株価指数先物【寄り前】 トランプ関税への各国の対応を見極め
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大阪6月限ナイトセッション 日経225先物 32220 -1540 (-4.56%) TOPIX先物 2362.5 -113.0 (-4.56%) シカゴ日経平均先物 32245 -1515 (注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比) 4日の米国市場はNYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が大幅に下落。中国政府は4日、米国が中国からの輸入品に34%の関税を上乗せしたことへの対抗措置として、米国からの全ての輸入品に34%の追加関税をかけると発表した。さらに、レアアースなどの輸出規制の強化なども決めた。中国の報復関税による景気・企業業績の悪化が警戒され、NYダウは4万ドルの大台割れで、昨年5月下旬以来、約10カ月ぶりの安値となった。また、トランプ大統領が3日夕、半導体と医薬品に対する関税引き上げを近く発表する考えを示したことで、半導体SOX指数の下落率は7%を超えた。 朝方発表された3月の米雇用統計は、非農業部門の雇用者数が前月比22万8000人増え、市場予想(14万人増程度)を上回った。一方で、失業率は4.2%と前月(4.1%)から上昇し、横ばいを見込んでいた市場予想より高かった。 S&P500業種別指数は、耐久消費財・アパレルのみが上昇し、自動車・同部品、エネルギー、保険、各種金融、半導体・同製造装置の下げが目立った。NYダウ構成銘柄では、ナイキが上昇した半面、ボーイング 、スリーエム 、シェブロン 、JPモルガン・チェース 、トラベラーズ 、ゴールドマン・サックス・グループ が大きく売られた。 シカゴ日経平均先物(6月限)清算値は、大阪比1515円安の3万2245円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッションは、日中比210円安の3万3550円で始まり、直後につけた3万3660円を高値に下へのバイアスが強まり、米国市場の取引開始後には一時3万1970円まで売られ、3万2000円を割り込んだ。売り一巡後は3万2080円~3万2680円辺りで荒い値動きを継続し、3万2220円でナイトセッションの取引を終えた。 日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、売り先行で始まることになる。ボリンジャーバンドの-3σ(3万2670円)を大きく割り込んでおり、売られ過ぎが意識される状況である。節目の3万2000円を割り込んだことで、押し目狙いのロングが入りやすい。ただし、昨年8月安値が射程に入ってきたほか、バンドが拡大傾向にあるなか下向きで推移する-3σに沿った調整を続けていることで、スキャルピングが中心となろう。 米政権の関税政策を巡り、今後は各国政府間の協議に関心が集まる。いずれかの国が米国から譲歩を引き出すことができれば、買い戻しが意識されるだろう。国内では石破首相が今週にもトランプ大統領と電話協議を行うとみられており、その結果が注目される。4日の東証プライムの売買高は昨年10月30日以来となる30億株超に膨れ、ポジション解消が進んだと考えられる。ショートも入れづらくなるなか、オプション権利行使価格の3万1875円から3万2875円のレンジを想定する。 4日の米VIX指数は45.31(3日は30.02)に急伸した。3日に3月11日の戻り高値29.57を捉えたが、4日の大幅な上昇によって昨年8月5日の高値38.57を上抜き、2020年4月以来の水準となった。リスク回避姿勢が強まりそうだが、各国の関税対応次第で急速に低下する可能性もあるだろう。 先週末のNT倍率は先物中心限月で13.63倍に上昇した。25日移動平均線(13.60倍)を上回ってきており、1月23日の14.54倍から4月1日の13.32倍までの調整トレンドに対するリバウンドが意識された。米国の相互関税を受けてポジション解消に向かう過程で、結果的には1月下旬から強まっていたNTショートのポジションを巻き戻す形となった。本日も幅広い銘柄が売られるなかで、NTロングによるスプレッド狙いに向かわせそうだ。 株探ニュース