ドル円は150円台に戻す 明日の米雇用統計を控えたポジション調整も=NY為替概況

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ドル円は150円台に戻す 明日の米雇用統計を控えたポジション調整も=NY為替概況

 きょうのNY為替市場はドル売りが優勢となったものの、円安の動きが強まり、ロンドン時間に149円台に値を落としていたドル円は150円台に戻している。明日の米雇用統計を控えてポジション調整も出ているようだ。

 一時150.70円付近まで買い戻されていたものの、米カリフォルニア州北部で大きな地震が発生したことから、一時150円を割り込む水準まで下落する場面も見られた。

 大統領選絡みの動きもひとまず消化し、次第に手掛かり材料も少なくなる中、投資家は日銀の動きに注目している。ここに来て12月利上げを見送るのではとの観測が強まっており、円相場は円安で反応。ただ、12月が見送られれば1月といった具合で、さほど変化はないように思われる。短期金融市場では12月に利上げ行う確率を30%程度、1月までなら75%程度で見ている状況。

 FOMCにも注目を集めているが、明日の米雇用統計がよほど強い内容にならない限り、0.25%ポイントの追加利下げは既定路線といった雰囲気だ。パウエルFRB議長は前日の講演で、「米経済は慎重に利下げを行うのに十分なほど堅調だ」と述べていた。それでも今月の利下げ期待は後退することなく、CMEのフェドウォッチでは78%の確率で0.25%ポイントの利下げを織り込んでいる。ただ、1月については、据え置きの可能性が65%と見ている状況。

 ユーロドルは買い戻しが出ており、1.05ドル台後半に買い戻された。本日1.0565ドル付近に来ている21日線を上回っており、明日の米雇用統計を受けた動きが注目される。前日はフランス議会で内閣不信任案が可決し、バルニエ内閣が崩壊した。マクロン大統領は後任の首相探しに着手したが、首相探しは難航が予想され、仏政治は流動的となっているが、いまのところ市場は落ち着いた反応を見せている。

 ユーロは今四半期にすでに5%超下落しているが、ここ数日やや持ち直しも見られる。そのような中、年末にかけて小幅ながらもこの上昇を維持できる可能性があるとの指摘も出ている。もちろんユーロを買う材料はない。ただ、ECBの利下げやトランプトレード、仏政治など、想定される悪材料を全て織り込んだことから、ある種の悪材料出尽くし感が、年末にかけて出る可能性があるという。

 ファンド勢のポジショニングも明らかにショートに傾いており、ユーロの買い戻しに勢いがつくようなことがあれば、ショートカバーが出易いという。ただ、あくまで自律反発の域である。

 ポンドドルは一時1.2770ドル付近まで上昇。きょうの上げでローソク足が21日線の上に出ており、明日の米雇用統計を受けた展開が注目される。200日線が1.28ドル台前半に来ており、目先の上値ターゲットとして意識されるが、21日線の下向きの傾斜がまだ急であることを考えると、テクニカル的に強気になるには、もう少し揉み合う必要がありそうだ。

 リーブス英財務相が発表した260億ポンド規模の雇用主への給与税引き上げに対して、英企業の半数以上が値上げと人員削減を計画しており、インフレ圧力が高まることも懸念されていることが明らかとなった。

 英中銀がこの日発表した意思決定者パネル調査によると、企業の最高財務責任者の約54%が、増税分を価格に転嫁すると回答し、同じ割合の回答者が、結果として雇用減少すると見込んでいることが明らかとなった。今回の調査結果からは、「増税の企業に与える影響を待ち、段階的な利下げ計画をどうするかを見極めようとしている英中銀の懸念をさらに高める」との指摘も出ていた。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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