ドルの戻り売りが続き、ドル円は一時152円台 調整が続く=NY為替概況
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ドルの戻り売りが続き、ドル円は一時152円台 調整が続く=NY為替概況 きょうもNY為替市場はドルの戻り売りが続き、ドル円は一時152円台に下落する場面が見られた。感謝祭ウィークに入って、これまでの調整の動きが続いている。ドル円はきょうの下げで21日線をブレイクしており、152円付近に来ている200日線を試しに行くか注目される。 ただ、金融政策の情勢に変化はなく、FRBは利下げの方向性は維持しているもののペースについては慎重になっている。日銀は12月か1月の追加利上げが有力視されているものの、どちらになるかは不透明といった状況。 政治情勢に関しては、トランプ次期大統領の関税強化による貿易摩擦への懸念は強い。トランプ氏はメキシコとカナダからの輸入品に25%の関税を課すこと、また中国製品にはさらに10%の課税を課す方針に言及。一方、日本では賃上げ期待が高まっており、石破首相が賃金上昇が物価上昇を安定的に上回る状況を目指し、環境整備などに取り組む考えを示した。経団連も数字については言及を避けているものの、物価以上の賃上げ実現に向けた方向感は持っているようだ。 これらを受けて市場では、リスク回避のドル高・円高を見込む声も出ているようだ。 午後にFOMCの議事録が公表され、FOMC委員は段階的な利下げを幅広く支持していたことが明らかとなった。概ね想定通りの内容で、現在の市場のFRBに対する認識と一致していることもあり、市場の反応は限定的となっている。 ユーロドルは買い戻しが優勢となり、一時1.05ドル台半ばまで回復する場面が見られた。しかし、1.05ドル台に入ると戻り売り圧力も強く、1.04ドル台に伸び悩む展開。ユーロドルは先週、一時1.0335ドル付近まで下落したものの、その後は買い戻され展開。ただし、下げ過ぎ感からの自律反発の域は出ず、依然として下向きの流れは継続している状況。 ユーロについてはトランプ次期大統領の関税政策が警戒されており、特に一期目同様にトランプ氏によるユーロ圏への関税強化が警戒されている。そのような中、ストラテジストからは、2025年半ばにユーロドルはパリティ(1.00ドル)まで下落する可能性も指摘されている。関税がユーロ圏経済、特にドイツ経済に打撃を与える危険性が理由。 ドイツの輸出業者はユーロ安をほぼ確実に歓迎し、そうなれば、ECBに追加利下げを求める声が強まる可能性があるという。一方、トランプ氏の計画する関税と減税は米インフレを招き、FRBの利下げを制限する可能性がある。FRBは12月と1月に利下げを実施した後、利下げサイクルを一旦終了する可能性があるという。 ポンドドルも一時1.26ドル台まで買い戻されたが、依然として上値は重く、NY時間に入って1.25ドル台に押し戻されている。対ユーロではまちまちで方向感はない。 ユーロはトランプ関税を警戒しているが、ポンドについては、英国の対米輸出の割合がユーロ圏の多くの国よりも小さいことから、その影響は小さく、トランプ氏も英米間の貿易不均衡にあまり重点を置かないと見られている。 そのため、来年に貿易摩擦がエスカレートした場合でも、ポンドはユーロほどの影響はないとの指摘も出ている。ただし、貿易摩擦を引き金に、ユーロ圏および世界的な成長鈍化を通じて間接的に英経済が打撃を受ければその限りではない。ポンドのリスクは依然下方に偏っているという。 MINKABU PRESS編集部 野沢卓美