【杉村富生の短期相場観測】 ─相場のサイクルを見据えた投資戦術!
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「相場のサイクルを見据えた投資戦術!」 ●円高進行が株価にダメージを与える! 年初以来の株式市場は基本的に、狭いレンジでの値動きとなっている。この背景にはトランプ政権の通商(関税)政策、DeepSeekショックの後遺症、日銀の利上げ(政策金利を0.5%にしたが、日銀首脳は1.0%を目指している)などがあろう。為替は1ドル=151円台の円高だ。主軸株は上値を追いづらい環境にある。 ドル・円のチャートをみると、昨年11月15日の156円75銭、今年1月10日の158円87銭がダブルトップの形になっている。アメリカ金利の低下(10年物国債利回りは4.426%)、日銀の金融政策(タカ派シフト)を考えると、昨年12月3日の148円65銭で止まるかどうか、微妙な局面だろう。 この水準を突破されると、昨年9月16日の日銀ショック時の円高(139円58銭)を意識させられる。なお、日経平均株価は昨年8月5日に瞬間、3万1156円まで急落した。まさか、そんなことはないと思うが、1990年のバブル崩壊後、日銀は政策ミスの連発だ。まともな日銀は黒田総裁時代だったが、それを否定する声があふれている。 そもそも、「円安悪玉論」の大合唱がおかしい。円高の時は「何とかしろ」と叫び、製造業の多くが中国など海外に脱出した。いわゆる、産業の空洞化である。いま、やっとフレンド・ショアリングの流れに加え、円安定着を受け半導体を中心に、製造業の国内回帰が始まったばかりではないか。 ●第1段階に位置し、青年期の銘柄は……? さて、改めて述べることではないが、相場にはサイクル、株価にはリズムがある。物色の流れでは①Stealth(ステルス:相場巧者が静かに仕込む)の第1段階、②Awareness(アウェアネス:賢い投資家が自覚し、参入する)の第2段階、Mania(マニア:多くの人々が熱狂し、バブル的な様相となる)の第3段階のパターンをたどる。 そして、最後の第4段階はBlow off(ブローオフ:暴落→パニック売り)のタイミングを迎える。ちなみに、Blow upとはヒューズが飛ぶこと。停電になる。AI(人工知能)関連セクターはどのステージだろうか。これは難しい。筆者は第3段階を過ぎつつある、と考えている。もちろん、AIは今後、飛躍期を迎える。しかし、株価は別である。 2000年2月にソフトバンクグループ <9984> [東証P]が19万8000円、光通信 <9435> [東証P]が24万1000円の高値(ともに株式分割考慮前の株価)を示現した。その後IT(インターネット)バブル崩壊とともに、株価は暴落したが、インターネットは社会インフラとして確固たる地位を築いたのと同じ構図になろう。 フェーズ的に青年期(第1段階)なのは野村ホールディングス <8604> [東証P]、東京電力ホールディングス <9501> [東証P]、富士急行 <9010> [東証P]、ローム <6963> [東証P]など。フジ・メディア・ホールディングス <4676> [東証P]の1700~1800円絡みがそうだったが、需給面は買い転換している。 ファンダメンタルズ偏重の人達には容認できないだろうが、株価は需給、人気の影響を強く受ける。価値の劣化をはやし立て、売り込む投資家がいる。しかし、株価は理不尽に下げれば戻る。逆に、好業績の発表が売り材料になる。機械株ではオークマ <6103> [東証P]が強い。省力化投資の本命的な存在だろう。 好業績、高配当利回り銘柄では沖縄のテーマパーク「ジャングリア」関連の全保連 <5845> [東証S]、IR(統合型リゾート)関連の日本金銭機械 <6418> [東証P]に妙味あり、と判断する。全保連のPER12.1倍、配当利回りは3.96%、日本金銭機械のPERは8.2倍、配当利回りは4.2%と高い。これは魅力だろう。 日本製鉄 <5401> [東証P]のPERは11.3倍だ。PBRは0.67倍にすぎない。配当は160円を行う。配当利回りは4.76%もある。PBR1倍だと、株価は5187円になる。無配だが、電力量計(スマートメーター)のインフォメティス <281A> [東証G]には“夢”がある。東京電力ホールディングスなど採用が相次いでいる。 2025年2月7日 記 株探ニュース