明日の株式相場に向けて=怒涛の中小型株「ビッグデータ関連」に照準
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きょう(19日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比268円安の3万8813円と5日続落。5日続落は約3か月ぶりとなるが、それでも前日の米国株市場の波乱を考えれば下値抵抗力を発揮したといえそうだ。押し目買いというよりは、空売り筋がいったん手仕舞いに動いたことが思ったより押し幅が浅くなった背景にあるようだ。 FOMCでは0.25%の利下げが決定されたが、半日遅れの日銀金融政策決定会合では利上げが見送られた。日米ともに中央銀行の政策金利発表を目前に思惑が錯綜してはいたものの、「FOMCの利下げ実施・日銀の利上げ見送り」のワンセットは想定ラインとしては本命だったといえる。だが、前日の米国株市場は波乱展開を余儀なくされた。NYダウは1100ドル強の急落を見せたほか、相対的に強さを発揮していたナスダック総合株価指数もこの日は耐え切れず、下落率は3.6%に達しダウの下落率を大きく上回った。 ドットチャート・ショックというべきか。来年の金融政策見通しで、利下げ回数が前回時点の4回から2回に半減したことが嫌気された。今回の利下げについても12人のうち反対に回ったのは1人のみで、満場一致とはならずとも11対1の圧倒的な利下げ支持だったように見えるのだが、会合後のパウエルFRB議長の記者会見では「(利下げは)紙一重の判断だった」という発言が投資家心理を揺さぶるに十分なインパクトがあった。これはメンバー全員が“迷っていた”という状況を代弁したからにほかならない。 この日のナスダック指数のフラッシュクラッシュもどきの大陰線は、イベントドリブンではありがちだが、NYダウの日足チャートを見ると、それよりは深刻なムードが漂う。この日でダウは10営業日続落となり、これはオイルショック時の1974年以来、実に半世紀ぶりという。また、10営業日すべてが陰線というのも驚かされる。直近10本のローソク足を眺めると急勾配の坂道を転がってきて最後に崖から滑落したような形だ。下値支持ラインとして意識されていた75日移動平均線も踏み抜く格好となった。日経平均の方は日銀が利上げを見送ったが、FRBが示した文脈と足もとの円安進行を考えれば、来年1月の会合まで引き延ばさずに今回決めるべきだったという意見もある。きょうは日経平均の下値を支えた決断も、株取引終了後のドル買い・円売りの露骨な仕掛けが植田日銀総裁に無言のプレッシャーを与えていることはいうまでもない。 米国ではS&P500指数がPERで25倍前後の水準に達している。これは明らかに買われ過ぎの水準であるという主張は市場関係者の間にも少なくない。「PER25倍というのは益利回りに引き直して4%。米10年債利回りが4.5%前後でこれよりも低い。本来なら、株式のリスクプレミアムを考慮すれば益利回りは長期金利を大きく上回っていなければならない」(ネット証券マーケットアナリスト)とする。この割高感はトランプ減税をはじめとする財政政策に期待した部分で肯定されるとの見方もあるが、トランプ政権が始動する前の段階で拠りどころとするには甚だ心もとない。一方、長期金利は今後さらに上昇傾向を強めることが予想される。 こうした局面での中長期投資は様子をみるところ。来年前半に拾い場がくることを前提にキャッシュ比率を高め、基本的に今はヒットアンドアウェイで対処したい。米株市場はビッグデータやAI、量子コンピューター周辺で中小型株が数倍化するケースが相次いでいる。ミーム株が多数含まれバブル的要素も拭えないが、トランプ新政権が始動する1月20日までに、この流れが東京市場にも押し寄せそうだ。そうしたなか、ビッグデータ関連ではTrue Data<4416.T>が一時ストップ高に買われる人気となった。これに次ぐ銘柄として、トランプ関連でもある共同ピーアール<2436.T>に注目。日本システム技術<4323.T>、ブレインパッド<3655.T>、BIPROGY<8056.T>なども併せてマークしたい。 あすのスケジュールでは、朝方取引開始前に総務省から発表される11月の全国消費者物価指数(CPI)に市場の注目度が高いほか、午前中に3カ月物国庫短期証券の入札が予定されている。また、午後取引時間中には11月の食品スーパー売上高や11月の主要コンビニエンスストア売上高が開示される。海外では12月の中国最優遇貸出金利が発表される。また、米国では11月の個人所得・個人消費支出物価指数にマーケットの関心が高い。このほか、12月の米消費者態度指数(ミシガン大学調査・確報値)も開示。(銀) 出所:MINKABU PRESS