評価本番!最高益路線快走の12月期決算「活躍期待の5銘柄」精選 <株探トップ特集>
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―12月期決算の本決算発表が一巡、今期最高益予想で還元姿勢も魅力の割安株ピックアップ― 上場企業の業績は好調に推移している。先月までに出揃った12月期決算企業の前期業績は営業利益段階で前の期と比べ8%増加した。携帯事業の赤字縮小で5期ぶりの黒字化を果たした楽天グループ <4755> [東証P]、抗精神病薬や抗がん剤の販売が好調だった大塚ホールディングス <4578> [東証P]などが牽引役となったほか、値上げの浸透や為替市場で円安が進んだことも追い風となった。続く25年12月期はトランプ米政権が掲げる関税引き上げなどで先行き不透明感が強まるなかでも利益成長が続く見込みだ。ここでは、今期に過去最高水準の利益見通しを示す12月期決算企業のうち、増配基調で配当利回りも高水準な妙味株を探った。 ●25年12月期は2ケタ増益予想 12月を本決算月とする東証上場企業は542社と3月期に次ぐ2番目の多さで全体のおよそ14%を占める。JT <2914> [東証P]、キヤノン <7751> [東証P]、ルネサスエレクトロニクス <6723> [東証P]、ブリヂストン <5108> [東証P]など、製造業を中心にグローバルに事業展開する企業が多いのが特徴だ。4月下旬に決算発表シーズンを迎える3月期決算の行方を占ううえでもマーケットの注目を集める。 25年12月期の業績予想を開示した東証上場484社(変則決算を除く)を集計したところ、営業利益の合計額は前期比12%増と増益幅が拡大する見通しとなった。利益増加額が大きい企業に目を向けると、キヤノン、電通グループ <4324> [東証P]、住友ゴム工業 <5110> [東証P]など、前期不調だった業績が大幅に改善する計画を示すものが上位に並んだ。そうしたなかで好調ぶりが目立つのがアシックス <7936> [東証P]だ。今期は主力のランニングシューズを軸にスポーツスタイルや「オニツカタイガー」が一段と成長し、4期連続の最高益更新を見込む。好決算の発表を受けて、株価は2月17日に上場来高値3842円まで上値を伸ばしている。 そのほか、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進ニーズを捉えるIT関連をはじめ、サービス業、小売業など内需関連に底堅い業績予想を示す企業が多くみられる。製造業ではトランプ米政権が打ち出す関税政策や米中摩擦の激化などに対する警戒感から慎重な姿勢をみせる企業も少なくないが、社数ベースで見ると全体の8割近くが増益または黒字転換する計画だ。株主還元にも意欲的で増配を予定する企業は4割超に上る。 ●投資妙味膨らむ最高益&高配当株 今回は25年12月期業績が営業利益ベースで過去最高の見通しで、更に利益成長とともに株主還元も拡充する傾向にある企業に照準を合わせた。以下では、好決算見通しとあわせて増配の方針を示し、かつ配当利回りが高水準で上値が期待できる5銘柄をピックアップした。足もとで利益確定売りに押されている銘柄もあるが、押し目買い候補としてマークしたい。 ◎ジェイエイシーリクルートメント <2124> [東証P] イギリスを発祥とする人材紹介のパイオニア。管理職や幹部人材、専門性の高いエキスパート職に特化した転職・採用支援サービスを展開し、外資系企業やグローバル人材の紹介に強みを持つ。景気変動の影響を受けにくいミドル・ハイクラス層の人材マーケットで安定した収益成長を続けている。24年12月期は4月の賃上げ前に一時的に求職者の流動性が低下したものの、下期は勢いを取り戻して2ケタ増収増益で着地。25年12月期は国内人材紹介事業を中心に高額案件の獲得に注力し、営業利益100億円(前期比10.0%増)と4期連続の最高益更新を目指す。株主還元にも積極的で前期は配当と自社株買いを合計した総還元性向が100.5%を達成した。今期配当は32円(前期は26円)に増配する計画だ。株価は上場来高値圏で推移しているが、配当利回り4%前後と見直し余地はありそうだ。 ◎サカタインクス <4633> [東証P] 食品や日用品などの商品パッケージ用インキを主力とする世界第3位の総合インキメーカー。海外展開の更なる強化を通じて、30年12月期に営業利益240億円(24年12月期は131億円)の目標を掲げる。25年12月期はアジアや米州で拡販を進めるほか、昨年買収した米コーティング剤メーカーC&A社の業績も寄与し、営業利益155億円(前期比17.8%増)と3期連続で最高益を更新する見通しだ。PBR1倍以上を目指して株主還元を強化しており、前期は配当を70円と前の期から倍増させたうえ、10億円規模の自社株買いも実施した。今期は年90円配当に増額する予定としている。配当利回り5%近辺、予想PER8倍台、PBR0.8倍前後と割安感が強く、指標面からの水準訂正余地は大きい。 ◎イトーキ <7972> [東証P] オフィス家具メーカー大手。20年12月期に低価格競争や新型コロナウイルス感染拡大の影響などで2期連続の最終赤字に陥り、これを受けて構造改革プロジェクトを実施。オフィス家具販売のみにとどまらずレイアウト設計から内装工事まで請け負う高付加価値型ビジネスの推進や生産効率化、コスト削減などを通じて高収益体質に変貌し、23年12月期には営業利益段階で33期ぶりの最高益更新と大復活を遂げた。25年12月期はオフィスのリニューアル案件が着実に増加するなか、値上げ効果や製品ミックスの良化なども加わり、営業利益115億円(前期比14.1%増)と3期連続の最高益更新を狙う。配当は65円(前期比10円増)と5期連続増配を予定し、配当利回りは4%前後で推移している。 ◎ベース <4481> [東証P] 富士通 <6702> [東証P]を筆頭に業界トップクラスのシステムインテグレーターを主要顧客に持つ独立系ソフトウェア受託開発会社。顧客との緊密な関係を構築し、一貫体制で取引規模の大きい案件を効率的に獲得するビジネスモデルで売上高営業利益率25%前後、ROE30%台と抜群の収益力を誇る。足もとでは独SAPのERPパッケージの導入コンサルティングや開発、運用・保守などソリューション事業を拡大中だ。業績は企業や官公庁の旺盛なDX需要を追い風に成長を続けており、25年12月期は営業利益62億7200万円(前期比20.0%増)と上場以来6期連続の最高益更新を計画。営業利益が100億円を達成するまで配当性向を50%に設定しており、今期配当は117円(前期比15円増)に増配する方針だ。前期は初の自社株買いを実施するなど株主還元の切り口でも魅力が高い。 ◎ムゲンエステート <3299> [東証S] 首都圏1都3県を地盤に北海道、大阪、福岡などで中古不動産の買取再販事業を展開。今後更なる不動産需要が見込まれる京都や沖縄エリアなど西日本を中心に営業エリアを拡大している。前期業績は2度にわたる上方修正を経て、営業利益96億2300万円(前の期比62.1%増)と7期ぶりに過去最高益を塗り替えた。賃料の緩やかな上昇やインバウンドの増加を背景に投資用不動産の大型物件が増加したほか、居住用不動産も高価格帯の販売が好調だった。25年12月期は投資用不動産の拡大基調が続くなか、営業利益109億6100万円と2期連続の最高益更新を計画し、配当は前期比8円増の112円を実施する予定だ。配当利回りは5%を大きく上回る水準で投資妙味は大きい。 株探ニュース