内需系ディフェンシブで抜群の安心感、「家賃保証」関連株に春風吹く <株探トップ特集>
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―業界最大手企業は“ジャングリア銘柄”、大手金融機関グループとの提携発表し直近急騰― トランプ米政権による追加関税への警戒感から輸出株に手掛けづらさが意識されるなか、この影響を相対的に受けにくい内需セクターが目先注目だ。今月半ばで決算発表シーズンが一段落したこともあり、同セクターの中から直近で好決算を発表した銘柄を中心に探していくのが良いだろう。銘柄選別を進めると、そうした銘柄が多く属する内需系テーマがさまざま見つかるが、今回その一つとして「家賃債務保証(賃貸保証)」を取り上げてみたい。この時期、新年度からの進学・就職に向けて転居する人も多いと思われるが、新たな転居先を決めた際、賃貸契約とともに家賃保証会社との契約を求められたことがあるのではないだろうか。 ●法改正も追い風 家賃保証最大手の全保連 <5845> [東証S]は今月14日、三菱UFJ傘下の三菱UFJ銀行、三菱UFJニコスの2社と資本・業務提携すると発表した。三菱UFJ銀行の取引先やネットワークを紹介してもらうとともに、自社の家賃保証サービスの利用者に向けて三菱UFJ銀行の口座開設やニコスが発行するクレジットカードの利用を働き掛けるなど連携を図る。これに伴い、ニコスがTOBや株式譲渡を通じて全保連株の過半数を取得し、連結子会社化する。上場は維持される見通しだ。 この発表を受け、全保連株はストップ高を交え急騰。ジャングリア効果を背景につけた直近高値(1月29日の800円)を一気に上抜け、短期間で提携発表前の水準から1.3倍近い976円まで上昇した。全保連は本社を構える沖縄で開業予定の大型テーマパーク「ジャングリア」の運営会社へ出資した実績があり、同テーマパークの話題を巡って思惑買いを集め株価を動意させることがある。直近高値をつけた前日(1月28日)にはジャングリア運営会社が開業予定日を7月25日に決定したと発表し、大きな話題となった経緯がある。業績面では25年3月期に売上高、営業利益とも連続での過去最高更新見込みと申し分ない。配当は年30円で、足もとの利回りは株価が高値圏にありながら3%台もある。 家賃保証とは、賃貸物件の入居者が家賃を滞納した際にその家賃を保証することを意味する。従来は入居者が連帯保証人を立てることで担保するのが一般的だったが、少子高齢化や核家族化が進む社会的背景の中で、近年では連帯保証人に代わってその役割を請け負う家賃保証会社を利用するケースが増えている。保証会社は家賃を滞納した入居者に対して請求・回収を行い、物件オーナーに対しては家賃の立て替えなどを行う。制度面での追い風もあり、2020年施行の民法改正で個人が連帯保証人になる場合のルールが変更されたことに伴い、保証会社の利用拡大は今後も続いていくとみられている。 ●最高益・増配予想のジェイリース、イントラストなど 家賃保証会社は定期的に保証料を得るストック型ビジネスということもあり、景気変動に左右されにくいディフェンシブ的要素を持った内需株と言える。 ジェイリース <7187> [東証P]は業界大手の一角。家賃保証を主軸に、入院患者の医療費未払いに対応した医療機関向けの医療費保証、ひとり親をサポートする養育費保証なども提供している。住居用の家賃保証が堅調に推移するとともに、コロナ禍で企業のリスク意識が変化するなか事業用家賃保証の需要が増加。更に前述の民法改正の追い風もあり、業績はここ数年成長トレンドを突き進んでいる。25年3月期も売上高、営業利益ともに過去最高を更新し、配当も連続での実質増配を計画している。 イントラスト <7191> [東証S]は総合保証サービス会社。ジェイリースと同じく家賃保証を柱に他分野にも展開し、医療費保証と介護費保証を成長分野に位置づけ注力している。業績も最高益路線をまい進中だ。24年3月期の連結営業利益は新規契約数の増加やM&A効果により、前の期(単独決算)と比べ3割近い増益を達成。続く25年3月期も前期比12%増の23億2000万円を予想している。第3四半期までの進捗率は7割強と順調だ。配当も増配基調をたどり、今期は前期比7円増の25円を見込む。 ニッポンインシュア <5843> [東証S]は23年に東証スタンダード市場に新規上場した家賃保証会社。福岡に本社を構え、東京、大阪、名古屋といった主要都市を中心にビジネスエリアを広げ事業成長を図っている。同社は過去に不動産管理会社としての経歴があり、その際に築き上げた関係値を活用し、現事業において管理会社向けに保証サービスを提供できる点が強み。業績はもちろん好調で、25年9月期も連続営業最高益で増配も計画。株価は好業績見通しを背景に上値指向を強めている。 これら以外の関連銘柄ではCasa <7196> [東証S]、あんしん保証 <7183> [東証S]が挙げられる。このほか、家賃保証サービス「sumai保証」を手掛けるスマサポ <9342> [東証G]、トランクルーム向けの賃料債務保証を提供するパルマ <3461> [東証G]がある。 また、大手の不動産会社や金融機関で保証サービスを取り扱っているところもある。クレディセゾン <8253> [東証P]、ジャックス <8584> [東証P]のほか、大東建託 <1878> [東証P]子会社のハウスリーブ、東京建物 <8804> [東証P]グループの日本レンタル保証、SBIホールディングス <8473> [東証P]傘下のSBIギャランティ、オリエントコーポレーション <8585> [東証P]傘下のオリコフォレントインシュアなどだ。 株探ニュース