明日の株式相場に向けて=エヌビディア決算前夜、土俵際の東京市場
明日の株式相場に向けて=エヌビディア決算前夜、土俵際の東京市場
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きょう(26日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比95円安の3万8142円と続落。前日の大幅安を引き継ぎ、あっという間にフシ目の3万8000円台を割り込む展開となったが、その後は下げ渋った。空売り筋の手仕舞い(買い戻し)が反映されたとみられ、100円未満の下げでとどまったのは望外といえる。 昨年9月下旬から約5カ月続く3万8000~4万円のボックス圏往来も煮詰まり限界で、最近はもみ合い放れの機が熟しているという見方が日増しに強まっていた。上下どちらに放れるかが問題で、少なくとも足もとではボックス下限をブレークすることへの警戒感が強い。きょうは一時600円近い下落をみせ、前日との合計で下げ幅は1000円超に達したが、3万8000円割れはイレギュラーとみなした買いが入るのが直近までのボックス相場の約束事であり、今回もそのパターンを踏襲した。テクニカル的にもリバウンド期待が醸成されていた。日経平均がボリンジャーバンドでマイナス2σ(シグマ)を下回ったところで投資マネーが我に返り、セオリー通り押し目買いやショートカバーを誘発した格好だ。相場は下げ始めると後から悲観論が追い打ちをかけてくるのが常である。今回もそのパターンでネガティブ材料のオンパレードではあったが、そのプロセスで空売りも雪だるま式に増えていく。常識的には懸念材料に反応して売りが出るのが道理だが、得てして売り仕掛けが入った後に、恣意的にネガティブな論調が蔓延するケースが多いのも事実だ。 しかし、それでも今回はレンジ相場を下にブレークする可能性を否定し得ない環境にある。きょうはかろうじて徳俵で踏みとどまったが、依然として土俵際に置かれたような状態だ。米国ではハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数の下げがここにきて否が応でも目立っているが、今の東京市場における株価の値動きはナスダック市場の動向と一蓮托生とは言わないまでもかなりシンクロ性が高い。もっと言えば、AI用半導体の象徴株であるエヌビディア<NVDA>の株価次第で日米の相場の流れが左右され、とりわけ同社の決算発表期が近づくと、にわかにマーケットの視線が釘付けとなる。 日本時間あす午前6時過ぎに開示されるエヌビディア決算は東京市場における半導体主力株すべてをも巻き込む「決算プレー」の特大バージョンといってよい。今回もエヌビディアの決算自体は絶好調が予想されるのだが、市場コンセンサスという魔物を黙らせることができるかどうかが焦点だ。発表された決算数字は素晴らしくても過去の軌跡であることには相違なく、それだけでは株価の上昇は担保されない。次世代製品ブラックウェルの近未来が評価の主軸となる。また、「エヌビディアはボラの極めて高いレバレッジ型ETFの対象となっており、下値リスクを逆用しようとするニーズもある」(ネット証券アナリスト)と指摘されており、本当の敵はこの株式需給面に潜んでいるといえるかもしれない。 もう一つ、米株市場のアキレス腱としてビットコインを取り巻く環境もキナ臭さが漂う。米国ではトランプラリーという言葉に象徴されるように、トランプ大統領の再選はリスクアセットの価格上昇につながるというコンセンサスがあった。株式市場はもちろんのこと、暗号資産も同様であり、特にトランプ米政権が諸手を挙げて政策的支援の構えを打ち出したことは強力なポイントとなった。実際、トランプ大統領再選の可能性が高まったあたりからビットコイン価格の高騰が話題となってきた。 だが、個別企業の株価の集大成である株式市場においては、個々の企業の収益性や成長モデルが株価に投影されるのに対し、ビットコインには実態がない。規制緩和という追い風があっても価値が高まり続ける根拠にはならない。ある意味これはトランプ政権に対する信頼や期待が拠りどころとなっているが、上昇分の大半は「買うから上がる・上がるから買う」というバブル特有の連鎖メカニズムが働いたものだ。いったん歯車が逆回転を始めると、これはなかなか止まらなくなる。そして、暗号資産はバイビットの巨額ハッキング被害を契機にその逆回転が始まった可能性がある。株式市場への影響も無視できない。 あすのスケジュールでは、2年物国債の入札、1月の建機出荷など。海外では、週間の米新規失業保険申請件数、10~12月期の米実質国内総生産(GDP)改定値、1月の米耐久財受注額、1月の米仮契約住宅販売指数など。このほか、バーFRB副議長やボウマンFRB理事の講演が行われる予定にあり、その内容が注目される。(銀) 出所:MINKABU PRESS