【日本株急落】海外勢はショート構築、米景気「悲観スイッチ」で米金利低下どこまで?

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 28日の日経平均株価は前日比1100円安と今年最大の下げ幅となった。好決算を発表しながらもエヌビディア<NVDA>が急落し、AIバブルの崩壊リスクが意識されるなかで、トランプ米大統領が関税発動方針を打ち出して投資家心理を下向かせた。更に、1月までは米景気に対する楽観ムードが支配的だったものの、2月の経済指標を受けて関税発動が米国景気を減速させるという見方が一気に強まっている。関税発動が「インフレ=米金利上昇」ではなく、「景気減速=米金利低下」に市場参加者の受け止めが変化した結果、円高進行と日本株安を見込んだ海外勢のポジションが膨らみつつある。

 東京証券取引所と大阪取引所のデータによると、海外投資家は今年に入り日本株を現物・先物合計で2月第3週までに約2兆900億円売り越した。先物(日経225ラージ・ミニとTOPIXラージ・ミニ)に限ると、年始からの売り越し額は約2兆1800億円に上る。この間、米国ではトランプ氏が大統領に就任し、世界は「タリフマン(関税男)」の言動に振り回されることとなった。

 米景気への強気な見方を急変させたのが2月21日発表の米国のサービス業PMIだ。好不況の節目の50を約2年ぶりに下回り、米景気の先行き懸念を強める結果となった。米長期金利は1月中旬の4.8%台から足もとでは4.2%台まで低下している。そもそも卵価格が1ダース(12個)で日本円にして1000円を超え、30年の住宅ローンの金利が7%台に上る米国である。関税の発動で今以上にインフレが進めば、景気の腰折れが警戒されるのは当然のことだ。ただし、既視感は否めない。昨年8月の世界同時株安の局面で、今回と同じように米景気の減速懸念が強まった後、堅調な経済指標を受けて次第に景気の底堅さが意識されるようになったことは、多くの投資家の記憶にとどまっている。「悲観」と「楽観」の両極端で揺れる投資家心理には、AI時代ゆえの力学が働いているといえるかもしれない。

 一般に米景気の減速は日本企業全体でみて業績を圧迫する要因となる。更に、景気減速懸念を背景に米長期金利の低下が続けば、円高圧力を伴って日本株に下押し圧力を掛けることとなる。海外のショート筋の読み通りに物事は進むのか。三菱UFJアセットマネジメントの石金淳チーフファンドマネジャーは米国経済について、実質所得が増加している限りは大崩れすることは見込めないとしつつも、米長期金利の水準について「米国経済の実態として4%以上を保てるレベルの強さはなく、3.6%程度までの低下はあり得る」との見方を示す。

 米長期金利が3.6%台まで低下した際は昨年9月以来の水準となる。当時のドル円相場と日経平均を振り返ると、為替は同月半ばの1ドル=139円台半ばを底値にドル高・円安トレンドに移行し、日経平均の終値は1日だけ3万6000円を割り込んだ後、戻り歩調となっている。3万6000円は一つの下値のメドとして位置づけられることとなるだろう。

 更に、日経平均を東証株価指数(TOPIX)で割ったNT倍率が一時13.80倍まで低下し、23年11月以来の低水準をつけている点も、示唆に富む。半導体などハイテク株の下落が日経平均のパフォーマンスを低下させているのがNT倍率低下の主因だ。この先米ナスダック総合株価指数の調整が一服し、底入れの兆しがみられた場合は、日本の半導体関連株への買い戻し圧力が強まるシナリオが見込まれる。ただし、高バリュエーションの銘柄からバリュー株に資金がシフトするトレンドが継続するのであれば、一時的な上昇にとどまる可能性も否定できない。

 28日の東証プライム市場での値上がり数は全体の19%と、全面安商状とは言えず、味の素<2802.T>やアサヒグループホールディングス<2502.T>といった食品株や、大阪ガス<9532.T>など公益株が買われるなどディフェンシブ色の強い物色傾向がみられた。円高バイアスが意識されるなかで、「外部環境に左右されにくい内需割安株への物色意欲が高い状況が続きそうだ」(中堅証券ストラテジスト)との声がある。国内では賃上げ機運の高まりを背景に、小売・サービスセクターの好業績銘柄への関心も高まっており、外部環境が不透明ななかで、当面はこれらのセクターが消去法的に選好されることとなりそうだ。(長田善行)

出所:MINKABU PRESS

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