前日に「売られた株!」総ザライ (1) ―本日への影響は?―
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■マルマエ <6264> 899円 (-251円、-21.8%) 東証プライムの下落率トップ。マルマエ <6264> [東証P]が3日続急落。前週末4日の取引終了後に発表した2月中間期単独決算は、売上高39億1100万円(前年同期比91.7%増)、営業利益9億5200万円(前年同期7800万円の赤字)、最終利益6億6400万円(同1億100万円の赤字)と大幅黒字転換したものの、地合い悪のなか特に半導体関連株の下落もあって、売りが優勢となった。半導体分野停滞の原因となっていた顧客の過剰在庫の解消傾向が出始めたことで、消耗品の受注が急回復したほか、新規顧客からの受注も順調に推移した。また、FPD分野では有機ELディスプレー向けが好調に推移。材料費や外注加工費なども増加したが、それらを吸収し大幅黒字転換した。なお、25年8月期通期業績予想は、売上高76億円(前期比60.0%増)、営業利益16億円(同10.2倍)、最終利益10億6500万円(同56.1倍)の従来見通しを据え置いた。 ■安川電 <6506> 2,668円 (-676円、-20.2%) 一時ストップ安 東証プライムの下落率2位。安川電機 <6506> [東証P]が3日続急落、一時ストップ安となった。同社は前週末4日の取引終了後、25年2月期の連結決算発表にあわせ、26年2月期の業績予想を開示した。今期の売上高は前期比2.3%増の5500億円、営業利益は同19.6%増の600億円、最終利益は同18.4%減の465億円を見込む。最終減益の見通しとなったことに加えて、米政権による相互関税に対し中国が報復として追加関税を発表したことを受け、世界的な景気減速への警戒感が強まっており、景気敏感株である同社株に対し売り圧力が高まった。前期に計上した株式売却益の反動で最終減益となる見通し。モーションコントロールとロボットの両部門では増収・営業増益を計画する。想定為替レートは1ドル=145円、1ユーロ=160円。年間配当予想は前期と横ばいの68円とした。25年2月期の売上高は前の期比6.6%減の5376億8200万円、営業利益は同24.3%減の501億5600万円、最終利益は同12.4%増の569億8700万円だった。 ■フジクラ <5803> 3,593円 (-699円、-16.3%) 一時ストップ安 フジクラ <5803> [東証P]が一時ストップ安。年初来安値を連日で更新した。トランプ米政権による相互関税に対し中国が早速、報復措置に動いた。他の国も対抗措置を講じるリスクとともに、世界経済へのネガティブな影響が顕在化するとの警戒感が強まり、世界同時株安の様相を呈した。更に、ここにきて米巨大テック企業によるデータセンター投資計画の縮小などが報じられるようになった。電線株に関しては世界的なデータセンター増設の潮流でその恩恵を受けるとの期待感から、高いパフォーマンスを示してきただけに、投資マネーの流出による下押し圧力にさらされた。データセンター関連株と位置付けられている北海道電力 <9509> [東証P]もストップ安に売られる場面があった。 ■日経レバ <1570> 17,195円 (-3,085円、-15.2%) NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信 <1570> [東証E]が3日続急落。寄り付いた直後に前日6日比18%安の1万6565円まで売り込まれる場面があった。日経レバは日経平均株価に連動する仕組みで組成されたETFで、価格変動率が日経平均の2倍に基本設定されていることから全体相場のボラティリティが高まる場面では、個人投資家など短期筋の商いが活発化する傾向が強い。前週末の欧米株市場がトランプ関税の世界経済への影響を懸念して全面安となるなか、東京市場でもリスク回避目的の売りが噴出した。日経平均は一時9%近い下げで3万1000円台を割り込んでおり、昨年8月5日のザラ場につけた3万1156円の安値を下回った。信用で買い建てた投資家の追い証に絡む投げ売りも下げを助長したもようだ。 ■エスクロAJ <6093> 117円 (-21円、-15.2%) エスクロー・エージェント・ジャパン <6093> [東証S]が6日続急落。前週末4日の取引終了後に発表した26年2月期連結業績予想で、営業利益を4億7700万円(前期比1.0%減)と減益を見込むことが嫌気された。金融ソリューション事業における新規クライアントの収益貢献などがあり、売上高は54億3500万円(同14.6%増)を見込むものの、引き続き人的資本投資や事業投資を継続することが利益を圧迫した。なお、25年2月期決算は売上高47億4100万円(前の期比14.6%増)、営業利益4億8200万円(同5.8%増)だった。 ■野村 <8604> 705.6円 (-106.9円、-13.2%) 野村ホールディングス <8604> [東証P]が続急落。年初来安値を更新した。