績、配当予想ともに期中に増額修正するケースが多くみられる。譲受事業の業績を織り込んでおらず、今期も上振れに期待したいところだ。

【ライズ・コンサルティング・グループ <9168> [東証G]】

 戦略策定、業務改革、IT・DX推進など幅広いテーマを支援する総合コンサルティング会社。取引先は流通・サービス、通信IT・広告、金融、製造など多岐にわたる。業界大手を中心に強固な顧客基盤を有し、伴走型で課題解決に挑むハンズオンスタイルや価格面での優位性を強みにトップラインの高成長が続いている。26年2月期はコンサルタント人員数の拡大で案件獲得が増加し、売上高95億3800万円(前期比24.2%増)、営業利益22億8600万円(同16.7%増)といずれも4期連続で過去最高を更新する計画だ。中期経営計画では総還元性向30%以上、配当性向15~30%を目安とする方針を示しており、前期に初配当9円を実施、今期は14円に増配する計画とするなど、株主還元にも前向きな姿勢をみせる。株価は4月7日の上場来安値560円から900円処まで一気に切り返している。

【No.1 <3562> [東証S]】

 自社企画のセキュリティー機器や情報通信・OA機器の販売が主軸。20年7月にアレクソンを子会社化したことでメーカー機能が加わり、収益力が大幅に向上している。前期は持続的な成長に向けた人的投資などの影響で7期ぶりの減益に沈んだが、26年2月期は旺盛なセキュリティー対策ニーズを捉え、営業利益13億円(前期比25.1%増)と最高益更新を狙う。昨年4月に策定した中期経営計画では株主還元を大幅に強化する方針を打ち出し、10月には300株以上を保有する株主に年間3万円分のQUOカードを贈呈する株主優待制度を新設すると発表。これがサプライズを呼び、株価は連日急騰劇を演じた。その後は権利落ちや全体相場急落で調整したが、足もとでは好決算見通しや7%を超える利回り(優待と配当の合計)を背景にリバウンド基調を強めつつある。

【エスケイジャパン <7608> [東証S]】

 ゲームセンターの景品を主力とするほか、オリジナル商品を含むキャラクターグッズの企画販売も手掛ける。筆頭株主のラウンドワン <4680> [東証P]向けが売上高全体の2割近くを占める。前期業績は活況が続くクレーンゲームなどのプライズゲーム市場やインバウンド需要が旺盛なカプセルトイ市場で受注を伸ばし、売上高、営業利益ともに20%を超える大きな伸びを示した。26年2月期は営業利益13億円(前期比5.8%増)と3期連続の過去最高益を見込み、配当も31円(同4円増)に増配する方針だ。同社の業績予想は保守的で過去10期連続で期中に通期計画を上方修正した経緯があること、生産は大半が海外で足もとの円高基調はプラスに働く点は要注目。指標面では予想PER7倍台、配当利回り4%前後と株価の水準訂正余地は大きいとみられる。

株探ニュース

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