【植木靖男の相場展望】 ─国難に政府の打つ手は?

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コラム

「国難に政府の打つ手は?」

●2月最終週の値動きは注意を要する

 東京市場はここへきて先行き懸念を示すような展開をみせ始めた。すなわち、日経平均株価の4万円大台奪取は難しくなってきた感がする。

 日経平均株価は2月20日に大きな窓を空けて急落したが、こうした下げの際には翌日が大事となる。翌21日は下げて始まったものの反発に転じ、98円高で終えた。これによりもう一度高値に向かう可能性が残った。

 チャート的には2024年9月下旬以降、日経平均株価は上下2000円という狭い範囲の中で上下動を繰り返してきた。それも5カ月が過ぎようとしている。経験則ではそろそろもみ合いも限界である。さらに、1月24日高値4万0279円、1月17日安値3万8055円を始点とする短期の三角保ち合いを2月20日の急落で下放れている。以上から、2月最終週の値動きには注意が必要だ。

 一方、これを理屈でみるとどうか。ここへきて二つの視点が注目される。

 一つは、国内10年物国債利回りの急上昇だ。24年12月に1.40%であった利回りが、わずか1カ月強で1.45%へと上げた。このため、農林中金はもとより地銀、生保は保有する国債の評価損が大きく膨らんだとされる。市場では早くも1.5%が意識されているという。こうなると、債券保有者はわれ先にと市場から逃げ出すのが常道だ。地銀、生保はこの損失を消すために株式を売ってくるリスクがある。

 もう一つは、トランプ米大統領の高関税政策だ。輸入する自動車に25%の関税を課すとされている。わが国の主力輸出品が自動車であることからすれば、これが実施されれば景気への影響は計り知れず、株価への影響も無視できない。

 この2点は、日本経済にとって大げさに言えば国難といえるかもしれない。

 2~3月の株価にとって気になるところだ。もっとも国難であれば、政府が対応策を考えるのは当然といえよう。前回の平成バブル時には決算の弾力化方針が打たれ、相場は様変わりに好転したことを想起する。期待したい。

●3月の安値は天与の買い場か?

 こうした情勢下では、仮にここで戻りがあっても4万円奪取の道のりは厳しいかもしれない。ただ、歴史的にみれば厳しいときこそ、株価はそのあと大きく上昇に転じているのだ。相場は基本、上げれば下がり、下がれば上がる。おそらく今回もそうだろう。3月の安値は天与の買い場となるのではないか。

 さて、当面の物色はどうみればよいのか。第3四半期の決算発表も終わり、銘柄の選択は難しくなってきた。とはいえ、これまで大きく上昇していない銘柄で、業績つまり本決算の見通しが良好なものが選別されるのは定石だ。

 この週末には化学株が賑わった。久しぶりに内需の一角が軒並み高となった。業種別の値上がりトップは医薬品だ。化学株もそうだが、これまで相場がなかった典型的な業種だ。当面はこうした内需株の一角が日によって買われる新たな展開がみられそうだ。

 以上を踏まえて、今回は化学株の中から日本酸素ホールディングス <4091> [東証P]、三井化学 <4183> [東証P]、UBE <4208> [東証P]、花王 <4452> [東証P]などに注目したい。

 また、東京ガス <9531> [東証P]や住友不動産 <8830> [東証P]、東宝 <9602> [東証P]といった含み資産株の一角が出直り始めた。安値は拾っておきたい銘柄だ。

 さらに、金融株では大手すなわち三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> [東証P]、三井住友フィナンシャルグループ <8316> [東証P]、みずほフィナンシャルグループ <8411> [東証P]などは下げれば買いであろう。

2025年2月21日 記

株探ニュース

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