笹木和弘氏【決算発表シーズン通過、ここからの展望と戦略は】(2) <相場観特集>

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コラム

―3月期末に向け相場はもみ合い離脱局面に移行できるか―

 17日の東京株式市場は、方向感の見えにくい地合いで日経平均株価は前週末終値を挟みプラス圏とマイナス圏を往来する展開となった。前週末の米国株市場ではNYダウが反落したものの、米長期金利低下を背景にハイテク株の一角が強く、ナスダック総合株価指数は3日続伸となった。トランプ米政権が打ち出す関税強化の動きがインフレ圧力の再燃につながるとの見方もあり、これは東京市場でも警戒材料となっているが、日経平均はもみ合いを上放れることができるのか。企業の決算発表が概ね終了したことで、改めてマクロ面から今後の相場に関心が向くなか、東洋証券の大塚竜太氏とフィリップ証券の笹木和弘氏にそれぞれ話を聞いた。

●「米国市場は高値圏で横ばいも、トランプ関税で4月以降に景気悪化懸念」

笹木和弘氏(フィリップ証券 リサーチ部長)

 NYダウやナスダック指数は最高値圏にあるが、米国市場が堅調に推移している背景には、ドイツのDAX指数が最高値を更新したように欧州要因が下支えしている側面が大きいと思う。

 ウクライナ戦争の終結に向けた復興需要への期待やロシア産原油の市場への供給増をにらんだエネルギー価格低下観測が世界の株式市場を押し上げている。特に、欧州市場への影響が大きいが、ドイツは23日の総選挙後には財政支出拡大に転じることもあり得るだけに、これが欧州経済のプラス要因となることも見込める。

 米国ではインフレが警戒されているが、原油などエネルギー価格の低下が期待されているほか、イーロン・マスク氏率いる米政府効率化省(DOGE)がドラスチックな経費削減を進めていることなども評価されているだろう。米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ観測は後退しているが、インフレが警戒されるなか利下げ思惑で株価が上昇する局面ではないと思う。

 こうしたなか、3月末頃までのNYダウは4万2000~4万5000ドル前後のレンジ相場を見込んでいる。ナスダック指数も1万8000~2万500前後の横ばい圏を予想する。ただ、4月以降はトランプ政権が推し進める関税引き上げの影響が出てくることが予想され、景気や企業業績の悪化も考えられるなか米国市場は調整入りもあり得るだろう。

 個別銘柄は、「DeepSeekショック」後の生成AI(人工知能)相場を牽引する銘柄としてビッグデータ分析関連でパランティア・テクノロジーズやIBM、ディフェンシブ関連でメルク、事業の「スピンオフ(分離・独立)」を進めるハネウェルなどに注目している。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(ささき・かずひろ)
証券会社にて、営業、トレーディング業務、海外市場に直結した先物取引や外国株取引のシステム開発・運営などに従事。その後は個人投資家の傍ら投資セミナー講師として活躍。2019年1月にフィリップ証券入社後は、米国・アセアン・香港・日本市場にまたがり、ストラテジーからマクロ経済、個別銘柄、コモディティまで多岐にわたる分野でのレポート執筆などに精力的に従事。


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