三井郁男氏【迫るエヌビディア決算、日本株の方向性は?】 <相場観特集>

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コラム

―米国景気や関税強化策など懸念材料も、不透明な投資環境での注目点を整理―

 25日の日経平均株価の下げ幅は一時650円に迫ったものの、3万8000円の大台割れは回避した。トランプ米政権の関税強化策を巡る警戒感がくすぶるなか、日本時間27日早朝にはエヌビディアの決算発表を控えており、同社株の反応に対する投資家の関心が日増しに強まっている。市場参加者はこの先の日本株に対しどのような展望を描くのか。アイザワ証券・投資顧問部ファンドマネージャーの三井郁男氏に話を聞いた。

●「海外勢による売りはピークアウトの公算」

三井郁男氏(アイザワ証券 投資顧問部 ファンドマネージャー)

 中国の生成AI「ディープシーク」が話題となったこともあり、決算発表後のエヌビディア株がどのような反応を示すのか、警戒する向きもある。ただしAI半導体の需要が拡大するとの大きな流れ自体には変化はないだろう。グローバルでみると、ウクライナの和平と、これに伴うインフレの沈静化を織り込む形で、マネーは欧州株に向かうこととなった。米国の関税政策や米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策の行方などの外部環境の不透明要因が横たわるなか、日本国内では日銀による利上げ観測が広がり、国内の政策要因で円高バイアスがかかりやすくなっている。

 とはいえ、海外投資家が日本株に対し、ポジションを今以上にアンダーウェートとすることは見込みにくい。今年の春闘を通じて昨年と同様に賃上げが実現することになれば、日本経済全体にはプラス効果をもたらすこととなる。日本の上場企業の利益創出力も回復し、来期の企業業績についても増益となる公算が大きい。資本効率に関する企業側の意識も高まっており、活発な自社株買いは引き続き需給面で日本株を下支えするだろう。海外勢による日本株の売り圧力は、ピークアウトに向かうと予想している。

 世界的なインフレの契機となったウクライナ戦争が終結に向かえば、欧州だけでなく日本国内でも輸入インフレが抑制される可能性が高まっていく。中立金利の水準と利上げ余地を巡る市場の観測とは別に、地政学要因でインフレ圧力が弱まり、「連続利上げ」に日銀が消極的な姿勢を示すこととなるとの期待が高まれば、日本株にはポジティブだ。多くの投資家がメガバンクをオーバーウェートとした一方、日本の不動産株は割安感を強めている。不動産大手は構造的に金利上昇が収益環境に大きなダメージをもたらす形にはなっておらず、都心オフィス空室率が低水準かつ賃料の引き上げ効果が見込める状況で、利上げ機運が和らげば、投資家の物色意欲が強まることとなるに違いない。

 電子部品の在庫調整の一巡と AI関連での需要拡大が期待できる村田製作所 <6981> [東証P]やTDK <6762> [東証P]に加え、車載半導体の回復とAI関連の恩恵が見込めるルネサスエレクトロニクス <6723> [東証P]にも投資家の注目が集まりそうだ。稼ぐ力を持つ銘柄という文脈では、日立製作所 <6501> [東証P]やソニーグループ <6758> [東証P]といった電機大手、NEC <6701> [東証P]や富士通 <6702> [東証P]、NTTデータグループ <9613> [東証P]などDX関連、ラクス <3923> [東証P]やサイバーエージェント <4751> [東証P]なども投資対象の候補となるとみている。この先1ヵ月間の日経平均は3万7500円をボトムとし、上値は4万円近くと想定している。

(聞き手・長田善行)

<プロフィール>(みつい・いくお)
1984年からファンドマネージャーとして日本株運用を40年近く続ける。国内銀行投資顧問、英国の投資顧問会社、国内大手信託銀行を経て、投資顧問会社を設立。2013年からアイザワ証券の投資顧問部で日本株ファンドマネージャー。自ら企業調査するボトムアップ運用を続けている。


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