波乱相場で値千金の投資術、「究極の好業績・高配当株」で乗り切る! <株探トップ特集>

投稿:

コラム

―全体相場急落も冷静に買い場探し、3月は5%超の高配当利回り株が勝利の方程式に―

 週末と月末が重なった2月28日の東京株式市場は文字通りの波乱展開に見舞われた。日経平均株価は前日比1100円安の3万7155円でこの日の取引を終えている。前週後半からリスク回避ムードにあったとはいえ、この日の下げは青天の霹靂と言ってよいインパクトがあり、投資家の狼狽売りを誘発し、日経平均は一時1400円を超える下げに見舞われる場面もあった。

 ここトランプ米政権の打ち出す関税政策や日銀のタカ派姿勢に対する警戒感が日増しに高まってはいたが、昨年9月下旬から長期にわたって繰り返されたボックス相場の下限を目指す動きとして、マーケットでは高を括った部分もあったと思われる。ところが、今回はこのセーフティーネットが引かれていたはずの下限ライン、日経平均3万8000円大台近辺を一気に踏みぬく格好となり、勢い余って3万6000円台に直行するという驚きの展開となった。企業のEPSなどを無視したシステマティックリスクの発現で、大勢トレンドの下降転換をも意識させる状況となった。

●マイナス2σブレークの波乱領域に突入

 今回の日経平均にみられるような、ボリンジャーバンドでマイナス2σ(シグマ)の外側に大きく逸脱するケースというのは元来非常に稀である。株価がプラス2σ及びマイナス2σの内側で推移する確率は95%以上、つまり現状は数パーセントの確率しかないイレギュラーゾーンに日経平均が転がり出た状況にある。実は今と似た風景が昨年にもみられた。それは8月初旬のブラックマンデー超えとも言われた大波乱で、投資家なら誰もが記憶に新しいはずである。当時は明確な悪材料が確認されないなか、日経平均は8月5日までの3営業日で7600円あまり、率にして20%近い暴落となった。しかし、その後の戻り足も“規格外”の超スピードであったということを付記する必要がある。8月16日には終値ベースで3万8000円台を回復、下げ分の86%を取り戻すという凄まじいV字回復トレンドを形成した。

●トランプ関税のアナウンスに翻弄される市場

 今の相場を取り巻く環境は言うに及ばず不透明感が極めて強い。しかし、これはトランプ米政権が打ち出す関税政策に対するアレルギーが、視界を曇らせている部分がかなりの要素を占めている。もちろん、何が出てくるか予想がつかないという恐怖感はあるのだが、事前に市場が想定したシナリオから実はそれほどカイ離したものではない。

 良し悪しは別としてトランプ米大統領がSNSなどを通じて情報を意図的に随時晒していることが、次のヘアピンカーブに備える時間的猶予を与えている。また、これまでの経緯でも分かるように、トランプ発言は風見鶏のようにクルクル変わる。ニュースヘッドラインにその都度振り回されてばかりでは見失うものが多く、大局的な見地で相場を俯瞰する必要がある。

●米金利と方向性の異なる国内金利に警戒感

 一方、日本固有のネガティブ材料としては、日銀の金融政策がタカ派寄りに傾いているという観測が投資マネーの買い気を削いでいる。日銀サイドは、実質金利が大幅にマイナスであるということを盾に緩和的金融環境が維持されているという論調を前面に押し出しており、言い換えれば追加利上げの余地がまだ大きいという主張を言外に匂わせている。

 最近は米国経済が減速モードとなる中で米長期金利は低下基調にあるが、対して国内の新発10年債利回りは前週まで上昇基調を鮮明としていた。米金利の動向とは明らかに異なる歩調で、日本だけ利上げモードとなっていることが、海外投資家のポジション調整の売りを加速させる背景ともなったようだ。

