【植木靖男の相場展望】 ─全般市況に抗う逆行高銘柄に注目

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コラム

「全般市況に抗う逆行高銘柄に注目」

●二番底形成からの反転を待つ

 日経平均株価は2024年9月下旬から続いた高値もみ合いを終え、下降に転じてきた。下げの背景は、やはりというかトランプ米政権による高関税政策、それに伴う米国景気の先行き警戒感である。

 NYダウは3月4日に670ドル下げた後、翌5日は485ドル高といったん反発に転じていた。これに同調して日経平均株価も6日は続伸し、下げ止まったかと思われた。だが、週末7日は817円安と急反落を演じ、3万6813円の安値を付けている。

 トランプ大統領の政策は日本に対しても厳しいものになるとみられる。若干、日柄に猶予があるにしても、わが国の自動車輸出に25%の関税ともなれば実質的に輸入禁止令ともいえ、日本経済全体への影響は計り知れない。

 なぜ、米国はこうした厳しい貿易戦争じみた行いを仕掛けるのか。一言でいえば、沈み行く大国の焦りとしか言いようがない。

 第二次世界大戦末期、ヤルタで英国のチャーチル首相、旧ソビエトのスターリン書記長、米国のルーズベルト大統領による3巨頭会談が行われ、大戦後の世界の行方を決めた。しかし、それから80年が経過、この戦後システムは崩れ始めている。なによりの証しは基軸通貨ドルの衰退である。購買力平価に基づくGDPでは中国がすでに米国を上回っているのだ。

 おそらく5月9日のロシアの対独戦勝記念日では、米国トランプ大統領、ロシア・プーチン大統領、中国・習近平国家主席による3巨頭会談が行われ、これからの世界のありようが決まるのではないか。

 さて、話を株式市場に戻すと、現在の東京市場は24年8月の大暴落に対する二番底を形成しつつあると判断してよいかもしれない。もっとも、その後は多くの警戒材料を織り込んで反発に転じるとみている。

 かつて平成バブルの時は、やはり事前に大きな下げがあった。株価が大きく上向くには下げることが必要なのだ。まして現在は国難ともいえる情勢下である。

●防衛関連を主軸に不動産、日立に替わり三菱電などを

 仮に二番底形成となれば新規投資は控えるのが得策だが、株式市場にはそうした中でも動意をみせる銘柄はあるものだ。中長期狙いで安いところを買いたいという投資家もいれば、短期で売買をしたいという投資家も多く存在する。

 目下、大きく動意をみせているのは、やはり防衛関連株だ。スケールの大きさで言えば、主力株のみならず中小型株も動意をみせている。

 トランプ大統領の要請を背景に、欧州では防衛費増額の方向性が明確になっている。日本に対してもトランプ大統領はGDP比で3%以上への増額を要求している。

 防衛関連銘柄としては、主力の三菱重工業 <7011> [東証P]、IHI <7013> [東証P]、川崎重工業 <7012> [東証P]はもとより東京計器 <7721> [東証P]、豊和工業 <6203> [東証S]などもしっかりだ。

 こうした防衛絡みの銘柄ほか、ここ数年相場が続いたハイテク株がいったん休みに入るのであれば、次は不動産株とよくいわれる。その筆頭は人気からみても住友不動産 <8830> [東証P]だ。このほか、これまでの日立製作所 <6501> [東証P]に替わって、三菱電機 <6503> [東証P]が防衛といった材料もあり新鮮味がある。

 ごく目先的な銘柄として気掛かりなのは日本製鉄 <5401> [東証P]だ。なぜ、これほどまでに強いのか。同じ感覚でいえば東京ガス <9531> [東証P]もそうだ。また、仕手性が強い銘柄として日産化学 <4021> [東証P]が面白そうだ。

2025年3月7日 記

株探ニュース

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