トランプ関税に勝つ最強カードを探せ、我が道を行く珠玉の内需株6選 <株探トップ特集>

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コラム

―米国動向に左右されない安心感、有配グロース企業・沖縄銘柄・フィットネス株など―

 第2次トランプ米政権が発足して早くも3週間あまり経過した。世界の金融市場は米国の動向に一喜一憂し、株式・為替とも突発的にボラティリティが高まる場面が散見される。8年前に誕生した第1次政権の時と同じく、いつ飛び出すかわからないトランプ氏の不規則発言に身構え、常に神経質なムードが漂う当時の状況が再び戻ってきた格好だ。投資家心理としては買い安心感のある銘柄を選びたいところで、米国の動向にあまり左右されず、特に同氏の重要政策の一つである関税政策の影響を受けにくい国内向けビジネスを中心とする銘柄群が選択肢となり得る。今回、内需セクターの中から投資妙味のある6銘柄を選抜した。

●輸出株に手掛けづらさ

 トランプ米大統領の政策を巡る懸念が拭えない。トランプ氏は今月1日、かねてから主張していたカナダ、メキシコ、中国の3ヵ国に対する関税の発動を正式に表明した。これを受けて投資家心理が急速に悪化し、週明け3日の東京市場では日経平均株価が前営業日比1000円超安と急落。しかし同日に一転、同氏はカナダとメキシコについては発動時期を1ヵ月延期すると発表。翌日以降の市場はひとまず落ち着きを取り戻したが、とはいえ対中関税は予定通り発動されており、またカナダ、メキシコについても1ヵ月後にどのような展開になるかは流動的だ。その後も鉄鋼・アルミニウム製品への25%の追加関税や貿易相手国と同等の関税をかける「相互関税」を相次ぎ打ち出している。

 米国の通商政策が先行き不透明とあっては、その影響を大きく受ける自動車や半導体などの輸出株は手掛けづらい。半導体関連株には「ディープシーク・ショック」の余波も依然として続いている。為替市場で日銀の更なる追加利上げ観測を背景に円の先高観が意識されていることも重荷だ。こうした相場環境下で物色のターゲットを探すとすれば、輸出などの外需とは反対側に位置する、小売りや外食、サービスといった内需セクターに自然と目が向かう。このセクターには円高は追い風に働きやすい。直近、息を吹き返しているグロース株もこのセクターに属するものが多い。

 また、足もと定着に向けた機運が高まる賃上げの流れも強力な追い風となる。厚生労働省が今月5日に公表した毎月勤労統計によると、2024年の1人当たりの名目賃金は前年比2.9%増と33年ぶりの高い伸び率になった。物価変動を除いた実質賃金は前年比マイナスだったが、月間ベースでは11月、12月と2ヵ月連続で前年同月比プラスになっており、改善の兆しが見えつつある。今年の春闘で昨年までと同様に高水準の賃上げが実現すれば、実質賃金の改善に一段と拍車がかかることだろう。

●最高益・増配銘柄などピックアップ

 プログリット <9560> [東証G]は短期集中型の英語コーチングサービスを提供。東京や大阪など都市部に校舎を展開するほか、オンライン受講にも対応している。新規サービスの開発にも取り組み、ここ数年でリスニング能力を向上させる「シャドテン」やスピーキングに特化した「スピフル」、AI会話アプリ「ディアトーク」を次々リリースしている。業績は増益トレンドを突き進み、25年8月期も3割近い営業増益で最高益を更新する見通し。高成長グロース企業でありながら配当を実施している点はポイント。株価は高進捗が確認された第1四半期決算を受けて200日移動平均線を上抜け、同線が支持線となる形で足もと上値指向の動きを強めつつある。

 コジマ <7513> [東証P]はビックカメラ傘下の家電量販店中堅。関東を中心に全国で140店舗ほどを展開する。直近決算の第1四半期は新製品発売で買い替え需要が喚起された携帯電話と、自治体の省エネ補助金が追い風となったエアコンや冷蔵庫が伸長。高付加価値商品の販売強化にも取り組み、営業利益は前年同期比2.6倍と好スタートを切った。今年はウィンドウズ10のサポート終了が10月に予定されており、買い替え特需の恩恵が今25年8月期から来期にかけて及ぶ可能性がある。5年前のウィンドウズ7サポート終了時には、パソコンや周辺機器が「サポート終了後も継続して買い替えの需要があり、好調に推移」(月次売上速報20年1月)した実績がある。

 ネクステージ <3186> [東証P]は中古車販売大手。半導体不足による新車生産の減少を背景に中古車市場が活況を呈した3年前、時を同じくして同社の業績は営業最高益(22年11月期)を達成したが、それ以降は減益が続いていた。先月発表した25年11月期の業績予想では3期ぶり増益に転じる見通しを示し、ようやく利益改善のタームに入ったもよう。配当は9期連続の増配を見込み株主還元には手厚い。株価は23年半ばに上場来高値(3820円)をつけた後ここ1~2年は下落基調にあったが、昨年12月に1200円台でようやく底打ちした。「半値八掛け二割引」の相場格言通り3分の1程度の水準で下げ止まった格好だ。その後緩やかな上昇基調をたどっている。

 サンエー <2659> [東証P]は沖縄県の小売り大手。スーパーマーケットやローソンとの合弁でコンビニ事業を展開。また、マツモトキヨシやエディオン <2730> [東証P]、「大阪王将」のイートアンド、タリーズコーヒージャパンなどとフランチャイズ契約を結び、各社ブランドの店舗を県内で多数運営している。今年7月に沖縄北部で開業予定の大型テーマパーク「ジャングリア」が話題だが、これにより観光客が一段と増加し、県内経済の押し上げにつながることが期待される。地域密着型の同社には恩恵が及ぶことだろう。業績は最高益トレンドにあり、配当も長期の増配トレンドを継続。株価も上昇基調をたどり3000円台を回復。15年の上場来高値(3260円)が視野に入ってきた。

 丸千代山岡家 <3399> [東証S]は北海道を拠点に「ラーメン山岡家」を全国展開。直営出店と24時間年中無休の営業スタイルに特徴がある。25年1月期第3四半期時点で187店舗を運営。将来的に全都道府県への進出と300店舗体制の構築を目指している。昨年12月に第3四半期決算とあわせて通期業績予想の上方修正を発表。インバウンド需要を追い風に来店客数が伸び、原材料などコスト上昇に対応した価格改定も奏功し、営業利益は前の期比8割近い増益で連続での最高益更新を見込む。株価はこの上方修正を受けて5000円台まで上値を伸ばしたが、程なくして調整局面に。3500円台に位置する200日移動平均線上で踏ん張り、ここから切り返しに転じることができるか注目だ。

 フィットイージー <212A> [東証S]はトレーニングジムにシミュレーションゴルフや個室サウナ、高濃度酸素ルーム、オープンスペース、ランドリーなど、さまざまな設備を取りそろえた「アミューズメントフィットネスクラブ」を運営。東海エリアを中心に店舗を拡大し、19年10月期の31店舗(直営・フランチャイズ合計)から24年10月期には179店舗(同)にまで増加した。業績も成長路線を走り、今25年10月期も売上高、営業利益とも過去最高を更新する見通し。増配も実施する計画だ。昨年7月の上場以降、株価は順調に上昇し、同12月には今期の好調見通しが好感され2118円まで上昇。その後1400円近辺まで急速に調整したが、目先反転の兆しをみせている。

株探ニュース

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