大塚竜太氏【日経平均急反発、トランプ2.0で視界は変わるか】(1) <相場観特集>
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―トランプ政策への期待と不安、日銀の決定会合にも思惑錯綜― 20日の東京株式市場は、前週末の欧米株市場が全面高様相となったことを受けて大きく買い優勢に傾いた。日経平均株価は大発会の翌日に急騰をみせたが、それを含め今年に入って前週末まで上昇した日はわずかに2営業日のみと調整色の強い地合いを強いられていた。しかし、きょうはリスクオフの巻き戻しが入った格好だ。今週は米国でトランプ氏が新大統領に就任するほか、週末には日銀金融政策決定会合の結果発表を控えるなどビッグイベントが続く。ここからの相場展望について、東洋証券の大塚竜太氏とSBI証券の鈴木英之氏の両名に話を聞いた。 ●「ボックス圏推移、決算絡みで好実態株を選別」 大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト) 東京市場は前週末の欧米株高を受け足もと買い戻しの動きが加速した。日経平均は今年に入ってから下げる日が多く、投資家心理も冷え込んでいたが、足もとではショートポジションを組んでいた向きの買い戻しが利いた。日経平均は昨年秋口以降、3万8000~4万円を中心とするレンジでの推移を続けてきたが、今回もボックス圏の下限に近い水準で戻りに転じる展開となっている。 トランプ新政権の発足に伴い、関税引き上げなどをはじめとするアメリカ・ファーストの政策に対し、当然ながら警戒感も拭えない。しかし、現時点で過度に弱気に傾く必然性もなく、すべてはこれから打ち出されるトランプ政策を横にらみに臨機応変に対応していく心構えが求められる。個別企業については、来週以降徐々に本格化する決算発表が株価の明暗を分けることになる。マクロよりもミクロに視点を移した個別株物色の流れが意識されるなか、好実態株に照準を合わせていきたい。 今週はトランプ氏の米大統領就任以外に週末にかけて日銀金融政策決定会合というビッグイベントがある。おそらく日銀は0.25%の追加利上げを実施する可能性が高いとみられるが、これについてはマーケットも織り込みが進んでおり、それほど波乱要素は含んでいないと考えている。向こう1ヵ月の日経平均のレンジは下値が3万7500円、上値が4万500円前後と上下3000円幅のレンジを想定している。トランプ政策次第で荒れる可能性はあるが、基本的に押し目は強気スタンスで臨みたい。 物色対象としては、為替の円高指向を意識したうえでトランプ政策に振り回されにくい内需株に優位性がある。三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> [東証P]などメガバンクやJ.フロント リテイリング <3086> [東証P]などの高額消費関連に着目。更に銀行株と対極のポジションにも見えるが、金利上昇への警戒から調整局面を強いられた不動産株の逆張りも妙味を内包する。そのなか、好業績で財務体質も強固なヒューリック <3003> [東証P]の時価近辺もみ合いは買いに分があるとみている。 (聞き手・中村潤一) <プロフィール>(おおつか・りゅうた) 1986年岡三証券に入社(株式部)。88~98年日本投信で株式ファンドマネージャーを務める。2000年から東洋証券に入社し現在に至る。 株探ニュース