明日の株式相場に向けて=トランプ宴後は超低PBR株リターン祭り

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 週明け20日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比451円高の3万8902円と大幅反発。今年は大発会の翌日に776円高と派手な上げ足をみせたものの、その後は鳴かず飛ばずで、気がつけば日経平均は昨年の大納会から前週末まで2勝8敗と大幅に負け越し、この間に1800円以上も水準を切り下げていた。これは世界的な金利上昇傾向と、ドル高・円安進行に頭を悩ませる日銀がタカ派に変貌することへの警戒感。そして、もう一つは米国でいよいよトランプ新政権が発足することで、漠とした不安がにわかに再燃したことが挙げられる。しかし、目先は自律反発局面に移行した。3万8000~4万円のゾーンは“鋼鉄のボックス”であることを今回も証明した形となっている。

 きょうは、前週末までのショートポジションを組んでいた向きの買い戻しでリバウンドに転じた。ただ、400円を超える上昇とはいえ、思ったよりは上昇パフォーマンスにキレがなかった印象も受ける。トランプ氏は大統領就任早々に200を超える大統領令に署名する予定と伝わっているが、暴走機関車となれば日本も弾き飛ばされないように注意が必要となる。きょうは、トランプ氏が重きを置き大統領令の対象ともなっている暗号資産関連が東京市場で軒並み人気化したが、局地的なミーム株物色の匂いが漂うだけに早晩反動も出そうだ。また、今週末の日銀金融政策決定会合は追加利上げとの見方で市場は織り込んでいるものの、トランプ政策による影響が未知数で、どんでん返しもあり得る。

 個別株は直近の暗号資産関連もそうだが、ここ最近は人工知能(AI)や量子コンピューターといった派手なテーマで株価を急動意させた銘柄が目立っていた。だが収益実態が伴わなければ、空売りファンドの触手が伸びる。深追いすれば投げさせられるケースも多い。今はトランプ・エフェクトで市場には高揚感が台頭しているが、アメリカ・ファーストの政策は他国にとってウィンウィンではない。当の米国株市場を除けばポジティブ材料とはならず、むしろ米国とはトレードオフの関係にあるという冷めた現実がある。

 そうした背景を鑑みた場合、トランプ銘柄理想買いの宴を経て、流れは地に足の着いたバリュー系の銘柄の方にリターンリバーサルの買いが向かう可能性が読める。東証がPBR1倍割れ企業などを対象に「資本コストや株価を意識した経営」を企業側に問う動きは現在も綿々と続いており、開示企業一覧の公表も行っている(直近は1月15日に更新)。現状は開示していない企業も、多くはその課題に向けた取り組みを水面下で進めている。地味だが、そうした企業群は株価水準が見直されるチャンスを常に内包していると考えてよい。

 何と言ってもPBR0.5倍の銘柄が会社解散価値と同等、つまりPBR1倍まで水準を戻せば、株価は単純にダブルバガー化する勘定となる。収益成長こそが株価上昇の原動力というのは常識的な話だが、それとは別路線で、会社側の株主を意識した経営姿勢の変化が株価に直接的に浮揚力を与えるのが、低PBR株の真骨頂ともいえる。

 好実態の有配企業の中から、PBRが非常に低く今後修正余地の大きい銘柄をいくつかピックアップしてみる。ホンダ<7267.T>系列の自動車部品会社で、日産自動車<7201.T>との経営統合でも有利な立場にあるエフテック<7212.T>のPBRは何と0.1倍台。超イレギュラー水準だが業績面は快走が続く。同社の配当利回りは3.8%弱に達するが、今後の成長戦略に向けた投資、あるいは株主還元強化への期待が募る。また、自動車セクター同様に業界再編思惑のほかインバウンド恩恵が期待される地銀セクターでは、前回も触れた琉球銀行<8399.T>が依然としてPBR0.3倍。株価低位で値ごろ感のある栃木銀行<8550.T>はPBR0.2倍弱である。円高恩恵が見込める紙パセクターも低PBR株の宝庫であり、日本製紙<3863.T>はここ動兆著しいがPBR0.2倍強に過ぎない。このほか、24年12月期営業26%増益見通しで来期も成長が見込まれる日東精工<5957.T>がPBR0.6倍台。更に、抜群の製品技術力でグローバルニッチトップの象徴株の一角でもある日機装<6376.T>のPBRが0.5倍と解散価値の半値にあることも意外な事実だ。

 あすのスケジュールでは、午前中に40年物国債の入札が行われる。午後取引時間中には12月の食品スーパー売上高が開示される。海外では1月の独ZEW(欧州経済研究センター)独景気予測指数など。このほか、米ネットフリックス<NFLX>の10~12月期決算発表が予定されている。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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