【杉村富生の短期相場観測】 ─アクティビストが狙う銘柄!傾向と対策!
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「アクティビストが狙う銘柄!傾向と対策!」 ●ヘッジファンドの「再帰性理論」とは? 相場解析、銘柄発掘に際し、多くの投資家、アナリスト、ファンドマネージャーが知ってか、知らずか、使っている「効率的市場仮説」では「株価は正しい」とか、「あらゆる情報は一瞬にして株価に反映される」とする。 要するに、「マーケットは効率的」ということだ。筆者は「異常は必ず修正される」と教えられてきた。まあ、はずれてはいない。ただ、最近は「ちょっと違うな」と感じていたのは確かである。 これに対し、ヘッジファンドの行動指針の主柱とされるジョージ・ソロス氏の「再帰性理論」は異なる。 すなわち、哲学上の可謬(かびゅう→知識についての主張は原理的に誤り得る)学説を採用する。この結果、「マーケットは完全には合理的ではない」とし、「株価は常に、歪みがある」(誤った知識によって、形成されている)、「市場には自己増殖メカニズムが存在する」などの主張につながる。 さらに、この世界では「バブルの発生と崩壊」が起こる。ヘッジファンドはこれを利用する。先のDeep Seekショックが好例だろう。 なにしろ、スコット・ベッセント財務長官は「再帰性理論」を信奉し、ヘッジファンドの“親玉”的な人物だ。ソロス氏の愛弟子である。金融マーケットが影響を受けるのは避けられない。もちろん、トランプ政権はお金持ち集団だけに、「株高歓迎」と思う。 しかし、ヘッジファンドはボラティリティ(株価変動率)の高さに勝機を見出す連中だ。彼らは売って儲け、買って儲ける。2025年は為替、商品市場を含め、値動きが荒っぽいものになろう。だからこそ、トレンド(方向)を読み、本質を見極める投資作戦・戦術が重要になる。 ●株価の歪みを活用する投資戦術! 日本の株式市場では東証改革と連携? アクティビスト(物言う株主)が暗躍している。彼らが狙うのは①キャッシュリッチ企業、②資本効率の悪い(PBR1倍割れ)企業、③持ち合い株数の多い企業、④株価が割安な企業、⑤株価変動率の高い企業、⑥不祥事発生のブラック企業など。 これらの企業に経営改善を求め、価値を高めるとともに、あわよくば経営権奪取を狙う。実際、エクセディ <7278> [東証P]のケースではアイシン <7259> [東証P]が持ち株をすべて売却したタイミングに介入、会社側は対応に追われたではないか。 ダイハツディーゼル <6023> [東証S]はダイハツ工業が持ち株を売却した。持ち合い解消の流れ(要請)を受けたものだが、このところの株価にはキナ臭い動きがみられる。新しい株主としては世界シェア6位の今治造船が登場している。 アクティビストの存在は株価の下支え(割安修正)になる。ダルトン・インベストメント、エフィッシモ・キャピタル・マネジメントの運用資産は激増している。ダルトン・インベストメント系のファンドは生命保険会社が販売、「TOBハンター」などのファンド(証券会社が販売→最低投資単位1000万円)が存在する。 PBR0.33倍、25円配当(利回り5.4%)のツバキ・ナカシマ <6464> [東証P]、PBR0.46倍、10円配当(利回り4.2%)の土屋ホールディングス <1840> [東証S]、PBR0.74倍、30円配当(利回り4.9%)の国際計測器 <7722> [東証S]などはもっと株価を意識した経営が必要だろう。 なにしろ、フジ・メディア・ホールディングス <4676> [東証P]、セブン&アイ・ホールディングス <3382> [東証P]が介入を許す時代である。日本製鉄 <5401> [東証P]だって、「大丈夫」とはいえない。PBR0.63倍のローム <6963> [東証P]、PBR0.58倍の住友化学 <4005> [東証P]は底値圏にある。 PBR0.18倍のウッドワン <7898> [東証S]、PBR0.17倍の東京電力ホールディングス <9501> [東証P]はどうするつもりなのだろうか。買う材料がない、と無視するのは「効率的市場仮説」だが、アクティビスト、ヘッジファンドの「再帰性理論」は違う。 2025年2月14日 記 株探ニュース