●エヌビディア暴落はモメンタム相場の反動

 米エヌビディアの決算については、事前コンセンサスの高いハードルを余裕で越える文句のつけようのない内容であったが、株価面では次世代製品の量産に伴って短期的に利益率が鈍化するという見通しを売り材料にされた。半ば難癖に近い理由で急落を余儀なくされたが、これはむしろエヌビディアのファンダメンタルズではなく、AI用半導体のハイスペック化そのものに対する疑念が、利益確定売りを急がせたという部分が大きい。その意味で半導体製造装置関連を含めAI用半導体周辺株は、当面向かい風の強い相場環境を強いられる可能性が高いとみるよりない。

 もっとも、エヌビディアの急落は同社株などを対象としたレバレッジファンドなどオプション系取引の影響も大きいとされる。半導体関連はマーケットの華であるがゆえにモメンタム投資の絶好のターゲットともなっており、投資マネーの残高が膨れ上がっていたことでその反動が出やすい時間軸にあったことも認識しておく必要がある。しかしこれは株式市場から資金が離散するということではない。日米欧を問わずAI用半導体周辺株などから他の銘柄群へのシフトが行われる公算が大きく、投資マネーのローテーションをしたたかに捉えるのが相場巧者の業である。

●3月はインカム・キャピタルの一挙両得狙い

 東京市場では、東証による「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の要請もあって企業の株主還元の動きが一段と活発化している。株主配当を厚くすることで株価純資産倍率(PBR)を上昇させることにもつながるため、最近は企業にとっても投資家にとってもインカムゲイン重視の流れがこれまで以上にテーマ性を帯びてきた。そして、3月は多くの企業が決算期末を控えており、株式市場では配当権利取りの動きが顕在化しやすい季節であることも忘れてはならない。

 バリュー株優位の地合いが構築されるなか、業績内容が好調でなおかつ配当利回りの高い銘柄への注目度がいやがうえにも高まることが予想される。更に高配当が着目され人気が高まることによって、需要と供給のバランスから当該銘柄の株価に浮揚力が働くのは道理であり、インカムゲインが狙える銘柄はその前段階でキャピタルゲインも狙えるという構図も成り立つ。今回のトップ特集では利益が高成長トレンドに乗っている銘柄の中から、配当利回りが5%を超える極め付きのバリュー株を5銘柄厳選エントリーした。

●5%超の高配当で収益も成長路線まい進の5銘柄

◎極東開発工業 <7226> [東証P] 【配当利回り6.29%】

 極東開発はトレーラーやダンプ、コンクリートポンプ車、ゴミ収集車といった特装車の製造販売を主力に手掛け、リサイクルセンターなどの環境事業にも展開する。特装車は売上高の8割以上を占めるが、国内外で受注は好調に推移しており、一部販売価格の改定効果なども利益の伸びに反映されている。昨年12月にはオーストラリアの特殊車両メーカーを傘下に収め、製品ラインアップの拡充により業容拡大を図る構えだ。25年3月期の業績は当初見通しを上回って推移しており、営業利益段階で従来予想の63億円から67億円(前期比39%増)に上方修正している。株主還元の強化にも継続的に取り組んでいる。今期までの中期経営計画(3カ年計画)では、各年度の総還元性向を100%とすることを決めており、機動的な自社株買いも行う方針を示している。配当利回りは6.3%前後と極めて高水準だ。株価は2000円台半ばでもみ合うが、中期視野で買い溜めておくのも一法。週足では13週・26週移動平均線のゴールデンクロス示現が目前となっている。

◎東京鐵鋼 <5445> [東証P] 【配当利回り5.70%】

 東京鉄は建築用の小型棒鋼を主力とする電炉メーカーであり、足もとの業績は大型案件の獲得や製品出荷価格の上昇などが反映され絶好調に推移している。また、看板商品である高張力ネジ節棒鋼「ネジテツコン」は、専用の継ぎ手を使うことによって専門的な技術を要せずに鉄筋同士を接合できるもので、非常に高い商品競争力を誇っている。同社の最終利益は24年3月期に前の期比2.2倍と急拡大したのに続き、25年3月期も前期比24%増の98億円予想と100億円大台に急接近し、過去最高を連続で更新する見込みだ。同社株は市況関連の位置づけで収益は外部環境に左右されやすいとはいえ、目を見張る利益成長力を発揮するかたわら、投資指標面でPERが5倍程度、PBR0.9倍、配当利回り5.7%と際立って割安圏に放置されている。株価は昨年11月上旬につけた昨年来高値6780円から1000円近くディスカウントされた水準にあり、お買い得感が漂う。6000円台前半は累積売買代金も少なく、戻りに転じれば足は早そうだ。

