ドル円は153円台に下落 ベッセント氏指名でドル売りもドルロング解消のハードルは高い=NY為替概況

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ドル円は153円台に下落 ベッセント氏指名でドル売りもドルロング解消のハードルは高い=NY為替概況

 きょうの為替市場はドル売りが優勢となる中、ドル円は153円台に下落した。週末にトランプ氏が、迷走していた財務長官人事にヘッジファンド創業者のベッセント氏を指名すると発表。ベッセント氏の起用は米経済と金融市場により安定をもたらす慎重な選択と歓迎するムードも広がり、米国債が買われ利回りが低下する中、為替市場ではドル売りの反応が出ていたようだ。

 ただ、投資家のドルロングの解消のハードルが高いことを考えると、ドルは引き続き上昇が期待されるとの見解は多い。FRB当局者は追加利下げに慎重姿勢を繰り返し示しており、これがドルの魅力を高めているという。ベッセント氏指名によるドル売りの動きは一時的になりそうだという。

 ベッセント氏はタカ派な財政政策を主張しており、トランプ次期政権は財政赤字を半減させようと試みる可能性がある。しかし、今週は27日に第3四半期のGDP改定値とPCEデフレータが発表されるが、米経済の堅調さと根強いインフレ傾向が示されれば、ドルは支援されると指摘。

 一方、円は上昇の有意なきっかけを見つけるのに苦労している。植田日銀総裁は12月会合での利上げの可能性を排除していないものの、そのシグナルは円の方向性を変えるには不十分だと指摘。今週の東京都区部の消費者物価指数が予想を上回ったとしても、来月の利上げが確実であると市場を納得させるには十分ではなく、市場はより明確なメッセージを必要としている。円はヘッドラインリスクに対して脆弱な状態が続くと考えられるという。

 ユーロドルは買い戻され、一時1.05ドル台を回復する場面も見られた。ただ、1.05ドル台に入ると戻り売り圧力も強まるようで上値は重い。

 今週は11月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)が公表されるが、総合指数で前年比2.3%、コア指数で2.8%が見込まれている。予想通りの数字であれば、12月は利下げは確実視されているものの、一時で出ている0.50%ポイントの大幅利下げはないと見られている模様。ECBはユーロ圏のインフレ上昇により、来月に積極的な利下げを行わない見通しだという。

 先週発表された企業景況感調査では、経済の縮小への脅威が浮き彫りになり、12月の理事会で大幅利下げを求める声が強まる可能性もある。しかし、今月もインフレは上昇し、ECBの2%目標を上回る可能性が高くいという。そのため0.25%ポイントの利下げが最も可能性の高い決定となるという。11月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値は今週29日に発表予定。

 ポンドドルは上値の重い展開。きょうの為替市場はドル買いが一服し、ポンドドルも1.26ドル台まで買い戻されたが、動きは続かない。本日は対ユーロでも下落しており、ポンド安が目立つ。特にポンド売りの材料は見当たらないが、年末が接近する中でポンドロングの整理が出ている可能性もありそうだ。

 先週金曜日に米商品先物協会(CFTC)が発表したIMM投機筋の建玉報告によると、ポンドは5月以来の水準に買い越しが縮小していた。

 今月発表の第3四半期の英GDPと9月の月次GDPが予想以上に弱い内容となったことから、英経済についても先行き不透明感が台頭している。ただ、賃金上昇率とインフレの低下が見られない中、英中銀の利下げ期待は後退し、12月はなしとの見方がなお圧倒的。

 きょうはロンバルデリ副総裁の講演が伝わっていたが、「賃金上昇率とインフレ率が期待ほど急速に低下しないとの懸念がある中、英中銀は慎重に利下げを進めるべきだ」との考えを示していた。「英国はディスインフレに関して良い進展を遂げたとしながらも、根強いインフレの要因と労働市場の展開を巡る不確実性が懸念材料だ」と述べていた。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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