いよいよ米新政権が始動へ、再脚光の時迫る「トランプ関連銘柄」6選 <株探トップ特集>
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―防衛や暗号資産、自動運転関連に改めて物色の動き出るか、意外な投資テーマにも注目― 第2次トランプ米政権の発足が目前に迫ってきた。マーケットでは期待と不安が入り交じるなか、目先は先行きの見通しづらさが意識され買い手控えムードが漂っている。ひところ盛り上がったトランプ・トレードはすっかり落ち着いてしまったが、来週以降実際に政権が発足した後、各政策が具体化していくにつれて再びこの動きが出てくる可能性はある。「トランプ関連銘柄」は継続的にマークする必要があるだろう。今回、数ある関連銘柄の中から個人投資家好みの中小型株を6つピックアップした。 ●第1次政権と同じく現実路線に落ち着くか いよいよ20日に米国で大統領就任式が行われ、トランプ新大統領が誕生する。同氏が主張する政策を巡っては経済・外交の両面で不透明感が強く、これを受けて日米の株式市場は警戒感を強めている。特に警戒されているのが関税強化で、一部報道では政権発足後すぐにすべての国に対して一律に関税を課す可能性が取り沙汰されている。また、同氏が主張する減税についても景気を押し上げるとみられる一方、インフレが再燃し金利上昇を招くとの恐れが指摘されている。日本製鉄 <5401> [東証P]のUSスチール買収を巡る対応も懸念されるところだ。 直近、グリーンランド獲得に意欲を示す発言が波紋を呼ぶなど、現時点でトランプ氏に対する懸念や不安要素を挙げればきりがないが、とはいえ過去に不動産王として名を馳せたビジネスマンとしての同氏の側面に期待をつなぐ向きもある。第1次政権時と同じく時折発言が物議を醸しつつも、政権運営はある程度現実路線に落ち着いていくというものだ。そうした状況が20日以降徐々に明らかになるにつれ、現在影を潜めているトランプ氏の政策に関連した投資テーマに再び光が当たる局面が訪れるかもしれない。この動きが米国株市場で強まれば、その流れは当然日本株市場にも及ぶ。物色テーマの代表格は、もちろん「防衛」だ。米中対立が深まるなか防衛力強化に動くとみられ、日本を含む同盟国にも同調を求めてくることだろう。 ●規制緩和の思惑 トランプ氏の側近として存在感を放ち、共同大統領とも揶揄される米実業家イーロン・マスク氏に関わるテーマも要注目となる。自身が手掛ける事業に追い風となるよう、規制緩和を志向するトランプ氏に対して影響力を発揮するとの思惑があるためだ。マスク氏は自動運転分野に注力する電気自動車(EV)メーカー大手テスラ や宇宙開発企業スペースXのCEOを務める。「自動運転車」「宇宙開発関連」をマークしたい。 規制緩和に絡んでは「暗号資産(仮想通貨)」も見逃せない。トランプ氏は選挙期間中に「米国をビットコイン超大国にする」と発言するなど好意的な姿勢を示している。大統領就任後、暗号資産分野の大統領令を出すとの観測が一部で出ている。このほか、意外なところで注目なのが「カジノ関連」だ。同氏は第1次政権時、自身の大口献金者が創業したラスベガス・サンズ の日本参入を当時の安倍首相に求めたとされる。昨年の大統領選でも同企業の創業家から支援を受けており、念頭に置いておきたい。 ●各テーマから中小型株を選抜 石川製作所 <6208> [東証S]は段ボールを製造する紙工機械を手掛けるが、機雷や航空機用電子機器といった防衛省向けの製品も製造する。株式市場では防衛関連株として投資家の視線を集めることが多い。ここ数年は業績拡大トレンドにあり、25年3月期の営業利益は前期比2.4倍の6億2000万円と4期連続の増益を予想。通期計画に対して上期実績(3億1900万円)の進捗率は5割超と順調だ。また、これまで無配を続けてきた配当について今期は年10円と、実に30期ぶりの復配を見込んでいる。 gumi <3903> [東証P]はスマートフォンゲームの開発を主力に ブロックチェーン技術領域に展開している。複数のブロックチェーンゲームの開発を進めるほか、同技術を活用した推し活プラットフォームプロジェクト「OSHI3」を推進。暗号資産分野への投資事業も手掛けている。主力のゲーム事業でコスト適正化が奏功し、ブロックチェーンや投資事業が好調だったことから上期は営業黒字を確保。会社側は25年4月期通期予想を非開示としているが、前期赤字からの黒字転換に期待したい。 ヴィッツ <4440> [東証S]は自動車や産業機械に組み込むソフトウェアを開発・販売する。自動運転車の安全性向上に寄与する技術として仮想空間技術の研究開発に取り組んでおり、これを用いた自動車向けシミュレーター「WARXSS」を提供している。株価は“テスラ効果”もあり、昨年11月から自動運転関連株の位置づけでにわかに人気化。今月10日に発表した第1四半期好決算を受けて一段と上値を伸ばし、1166円と約1年4ヵ月ぶりの高値水準に浮上。人気化前の800円近辺から1.4倍あまり上昇した。 Kudan <4425> [東証G]は機械の眼にあたる人工知覚(SLAM)技術を開発するディープテック(革新的技術)企業。AIや半導体分野との技術融合に取り組みつつ、自動運転やロボット、デジタルツイン分野を中心に幅広く社会実装していくことを目指す。国内大手自動車メーカーの自動運転開発向けに技術を提供するなど、国内外のさまざまな企業や政府系機関との案件を豊富に抱える。費用先行で損益面は赤字が続くが、売上高の伸びは顕著。25年3月期は前期比4割強の伸びで過去最高増収を見込む。 ispace <9348> [東証G]は宇宙関連の有力ベンチャー。同社が開発した月着陸船が15日に打ち上げられた。5月ごろに着陸する予定で、成功すれば日本の民間企業として初の偉業となる。2023年に初めて挑戦した際は惜しくも失敗しており、今回成功なるか期待がかかる。会社側では今後更に取り組みを進め、米国が主導する有人月探査計画「アルテミス計画」に貢献する方針を示している。同計画は第1次トランプ政権下の17年にスタートし、日本や欧州各国、カナダと多くの主要国が参加している。 テックファームホールディングス <3625> [東証G]は業務システムの受託開発・運用保守を展開。生成AIなど先端技術分野に関わる案件を多く獲得している。傘下で米カジノ市場向けにモバイル電子マネーサービスの開発・運営を手掛けており、カジノ関連株の一角に位置づけられている。大阪のIR(統合型リゾート)計画を巡る思惑を背景に昨年9月に急動意した経緯がある。足もとの株価は200日移動平均線を挟んで堅調に推移。25年6月期は営業67%増益と2期連続の大幅増益を見込む。 株探ニュース