◎世紀東急工業 <1898> [東証P] 【配当利回り5.79%】 

 世紀東急は東急系の建設会社で道路舗装を中核事業としている。土木両面で優位性を持ち、遮熱性の高い舗装などの環境対応や舗装面に色を加えた景観舗装など幅広い分野で独自技術を発揮する。防災・減災及び国土強靱化への取り組みに積極的な姿勢を標榜しており、27年3月期を最終年度とする中期経営計画でも社会課題を踏まえたSDGsに即した経営に傾注する方針を示している。埼玉県八潮市の大規模陥没事故を受け道路インフラ立て直しへのニーズが高まるなか、同社の活躍余地は今後一段と高まることが予想される。25年3月期は営業利益段階で前期比35%増の55億2000万円を予想する。今期の年間配当は前期と同じ90円を計画しており、配当利回り5.8%前後は足もとの業績成長と合わせて、投資家に対するアピールポイントとなる。株価は目先調整を入れたが、国策関連としてのテーマ性もあり絶好の買い場を提供。75日移動平均線をサポートラインに早晩切り返し、中期的には昨年2月の昨年来高値水準を通過点に2000円台での活躍も可能。

◎朝日工業社 <1975> [東証P] 【配当利回り5.65%】

 朝日工は民間向けを主力に空調工事や衛生工事を行う。食品関連のほか、高い技術力を要する半導体工場のクリーンルームやデータセンター案件などで高実績を誇る。また、メーカー機能も有し、設備工事で培ってきた技術を横軸展開して半導体製造装置向け精密環境制御装置などの開発設計及び製造を手掛けている。25年3月期営業利益予想は期初見通しが36億円だったが期中2度にわたる上方修正を行い、直近2月6日には前期比40%増の64億円予想まで大幅に増額された。採算改善に向けた取り組みが奏功していることに加え、機器製造部門は受注高が急増しており、増収効果で損益も急改善している。加えて、5.7%前後の高配当利回りは魅力的といえ、PERも9倍強と割安感が強く株価2000円未満は安値買いのチャンスとなる。今年1月6日に上場来高値2370円をつけた後は調整局面に移行したが、目先売り一巡から反騰の機をうかがう。株式需給面でも信用買い残がピーク時から大分整理が進んでおり、波動転換すれば上値も軽そうだ。

◎大日精化工業 <4116> [東証P] 【配当利回り5.10%】

 大日精は着色に用いる顔料メーカー最大手だが、顔料処理技術のほか分散加工や樹脂合成といった技術にも長じ、色彩科学の総合メーカーとして業界をリードする。自動車向けコンパウンドなどが回復色を示し、インクジェット向け顔料も好調に推移している。25年3月期は前期に続いて利益の伸びが顕著となる見込みで、営業利益は期中2回にわたる増額修正を経て前期比52%増の69億円を予想している。また、26年3月期についても自動車向けが牽引して営業2ケタ増益が有力視される。配当や自社株買いに積極的な姿勢をみせていることもポイントで、昨年5月には27年3月期を最終年度とする新中期経営計画期間中の株主還元方針について、総還元性向40~50%もしくは1株当たり年間配当金の下限を100円とする配当を実施することを発表している。株価は2月中旬以降に急動意をみせ、2月17日に3180円の直近高値をつけた後はひと押し入れているが、陽線が多く継続的な実需買いの流入を暗示する。中勢3000円台後半を指向する強調展開へ。

株探ニュース

オンラインで簡単。
まずは無料で口座開設

松井証券ならオンラインで申し込みが完結します。
署名・捺印・書類の郵送は不要です。