大塚竜太氏【決算発表シーズン通過、ここからの展望と戦略は】(1) <相場観特集>

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コラム

―3月期末に向け相場はもみ合い離脱局面に移行できるか―

 17日の東京株式市場は、方向感の見えにくい地合いで日経平均株価は前週末終値を挟みプラス圏とマイナス圏を往来する展開となった。前週末の米国株市場ではNYダウが反落したものの、米長期金利低下を背景にハイテク株の一角が強く、ナスダック総合株価指数は3日続伸となった。トランプ米政権が打ち出す関税強化の動きがインフレ圧力の再燃につながるとの見方もあり、これは東京市場でも警戒材料となっているが、日経平均はもみ合いを上放れることができるのか。企業の決算発表が概ね終了したことで、改めてマクロ面から今後の相場に関心が向くなか、東洋証券の大塚竜太氏とフィリップ証券の笹木和弘氏にそれぞれ話を聞いた。

●「レンジ相場からの本格離脱には時間を要す」

大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)

 東京市場は引き続き上下にどちらに振れるか方向感が見えない地合いが続いている。米国株市場でも1月下旬以降、NYダウはボックス圏でのもみ合いが続いており、前週末にダウは反落したが、4万4000ドル台半ばで強弱観を対立させている状況だ。この日発表された1月の米小売売上高は前月比0.9%減と事前コンセンサスを大きく下回る結果となったのだが、これはカリフォルニア州の山火事の影響なども考慮され、特にネガティブ材料とはならなかった。一方で米長期金利が低下したことで、ハイテク株は強い動きをみせナスダック総合株価指数の値動きに反映された。

 国内企業の決算発表が前週末でおおむね終了したが、総括して好調だったといってよいと思われる。足もと外国為替市場での円高進行が気にはなるが、円高イコール企業業績にマイナスという短絡的な見方は必ずしも的を射たものではない。内需系の銘柄にはコスト低減効果をもたらし、ポジティブに作用するケースも少なくない。トランプ米政権が打ち出す相互関税などの影響は日本にも及ぶが、現状は不透明感が強いものの、それだけに過度に不安視すると相場の先行きを読み誤ることにもなる。ただ、レンジ相場から抜け出すにはまだしばらく時間を要する公算が大きく、3月期末に向けては、引き続きボックス圏から大きく離脱するような値動きは見込みにくいのではないか。レンジとしては3万8000~4万1000円の3000円幅の上下動を予想する。

 物色対象としては国内でもインフレ圧力が意識されるなか、日銀が利上げに前向きになっていることを考慮して、引き続き三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> [東証P]、三井住友フィナンシャルグループ <8316> [東証P]などメガバンクをマークしたい。一方、金利上昇局面であっても不動産セクターはインバウンド特需を取り込んで強さを発揮する銘柄も少なくなく、ヒューリック <3003> [東証P]などはその典型として引き続き目を配っておきたい。更に今後の投資テーマとしてはIP(知的財産権)関連株は外せず、任天堂 <7974> [東証P]、サンリオ <8136> [東証P]などは継続注目したい。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(おおつか・りゅうた)
1986年岡三証券に入社(株式部)。88~98年日本投信で株式ファンドマネージャーを務める。2000年から東洋証券に入社し現在に至る。


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