ドル円は152円台半ばに上昇 パウエル証言は予想通りの内容=NY為替概況
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ドル円は152円台半ばに上昇 パウエル証言は予想通りの内容=NY為替概況 きょうのドル円はNY時間に入って買いが優勢となり、152円台半ばに上昇した。ただ、全体的には方向感のない雰囲気に変化はない。本日はパウエルFRB議長の議会証言が行われたが、「金利調整を急ぐ必要ない」と改めて表明した。予想通りの内容ではあったが、ドル自体は下落した。ただ、明日の米消費者物価指数(CPI)の発表前に円安がさらに進み、ドル円は上昇した格好。 関税のニュースは続いており、トランプ大統領が前日にアルミと鉄鋼への関税を発表。新しい税率は米東部時間3月12日午前0時1分に発効され、基本的に、例外なく全てのアルミニウムと全ての鉄鋼に25%の関税を賦課する。これに対してEUは早速、対抗措置を取る構えを示している。 ただ、全体的に関税のニュースへの市場の反応は以前ほどは敏感に反応していない。実際にマクロ経済への影響を見極めたいとの雰囲気があるのかもしれない。「足元の関税の影響を予測することは困難であるだけでなく、今後さらに追加関税が課される場合の影響を予測することはさらに困難だ」との声も聞かれた。また、関税についてのパウエル議長の発言も注目されたが、目立った言及はなかった。 ユーロドルは1.03ドル台後半まで一時上昇。本日の21日線が1.0375ドル付近に来ており、その水準に顔合わせしたが、上値を止められている。ユーロドルに関しては弱気な見方が根強い。トランプ関税はもちろんのこと、ドルとユーロの金利差がユーロドルを圧迫する可能性があるという。トランプ大統領が鉄鋼とアルミニウムの25%の関税を課すことを発表したことはEUに打撃を与え、EUも報復措置の検討に入ったことを明らかにしている。EUは現在、自動車など他の分野への関税導入に備えているが、政治家たちはより広範な関税を懸念している。 しかし、関税に関するニュースが何であれ、欧米の金利差は、ユーロドルが1.03ドル付近の低位での取引を正当化し、修正的な反発の必要性を損なうという。 ポンドドルは1.24ドル台半ばに買い戻された。ポンドに関して本日は、マン英中銀委員の講演が注目されていた。同委員はこれまでタカ派の急先鋒だったが、先週の金融政策委員会(MPC)では、予想外に0.50%ポイントの大幅利下げを主張し市場を驚かせていた。 ただ、本日の講演では、インフレ抑制に向けた引き締めの必要性を強調したことで、市場は英中銀の3月利下げの期待を若干後退させている。同委員は「食品やエネルギーなどの品目のインフレ上昇が目立ち、それらは2次的インフレを再び引き起こす主要なリスク」と述べていた。短期金融市場では現在、英中銀の3月利下げの確率を25%程度で織り込んでいる。 MINKABU PRESS編集部 野沢卓美