「衛星コンステレーション」で変わる世界、7機体制構築で株高点火! <株探トップ特集>

投稿:

コラム

―通信や測位など各種用途に活用、安全保障上でも重要な位置付け―

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2日午後、種子島宇宙センターからH3ロケット5号機による「みちびき6号機」の打ち上げを行った。「みちびき6号機」は日本の準天頂衛星システムの一部として、現在運用中の4機とあわせて国内外に正しい位置・時刻の情報を提供していく予定。来年度には別の2機(みちびき5号機、7号機)を打ち上げる計画であり、これによって他国の測位衛星に頼らず、みちびきのみで測位が可能となる「7機体制」が実現することになる。そこで今回は複数の 人工衛星を連携させて一体的に運用する「衛星コンステレーション」の関連銘柄にスポットを当てた。

●防衛予算案に費用計上

 衛星コンステレーションは、通信の遅延時間が短い中・低軌道を周回する非静止衛星を用いるため、世界全域を対象として緊急時・平時を問わず、陸上・海上・航空機上で、高速大容量通信など多様なサービスの提供が可能になる。例えば、モバイル通信の分野では従来の地上基盤と比べてより広域で一貫したサービスを提供することができるほか、遠隔医療やIoT(モノのインターネット)、農業用リモートセンシングなど、さまざまな用途での活用が期待される。

 加えて、衛星コンステレーションの構築は安全保障上でも重要な意味を持つ。防衛省ではスタンド・オフ防衛能力(侵攻する相手方の艦艇などに対して、脅威圏外の離れた位置から対処することで、外部からの攻撃を効果的に阻止する能力)において、目標となる艦艇や地上部隊などを探知、追尾するための「目」として機能させることを想定している。政府が昨年12月27日に閣議決定した2025年度の防衛予算案(米軍再編経費など含む)は過去最大の8兆7005億円となり、うち衛星コンステレーションの構築に2832億円が計上されている。

 政府は昨年12月24日に決定した宇宙基本計画の新たな工程表で、目標の探知・追尾能力の獲得を目的とした衛星コンステレーションを27年度までに構築することを明記した。石破茂首相は「宇宙分野は、安全保障、防災、自動運転など、産業や国民の生活に恩恵を与えるものであり、熾烈な国際競争に後れをとってはならない」と述べ、ロケットの打ち上げ能力について年間30件程度の確保を目指して官民の開発を進める意向を示している。

●企業の取り組み相次ぐ

 スカパーJSATホールディングス <9412> [東証P]は5日、米プラネット・ラボが開発する次世代光学観測衛星「Pelican」を採用した低軌道衛星コンステレーション構築に向けて協業を開始すると発表した。同社はこれまで自社保有する静止軌道の衛星を利用した事業を中心に展開してきたが、衛星コンステレーションを自社で構築・保有し、地球観測衛星事業に本格的に参入する計画。両社のシナジーを最大化し、宇宙事業の更なる発展を目指す構えだ。

 QPS研究所 <5595> [東証G]は、SAR(Synthetic Aperture Radar:人工衛星や航空機などに搭載したアンテナから電波を地表に向けて照射し、地表からの反射波を捉えることで、地表の形状や性質についての画像情報を取得する手法)衛星を地球低軌道に展開する地球観測衛星コンステレーションの構築と運用を目指している。5日には米ロケット・ラボと小型SAR衛星「QPS-SAR」4機分の打ち上げに関して契約を締結したと発表。なお、4機連続でロケット・ラボによって打ち上げられるのではなく、個別の打ち上げスケジュールについては改めて公表するという。

 Synspective <290A> [東証G]は、独自の小型SAR衛星を開発・運用し、SARデータの販売と衛星データを利用した解析ソリューションを提供。20年代後半までに30機の小型SAR衛星コンステレーションを構築し、地球上のあらゆる場所の変化を観測できる新しいインフラの創造を目指している。4日には同社が提案した「南アフリカ共和国・ブラジル連邦共和国・チリ共和国・ペルー共和国・アンゴラ共和国/SAR衛星を利用した鉱業運営に効果的なモニタリング実証事業」が、経済産業省の23年度補正「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金」に採択され、今月からプロジェクトが本格始動したことを明らかにしている。

 スパークス・グループ <8739> [東証P]は4日、昨年3月に設立された「宇宙フロンティア2号ファンド」が、アークエッジ・スペース(東京都江東区)に投資(金額は非開示)したと発表。アークエッジ・スペースは今回の調達資金を活用し、国内外の政府機関や民間事業者を対象とした各種プロジェクトの衛星開発と事業実証及び多波長リモートセンシングなどに対応可能な商業衛星コンステレーションの構築を進める予定だ。

 セーレン <3569> [東証P]は超小型人工衛星プラットフォーム事業者が目指す衛星コンステレーション計画の加速的実現につなげるため、「CubeSAT(キューブサット)」と呼ばれる超小型人工衛星の開発に取り組んでいる。1月15日には福井テレビジョン放送(福井市問屋町)、福井大学、福井工業大学と共同開発したキューブサット「FUSION-1(フュージョンワン)」が打ち上げられ、同月28日には4つ搭載されているメインカメラのうちWanCam(広域動画カメラ)で初画像の取得に成功。引き続き、残り3つのカメラの動作確認を行うとともに、正式な無線免許取得後、地上局で受信する衛星データ利用の実証実験を開始する予定だとしている。

●デブリ対策関連にも注目

 このほかの関連銘柄としては、小型衛星のワンストップサービス「AxelLiner」や地球観測プラットフォーム「AxelGlobe」を提供するアクセルスペースホールディングス(東京都中央区)に出資する日揮ホールディングス <1963> [東証P]、Synsに出資している三菱電機 <6503> [東証P]、宇宙における光通信システムの普及に取り組むNEC <6701> [東証P]など。

 また、衛星コンステレーションの構築には宇宙空間の利用を妨げるデブリ(宇宙ゴミ)対策が欠かせない。アストロスケールホールディングス <186A> [東証G]は11日、英国宇宙庁(UKSA)が主導する英国デブリ除去ミッションのソリューションである「COSMIC(コズミック)」の開発において、現在の契約フェーズの中間レビューを達成したと発表。川崎重工業 <7012> [東証P]は昨年3月に、自社開発したデブリ捕獲システム超小型実証衛星「DRUMS」の軌道上運用において、仮想デブリを自律的に追尾・接近、捕獲機構を伸展する技術実証に成功している。

株探ニュース

オンラインで簡単。
まずは無料で口座開設

松井証券ならオンラインで申し込みが完結します。
署名・捺印・書類の郵送は不要です。