米政権の相互関税とその報復措置が世界景気を減速させるとの懸念から、株式相場の調整が続いた。7日の東京株式市場で日経平均株価は一時3000円近く下落。取引時間中として2023年10月以来の安値水準をつけた。加えて、日本経済新聞電子版は5日、「個人投資家の証券口座が乗っ取られ株を勝手に取引される被害が楽天証券や野村証券など5社で確認された」と報じた。楽天グループ <4755> [東証P]傘下の楽天証券と野村、SBI証券、マネックス証券、三井住友フィナンシャルグループ <8316> [東証P]傘下のSMBC日興証券の5社で確認され、株式相場の不正操作を狙う組織犯罪の疑いが強いとも伝えた。フィッシング詐欺による不正取引の発生に証券各社が対応を迫られるなか、萎縮した投資意欲が売買手数料の減少につながるとの警戒感が続いており、証券株全般が下押しを余儀なくされた。 ■ジオコード <7357> 515円 (-75円、-12.7%) ジオコード <7357> [東証S]が7日続急落。地合い悪に加えて、前週末4日の取引終了後に集計中の25年2月期単独業績の計画下振れ着地を発表したことが嫌気された。売上高が従来予想の17億1500万円から15億8200万円(前の期比4.1%増)へ、営業損益が4000万円の黒字から2500万円の赤字(前の期500万円の赤字)、最終利益が3000万円から1600万円(前の期比14.3%増)へ下振れたようだ。オーガニックマーケティングの新規受注が第4四半期においても伸び悩んだことが要因としている。 ■日本色材 <4920> 898円 (-130円、-12.7%) 日本色材工業研究所 <4920> [東証S]が4日続急落。地合い悪に加えて、前週末4日の取引終了後に集計中の25年2月期連結業績の計画下振れ着地を発表したことが嫌気された。売上高が従来予想の178億2100万円から176億3200万円(前の期比17.2%増)へ、営業利益が5億9300万円から4億8900万円(同10.9%増)へ、純利益が2億3000万円から2億1600万円(同45.7%減)へ下振れたようだ。国内・海外の化粧品メーカーからの受注が上期に大きく回復した後、下期には沈静化したことや、一部資材の納入が遅延したことから売上高が計画を下回ったことに加えて、フランス子会社で化粧品受注の回復ペースが鈍化したことなどが響いた。 ■岡野バ <6492> 4,200円 (-565円、-11.9%) 岡野バルブ製造 <6492> [東証S]が6日続急落。前週末4日の取引終了後に発表した25年9月期第1四半期(24年12月-25年2月)の連結決算は、売上高が前年同期比8.2%減の14億4200万円、最終利益が同43.2%減の1億3700万円だった。減収減益で着地したことが株価の重荷となったようだ。バルブ製造部門では東海第2発電所向けの特定重大事故等対処施設用弁や東扇島火力発電所向けの弁部品のほか、海外向けの販売に注力したが、減収となった。メンテナンス部門は福島第1原子力発電所における廃炉関連工事に加え、柏崎刈羽原発6号機の点検工事などの売り上げを計上。前年同期並みの売上高となった。 ■アドテスト <6857> 5,034円 (-620円、-11.0%) アドバンテスト <6857> [東証P]が続急落。半導体製造装置関連株への売り圧力の強さが際立った。トランプ米政権が打ち出す高関税政策と各国の報復関税の動きが一段と顕在化するなか、前週末の欧米株市場は全面安となり、米国ではハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数の下落率が終値で5.8%あまりに達した。特に半導体セクターへの売りが目立ち、フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)の下落率はナスダック指数を大幅に上回る7.6%となった。SOX指数は2023年11月以来約1年半ぶりの安値水準に売り込まれた。アドテストは個人投資家の買い下がる動きが活発で、信用買い残が高水準に積み上がっていたことから、追い証回避の売りなども予想される場面にあった。 ■三菱UFJ <8306> 1,495.5円 (-173円、-10.4%) 三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> [東証P]が続急落。メガバンクへの売り攻勢に勢いが増していた。前週末の欧州株市場でドイツ銀行や仏ソシエテ・ジェネラルなど大手金融株が10%前後の急落に見舞われた。また、米国株市場でもJPモルガンが8%強、ゴールドマン が7.9%安に売り込まれるなど金融セクターへの売り圧力が増幅された。米関税とそれに対抗した各国の報復関税への動きによって世界経済への悪影響が懸念された。「スタグフレーション懸念が現実味を帯び企業業績が急速に悪化した場合、銀行の融資焦げ付きなども警戒される可能性が出てきた。ここに来ての世界的な金融株安はそれを織り込みに行っているのではないか」(ネット証券アナリスト)という見方もある。 ※7日の下落率が大きかった銘柄を株価変動要因となった材料とともに抜粋 株探ニュース