【植木靖男の相場展望】 ─米国株安に逆行高する日本株
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「米国株安に逆行高する日本株」 ●国難を打開する景気対策に期待! 日経平均株価は3月26日高値の3万8220円から一気に下げ、わずか8日間で7400円超も下落。ようやく4月7日安値3万0792円で下げ止まった。これは2024年8月5日に付けた3万1156円を一番底とみれば、まさに二番底ということになる。 昨年8月の急落は、米国の景気悪化懸念、円高の進行、さらに日銀の国債購入減額・過剰流動性の回収といった不安材料が顕在化したからだが、今回はどうか。円高進行や米景気の悪化懸念といった不安材料は同じだが、今回は何といっても米中貿易戦争の激化が背景にあることが大きい。 現在、米国の高関税政策を巡って、米中対立の影響が一段と不透明感を高めている。特に関税引き上げの応酬により、米国自身もかなりの傷を負うとみられることが混迷に拍車を掛けている。 このため、米国の株式市場も大きく下げ、いまなお下げ止まっていない状況にある。 一方、足もとでやや不思議な現象が表面化しつつある。それは、これまで米国市場が下げれば、それ以上に下げていた東京市場が4月17日、18日と上昇に転じたことだ。米国市場が下落したにもかかわらず、東京市場は逆行高をみせたのだ。米国の関税政策で負う傷口がより深いはずの日本株が、である。 これはなぜか。ファンドが米国株急落で売却に走り、現金化比率を高めたことは容易に理解できる。だが、いつまでも現金で持っていることはできない。顧客から手数料を得ている以上、次のターゲットを早く決めなくてはならない。そこで狙いをつけたのが日本株ではないのか。折しも為替が円高に振れているいま、日本株は魅力ある投資対象にみえるのかもしれない。 とすれば、今後、さらに米国株安が続き、円高進行となれば、日本株は一段と上昇に転じる可能性がありそうだ。わが国は石破首相がいまは国難の時と断じた以上、通常の景気対策とは異なる、かなり思い切った景気対策を打ち出すことは容易に想像し得る。だとすれば、近くその対策は顕在化することになろう。期待したい。 ●建設、食品などの出遅れ内需関連に歩 チャートからは現状をどう判断すればよいのか。目先的には4月17日、18日の上昇で、10日高値の3万4639円を上回ってきた。これは目先的な買い転換といってよい。どこまで上昇するかは定かではないが、とにもかくにも25日移動平均線が位置する3万5500円処が第一の関門となる。さらにその上では3万8000円処か。 では、物色対象はどうか。4月17日、18日に上昇した銘柄は、明らかに好業績ながら株価的に出遅れていた建設、不動産、小売りなどの内需関連に歩があった。それと米価高騰で代替関連としての食品だ。 建設では熊谷組 <1861> [東証P]、飛島ホールディングス <256A> [東証P] 、また電気工事の関電工 <1942> [東証P]などがおもしろそうだ。 米価高騰の代替で山崎製パン <2212> [東証P]が連騰している。代替関連ではないものの足もとで騰勢を強めるキユーピー <2809> [東証P]なども狙い目か。 ハイテク関連では相変わらずデーターセンター関連で押せば拾われるフジクラ <5803> [東証P]。また、金融ではみずほフィナンシャルグループ <8411> [東証P]、さらに意外性のある銘柄としてチヨダ <8185> [東証P]、カカクコム <2371> [東証P]、良品計画 <7453> [東証P]など。 景気対策次第では不動産株も無視できないだろう。 2025年4月18日 記 株探ニュース